恋と深空のんびり考察プレイ録

恋と深空のんびり考察プレイ録 - 空に堕ちる

恋と深空を宗教思想史オタクがのんびり考察しています。

ネタバレを多分に含むうえ、新しく開放されたストを読むたびに考えが変わるため我ながらお門違いなこともたくさん綴ってあるのですが、プレイ記録も兼ねているため敢えてそういうものも全て残したまま書き進めております(土下座

星の軌跡から

遅ればせながらセイヤのお誕生日思念ストを読んで参りました。やーめちゃくちゃに良かった。月位思念はレア度に関わらずほとんど未履修だったりするのでいろいろと把握し切れてないんやが、ずっと気掛かりだった彼の個ストにおける彼女の「セイヤはいつか自分を置いて故郷へ帰ってしまうのではないか」的な漠然とした不安感はいつの間にすっかり払拭されているのだね。

恐らく前回伝説ストにてセイヤの誕生年が明かされたことで彼が指間の流星フィロスに「彼女を残してこちらへやって来た」のではなくどうやら星のエネルギーそのものとなってさらに時空まで超えてしまったらしい流星の降る夜クラスメイトの「彼女を追ってここにいる」ことを我読み手がようやく把握した後なので彼女の心境もわたしたちに合わせて変化させてくれているのだろうとは思うのだが、あるいは一匹狼の船出にて「もう隠さない」ことを決めたセイヤが聞かれるたびあれこれ答えてあげてきたことになっているのかな? 当時は「敵じゃないと伝えてくれたそれだけで充分」だと言って最後まで聞き出さなかった「ロールバック隊のセイヤ隊長」が深空トンネルの向こう「フィロス」なる星から危険な航行を経てこちらへやって来たわけも「かつて星降の森で救うことができなかったあんた」もしくは「ある日突然消えてしまったらしい私」を目指してのことだったと今ストの彼女はすでになんとなく話してもらっているように見えました。

今はセイヤが十数年前に災変を終息させた月影ハンター本人であることやキノアが同郷の人であること含めその不思議な生い立ちをすべて受容したうえで「故郷の星とはどんな場所だったのか」「故郷での彼はどんな様子だったのか」あまりに想像がつかないことから好奇心を湧かせているようで、間近に迫った彼の誕生日には「彼の探している古い漫画を手に入れること」や「キノアと手分けして彼宅のバルコニーをこっそり装飾しておくこと」に加え「自力でそれらを解明しセイヤの世界にまた一歩近付けたと彼に証明すること」を特別な隠しミッションとして自分に課すことにしたもよう。

一方セイヤはそうして何やら「天体物理学者に転職したいのか」と思わせるほどたくさんの宇宙や惑星についての解説書を取り寄せ始めた彼女が「世界小天体委員会」なる研究振興団体の発行する『どの星に移住する?』なんて教育漫画をとりわけ熱心に読み耽っているのを見て、実はその団体へは過去34個もの小惑星探査データを「暇潰しに」提供してきたことで毎年「創立記念式典」なんかに招待されたりするもののそう言えば一度も参列したことがなかったことを思い出し、今年はなぜか唐突に関心が芽生えたらしい彼女を連れて「どの星に移住するのがいいか一緒に行って直接選ぼう」なんて言い出して、来たる式典に向けて「最近発見した小天体」の「命名作業」に勤しんでいたりする。
命名権は発見者に付与されるためもちろんこれまでも星の名前は考えたことがあると言うが、命名委員会の「厳格で非情な審査」をひとつも通過できたことがないのだとぼやくセイヤ、どうやらこれまでのものは「誰もが覚えていたくなるような響きのいいロマンチックな名前」ではなかったのだろう自覚はあるらしい。

個人的には今回のストは全篇通して「これが何にも捉われていない本来の彼の姿なのか」と思わせるちょっぴり盲目的で浮かれ気味なセイヤがとても印象的だった。イベストの方でもセイヤに隠れてこっそりキノアを訪ねた彼女と偶然鉢合わせてしまったとき、何をしてたんだとジェラって不機嫌になるのかと思いきや「あんたに花を買いに来た」「まさか同じことを考えてたなんて」なんぞ都合の良い思い違いで心底嬉しそうにしてたのが「本当に彼女しか見えていないんだ」と特別記憶に残ってる。
誕生日前日になればいよいよ自力では解明できそうにないセイヤの素姓を「臨空市異常調査局に報告すればきっと報奨金が貰えるくらい」だとふざけて話す彼女に冗談を返すつもりで開いた「裏サイトの指名手配ページ」なるものにうっかり自分を賞金首として投稿してしまったりもするのだが、そんな不注意もその夜ふたりで「一世紀に一度の超大型流星雨」を一緒に観測する約束をしていたことにはしゃいでしまっていたから、なのかな?

