6部4章 分岐の始まり
いやーめちゃくちゃすっきりしましたねぇ。リモリア周辺の事情をまじで何ひとつ理解できていなかったわたしだけど、構造的なところは今章でほとんど解明されたんじゃないでしょうか。
大筋としてまずは伝説「忘却の海」にて「最後の海神」として朝と夜の変わり目の炎の中で生まれたホムラは海神祭でもっとも敬虔な信者を花嫁とするも心臓をえぐり出し契約を終わらせるという方法で海神として完成することができなかった、その後リモリアには「真の終焉」が訪れるけれど彼女が海神を「封印」したことによって滅びるのではなく長い「眠り」につき、数万年を経て再誕した彼女に封印を解かれたことで忘却から「目覚め」た、もっとも海神は彼女を守るためにその命を消費してしまうが最後は彼女が「純粋な信仰」を全て捧げたため「力」を得て生き延びることができた、ここまでが「羅鏡の儚き声」と合わせて明かされている物語であり時系列上「彼女が現世を迎えるまでに必ず辿ってくる過去世」になるのだろう。
そして今回新たに明らかになったのはそうして生き延びた海神は自分の「力」を燃やしリモリアの中枢たる「鯨落都」を「深空の裂け目に隠すことにした」という後日談、これにより「鯨落都」は深海にある王都の外観を持った「宇宙に存在する時間停止のポケット領域」となり、ホムラ自身は「炎の中から生まれた海神」から「両親から生まれるリモリア人」として転生することができるようになる、ここまでがいわゆる「神代譚」であり現世ふたりの深層意識の中に「魂が持つ記憶」として僅かな断片が残っているほか「全ての海の生き物たち」にも古から伝わる起源神話として同じ内容が語り継がれているらしい。
本来の物語であればそうして「地球のリモリア人」となったホムラは一族の長として海神とは称されつつ長らく「鯨落都」を見付けることができないまま「果たせない復讐」への鬱屈だけを募らせて、一方で「海神の心」と呼ばれる「ホムラを海神たらしめる何か」を持って「瀕死状態の地球」ないし「間もなく新生するフィロス星」のとある深い峡谷に「生命体」として転生した彼女はもしかしたら宇宙意識に至った際「深空の裂け目に隠された鯨落都」にかつてのホムラが残した「力」もしくは魂の一部のようなものを内包した状態で生まれてきてしまったのではないかとも思えるが、いずれにせよこの時点で「星に不滅と人類に不老不死をもたらすことができる」個体になっている、これがEVERに言わせれば彼らが「永遠の命」をもって「地球の大掃除を生き延びている」まさに理想的な概況であり「深空信号」から得られた展望のひとつになるのだろうね。
今章で描かれているのは「分岐の始まり」、つまり深空エネルギー衝突実験により本来あるべきところでないはずの2034年地球に彼女が出現してしまったため物語の未来が変わり始めている、と平たく言えばそんな大枠になっているようである。
とは言えEVERは変えるよりむしろ倣いたいので「海神の心」と呼ばれる「ホムラを海神たらしめる何か」を同じく彼女に与え「星に不滅と人類に不老不死をもたらすことができる」状態に変質させることを目指して不死化細胞「LCMECs」を培養してみたり「鯨落都」を探し出そうとしてみたりとあれこれ画策している最中なのでしょう。
LCMECsについては「杉徳医療」の創始者が自宅に人魚の骨格標本を保持していたことや「不死化」の響きにも引っ張られ「アーテーの泉」側に狙われているものと長らく思い込んできたけども、こちらもどうやら徹底して彼女を資源利用するスタンスであるらしい「ガイア」にこそ必要な研究サンプルだったのではないかな。
ホムラのフィロスは「純真無垢な心を持つ少女」の誕生と同時に本当なら「海の生まれて還る場所」である「鯨落都にあるべき力」がそこになくなってしまったことで海水枯渇と星の砂漠化が深刻化してしまったんじゃないかって気がしなくもないけども、EVERからしてみればその辺は別に大した問題じゃないのかも。
深空信号で言うとレイの本来の物語だけが病果を取り除くことを使命づけられた「黎明の抹殺者」が唯一の生存者となり最後の遺体が完全に風化し虚無へ帰するのを待って最終的に自らも「消滅」するというあの「数百年後の臨空市」とさらにもう少し先の地球からどうやら人類が「彼女という資源を用いて」大掃除を生き延びフィロスへ至っているわけでは唯一なさそうなので、神言者が「標本」にはカウントされずむしろ「目覚めさせてはならないもの」として警戒されているらしいことにも納得。どの世界からも「変数」が排除され「定数」を準拠としすべからく終焉を迎えるのが本来の彼の物語ですからね。
と言うか、それぞれの物語が同じ2034年に収束できるなら少なくとも「地球」の状態に関しては同じ年表を適用して差し支えないのでは? 6部2章セイヤの物語における本編地球にはエーテルコアが凝縮されてから「崩壊」するまでに「瀕死状態」のまま沈黙している期間が一定数存在しそうだったけど、レイの物語に「数百年後の臨空市」があるならそれって数百年単位の話だったのかも。
彼女の中で「27日目にピークに達し36日目から衰退を始め41日目に崩壊と爆発を迎えたのち直ぐに集合して再び成長へ転じる周期を繰り返す」このエネルギーの増減スパンを地球に当て嵌めたとき「36日目」がエーテルコアの完成「41日目」が崩壊なのだろうと前回見解してしまったが、いやよく考えたら今が地球の46億日目なんだから仮にそうならこの5日間は8億年間くらいに換算されてしまうではないか(アホ
もちろんこういう全体的な構図や配列をようやく整理できるようになったことも大変ありがたかったんやが、個人的には今回ホムラと彼女の物語におけるふたりそれぞれの「在り方」と「役割」をとても分かりやすく明確化してもらえたことが最大のすっきりポイントだったんじゃないかと思ってる。特に羅鏡の儚き声にてぶっちゃけいまいち腑に落ちていなかった彼らの心境あれこれが今になってようやくもっと理解できたような気がするよ。
バケットリスト
唐突に「死ぬまでに叶えたい願い」を問われきょとんとするホムラは「僕のおじいちゃんはバケットリストを書いてたし彫刻師のおじさんやシャンおばちゃんにも死ぬ前にやりたいことがあったからホムラお兄ちゃんにもあるはずだ」と考え至ったその経緯を聞くと不意に表情を和らげ「あるとすればリモリアの人々を鯨落都へ連れて帰ることだ」と返答するけれど、それは海神の願いであって「僕が知りたいホムラお兄ちゃん自身の願いではない」と食い気味に指摘するアラン。
そんなアランの頭を撫でながら「それはきっと子どもに聞かせるべきことじゃない」だろうから口にしたら執事に叱られてしまうかも、などとはぐらかすホムラの様子に彼女はどうやら彼が「復讐」をよぎらせているのだろうことを悟るけど、そうかそう言えばそうだったな。むしろ初期の彼はそれしか頭にないくらいに見えていたのにあろうことか彼女との仲が深まるにつれそちらにばかり目が行くようになり仮にホムラにバケットリストがあるなら恐らく先頭に書かれているのだろうそれを今の今までわたしはすっかり失念していたよ←
これも今章「EVER内部でも利益に群がる野心家」だとか「かつて周辺都市に入った連中はうまみを独占した」なんてホムラの解説を聞いてようやく気が付いたのだけど、たぶん彼らの故郷「周辺都市」を壊滅にまで至らしめたり「研究サンプル」を必要以上に捕縛したり虐殺したりウロコを剥がしたり血を抜いたり内臓や肉を削いで骨をアート作品にしたり「珍奇な宝物」に目をくらませて暴虐を尽くし許されざる所業にまで手を染めるのはあくまで個人単位の話であって、EVERから与えられた任務以上のことを私欲のため独断でしてきたのはセイレーンの歌ホムラのメモに強い筆圧でその名が書き写されている一部の限られた人間たち、もとい人の形をした何かたちなのだろうね。