おかげでその日はどこぞの賞金稼ぎが寄越したドローンの襲撃から逃げ回るのに半日無駄にすることになるのだが、これは現在臨空市のセイヤにはあまりに肩書きが多く「どの自分が狙われているのか分からない」ほどあちこちに敵が潜伏していることを強調するための展開だったのか、あるいは追跡を撒くために強引に裏口をお借りしたとあるパン屋にてその数ある肩書きのひとつ「昔スパ施設で働いてた時に出会った特殊部隊の潜入捜査員」に覚えがあるらしい「アレクサンダー」という名の店員に彼が再会することでこれを目撃した彼女が「知らないセイヤ」はきっとまだまだ存在するのだろうことを改めて痛感するための演出だったのか、それにしても彼は臨空市民に「もしかしてあの時の?」って顔をされたらとにかく有無を言わさず「人違い」だと言い張ることで難を逃れているのだなw

013小隊にいた頃のことは確かにEvol幻覚剤の密売拠点になっていた歓楽街のスパ施設へ「セイジロウ」の偽名で潜入したところまでは覚えがあったのだが「アレクサンダー」が何者だったか正直まったく記憶になくて、読み返してきてみたら違法薬物とあわや「腎臓」が引き換えになるのを「腹を壊した」口実で逃げ隠れしていたあの末端構成員があなただったのね。こうして臓器を失うことなく陽の当たる世界へ帰って来られたのだから転機をくれたセイジロウにはきっと感謝していることでしょう←

ドローンの奇襲は「うっかり起こしてしまった大したことのないトラブル」であり「あんたが必要ないってことでもない」が「すごく似合っている今日の服を汚して欲しくない」からと最後はひとりでまとめて片付けてくることにしたらしいセイヤ、そうして彼がもはやいつもの通り市中心部を爆発させて戻ってくるまでの少しの間、彼女は街の光が届かない静かな建物の屋上で「退屈になったら聴いててくれ」と持たされた有線イヤホンのついたMP3プレイヤーを再生してみるのだけど、これはもしかしてかつてクラスメイトの彼女と分け合って聴いていた同じものなのかな?

流星の降る夜を思い起こさせるBGM「伴星」が流れ始めたときにはめちゃくちゃ込み上げてしまったし、残りの音声ファイルは「奇妙なホワイトノイズ」が災変よりも前の日付でいくつも保存されているらしいのだが、そのうちのひとつが「俺が初めて聞いた地球の音」だと聞いて、きっと彼がここに辿り着くまでに「決して後ろを振り向くことがなかった」長い航行のさなか「心地良い」と聴いていたあらゆる宇宙のざわめきをいつか「あんたにも聴かせたい」からと録音しておいたものなのだろうと思えて勝手に泣けてしまったよ。涙

なんか、彼女がいつも「セイヤのことをもっと知りたい」と感じている一方でセイヤも常に見たもの聴いたものを「あんたにも教えたい」って言うんだよね。イベストの方では今スト彼が「命名作業」をがんばっているその小天体は「人の視界に現れた瞬間からあらゆるデー夕が観測され記録されそう遠くないうちに過去も全て明らかになるもの」だと教えられた彼女が「それなら私もあなたをずっと観測して記録し続ければいつか全てを知ることができるか」とセイヤに尋ねるのだけど、彼は「俺自身があんたの瞳に映りにいきたいのかも」なんて返答する。相思相愛と言うか、まるでお互いがお互いの願いを叶えるために存在する「流れ星」みたいな。

そのうち待っていた「百年に一度の流星雨」が夜空に降り始めると、何やら「いちばん願いを叶えてくれる」らしい最初の流れ星を見送ってしまった彼女は慌てて「セイヤの誕生日の願いごとが全部叶いますように」と手を合わせるのだけど、ただ彼女に会いたいだけだった「俺の願いはずっと昔に星に届いてる」と言うセイヤは空よりも彼女の方を眺めながら、この平穏な夜に同じイヤホンを分け合って同じ夜空を見上げられることが本当に幸せだと書いてあるような顔してる。涙

思い返せばかつてセイヤが妹弟子に「お願い」していた手作りの星はロールバックⅠ号で会いに行ったクラスメイトの彼女が「叶えて」くれたとも言えるし、そんな彼女が実現しないと分かっていながら頷いた「百年後の流星雨もまた一緒に見よう」という約束こそ守れなかったけど「来世でもまたセイヤに会えますように」なんて切なる最後の「願い」はこうして今ロールバックⅡ号で会いに来てくれたセイヤが「叶えた」とも言える。願いは星に託されても叶えているのはいつもお互いで、その度こうして空に盛大な流星雨が降るのは本当に「お祝いに来てくれている」だけなのかも知れないなって思ったよ。
セイヤはある日互いを見失うようなことがあっても彼女がそこに居てくれさえすれば「俺が必ずあんたを見付け出す」と言うし何度もそうしてきたからなんとなく彼こそが彼女の星のようで、あるいは彼女という地球の周りをいつも離れずにいる月のような存在みたいだなって今までぼんやり感じてきたのだけど、本当はふたりとも同等に近い質量で互いを回る惑星で、だからセイヤは「伴星」で、だから双星の剣で、だからご近所さんで、だからパートナーだったんだなって(いまさら