陸で肉体を失ったために魂が胎い骨に閉じ込められたまま海へ帰ることができないという「彼らにとってもっとも苦しい死」を「コレクションのひとつとしてそこに飾りたいから」なんて理由で平然と選択できるようなやつが傷だらけで溺死してくれたときわたしはまじで当然の報いだと感じたし(口悪、むしろ微笑んだまま美しく死ねる歌声殺人なんて手ぬるいとも思ったし(最低、そもそも自分の民や聖地を脅かす悪しき人間どもを祟りで根絶するのは悲しいかな土着神や自然神の役目でもあるからな。
もちろん「ホムラの物語」を読んだとき彼が「その手で葬ってきた多くの亡者たちの黒い暗流に巻き付かれ引きずり下ろされるような感覚」にああしてお風呂のたび苛まれながらひとり復讐を背負うことに心から賛同することはできないが、わたしもホムラ同様まだ「海神の物語」の中にいた頃は確かにやつらの犯した罪が神の裁きに値するものだと心から思ってしまっていたところではある。
ホムラの意向を察した彼女が口添えし、このままでは大人ふたりにうんとからかわれるのだろうことを予感したアランが子どもらしい軽やかな足取りできらきらと光る海を目掛け坂を駆け下りて行ってしまうと思わず「助かったよ」と脱力するホムラ、ご明察の通り自分は今回失われた王都を探ることと併せて復讐を完遂させる目論見であり、そのための餌場もすでに設計してあるらしいことを早速匂わせてくるけども、ホムラの復讐がついに果たされリモリアも王都を取り戻すことができれば彼や他のリモリア人たちはここを離れ故郷に帰ってしまうのか、彼らは泳ぐのが速いから会いに来てもらうことは難しくないのかも知れないがあるいは二度と戻って来てくれなかったら、などと彼女は漠然とした不安感を覚えたりもする。
少し身をかがめて顔を覗き込んでくるホムラが「EVERに連れ去られた一族の一部はいまだに行方不明」であり「そんな状態で僕が行ってしまうわけないでしょ」なんて逆光の中で優しく笑ってくれたりするので彼女はひとまず安心したようであるが、なんだろう決して彼の言葉が疑わしいわけではないのにこんな時どうも「どうせフラグなんでしょ」とすでにささくれだった感情に駆られてしまうわたしがいるよ(殴
程なくして「港にまた誰かがやって来た」と慌てた声を上げながら乱れた足取りで駆け戻って来るなりその場にしゃがみ込んでしまうアランをしばらくなだめ落ち着かせてやったあと、ふたりは海辺のオープンカフェに移動して何やら水深が足りず接岸できないらしい大型の調査船からボートで順に上陸してくるガイアの研究員たちをまずは静かに観察するのだけど、ホムラはかつて周辺都市が襲われたとき偶然生き延びることができた代わりに顔を目撃することができなかった侵入者たちの中でも「特に用心深く姿を隠し続けてきた」のだという最後の対象者らがそこに含まれていることに気が付いて、これまで長らく僅かな手掛かりを掻き集めなんとかひとりひとり群れの中から引きずり出してきた自分でも今回ばかりは「鯨落都の出現」という好機がなければこうして彼らをまとめて誘い込むことは叶わなかったかも知れない、などと独り言つ。
凶悪犯が事犯の再確認と自己陶酔のために犯行現場へ戻るように彼らもまたかつての蛮行を思い起こさせる「リモリアの周辺都市を再現した島の中央広場」へ向かうはずだと読んで敢えて目に付く「民族音楽の路上演奏」を仕込んでいたのだというホムラ、どうやら協力者なのだろうリモリア人楽師のひとりとこそこそ小芝居を打って「鯨落都には周辺都市を凌ぐ財宝と力が眠ってる」なんてわざと事実に尾ひれをつけたような情報や「そこへ入る方法を握っているのがホムラである」という話があたかも偶然彼らの耳に入るよう手を回しているようで、相手がまんまと思惑通りに動き始める様子まで一部始終を隠れて見ていた彼女は「魚が魚を釣っている」なんて言い出すし、ホムラもホムラで物陰に感じる彼女の気配と視線を「獲物に夢中なカマキリを狙うスズメみたい」だと思ってたりするの、なんだかめちゃくちゃふたりっぽくて思わず笑ってしまったよw