一方その頃バルコニーでひとりバースデーパーティーの準備をしていたキノアは予定時刻を大幅に巻いて帰宅したふたりに計画していたサプライズをグダグダにされ、気まずそうに立ち去ろうとすれば新手のドローンに捕捉され、襲撃されたセイヤ宅の爆発に巻き込まれて「心身ともにダメージを負った」って書いてあるんだが、かわいそ過ぎないか←
後日追跡元の暗殺組織を特定してきっちり後始末まで完遂させてくれたのに「懸賞の投稿主を調べたらセイヤ本人だったのはどうしてなのか」何も教えてもらえないまま電話も切られちゃうし、せめて当日楽しみにしてたプランだけは上手くいくように前倒しになった分どこかで時間を潰してから帰ってあげたら良かったのに、いやそんな役回りがかわいいんだけど、あまりに不憫だと思ったよw

セイヤは自宅が修復されるまで一週間彼女の部屋に泊めてもらったりしてるのでだいぶ派手にやられてしまったようだけど、プレゼントのつもりで彼女が準備していた古本は「被害の少なかったリビングから奇跡的に無傷の状態で見付かった」のだと言い、それは何やら売れ行きが悪くなって更新が滞っているという『光速飛行』なる少女漫画で「パラレルワールド」をテーマにした物語なんだそう。
自分が選ばなかった人生にどんな道があったのか気になるものなのかと問われたセイヤはもちろん首を横に振るけれど、そう言えば灰城の狂王はついに彼女をフィロスへ帰す決断を下す前夜「初めて立ち止まり」咲かないスターチスをひとり眺めていたような気がする。あれは「稲妻が星屑をかすめる瞬間は何度もあったが立ち止まれなかった」セイヤが初めて「自分が選ばなかった人生にどんな道があったのか」思い馳せてた瞬間だったってことなのかな。

最後はセイヤがこんなにじっくり考えていた惑星の名が「そんなに悪くない星」であることが公表され会場が静まり返る世界小天体委員会の創立記念式典の場面で締め括られるのだが、ステージに上がる直前「台本通りのスピーチ以外に何を言うべきか」相談された彼女は少しの間考えて、たとえばパン屋の店員や『光速飛行』の作者など「セイヤをここへ導いてくれた」「セイヤをセイヤでいさせてくれた」すべての人へお礼を言うのはどうかと提案してみるのだよね。
するとセイヤがいちばんお礼を伝えたいのは「あんただ」と言ってくれるので、これまで「セイヤをここへ導いてくれたもの」や「セイヤをセイヤでいさせてくれたもの」がまるで宇宙に存在する電磁相互作用を持たない直接観測不能な物質「ダークマター」のようにあまりに未知で解明できないものだと感じていた彼女なのだけど、たとえ観測できない広大な部分を持っていたとしても彼は「この瞬間」においては「私だけのセイヤ」なのだとはたと気が付く。
わたしたちの認識できる世界が観測によって成り立つ「宇宙の一部」に過ぎないように、セイヤという人もまた無数の経験の総和で構成されていて、その中には彼女からは見ることができない兄弟子の彼、クラスメイトの彼、他にもあらゆる肩書きを持った彼、あるいは本人でさえ認識できていないかも知れない灰城の彼、確かに構成物でありながら宇宙のダークマターのように伺い知れない部分がたくさんあるのだけど、目に見える世界が「観測され得る宇宙」のすべてであるように、彼女の目の前にいるその瞬間に限っては彼は未知ではない「彼女の目に映ることによって形作られた彼女だけのセイヤ」なのだと。

「見えない部分も全部あんたの光を目指してる」ってのも、きっと彼女と出会い彼女が関わることでもたらされた彼の「変化」はそれこそダークマターのように感じられる部分すべてに及んでるって伝えたかったのだよね。それを受けての「どんな経験をしても必ずまた私を見つけて私と出会ってね」なんて彼女の返答は、やっぱりこれからもずっとふたりは互いの願いを叶え合う「流れ星」なのだなと感じずにはいられませんでした。

ところで話は変わるけど、気付いたらまた「世界の深層」が大量に実装されてません…?←

中間決算終わって子どもたちの怒涛の秋行事が終わったら読む、ゼッタイ。

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