伝説の指輪
満潮の時刻から一時間が過ぎても「シャンおばさんの反響の声」が届いてくることはなく、民宿に戻るなり最後の希望を託すかのような目でホムラを見つめてはその表情から答えを汲み取り次々と「失意」に染まっていくリモリア人たちの視線にいよいよ居た堪れなくなった彼女は「浜辺を歩きに行こう」と彼を夜の海へと連れ出すことにするのだが、浅瀬で光るウミホタルに「魔法使いになったみたい」だと思わず手を伸ばす彼女に「君が驚かせたからショック死しちゃうかも」なんて意地悪な冗談を言ってみたり、その光る海に「願いを届けてくれますように」と彼女が祈るそばから「ウミホタルは喋れないのにどうやって?」なんて水を差してみたり、ホムラってこう明白に彼女が自分を元気付けようと無邪気に振る舞ってくれる瞬間が本当に好きだよねぇ(ニヤニヤ
好き過ぎて思わずちょっかいが出ちゃうこの無垢な空気感がきっと「海神」ではなく「ホムラ」として培われてきた部分なのだろうね。
本当はこんな結末になるだろうこともどこかで予期していたのだというホムラ、それでも「伝説はやっぱり全て本当に起こったことなのかも知れない」と思えるような話があると改まり、子どもの頃に語り聞かせてもらったことがあるらしい「海月の儀式の由来」とやらを教えてくれたりするのだが、これまでのあれこれから恐らくこの話も漏れなく事実と捉えておいた方が良いのでしょう。
それは「かつて従えていた海獣がある災難に遭って没しクジラの骨となって鯨落都が生まれた」なんて噂の「初代海神」の物語であり、彼はあるとき「鯨落都を守るため」に姿を消してしまい「恋人」が世界中を探し回ってようやく見付け出されたときにはすでに長く深い眠りについていて、嘆いた恋人が流す「血の涙」がふたりの「契約」を象徴する「指輪」に落ちた瞬間ざわめく金の海の奥からは「貝殻の舟」が浮上、これが月明かりの導くまま「眠る海神」と「その恋人」を乗せて鯨落都へ帰っていった、という伝説なのだそうで、海月の儀式はこの「初代海神の葬儀」を模した神事であると言い、さらにこの物語に登場する「指輪」をホムラは見たことがあるのだと。
てことは、海神は「海神祭でもっとも敬虔な信者を花嫁にして心臓をえぐり出し契約を終わらせる」ことで代々鯨落都を守ってきたわけではそもそもないんだね。少なくとも初代海神はむしろ自分の命と引き換えにそれを果たし、彼の魂を鯨落都へ帰したのは彼の恋人の「血」と「契約」の力だったってことになるのかな?
伝説の指輪は本来なら多くのリモリア人たちでさえ知らない海の底にひっそりと眠っているようなものだったはずであるが、ホムラは周辺都市を襲った「首謀者」を探していたときに「金銭取引」の中でそれを発見し、とは言え欲に濁った目にはまず留まらないような素朴なものなので誰かの注意を引くこともなく「それがリモリアの責重な宝のひとつだと知っている人物」の手にあっけなく渡ってしまった、さらにそいつは今それを「もっと価値あるものと交換することしか望んでいない」と言いながらどこか意味ありげな表情で彼女に向き直るというのだけど、なるほどここでようやく1部8章「狩猟日」の彼の取り引き内容が明らかになるというわけか。
いやーもはや懐かしいような話だな。どうして「EVERの執行リストに彼女の名前があるならその一切を僕に任せて欲しい」と交渉しに来たはずのホムラが逆にEVERから小さな宝石箱のようなものを受け取る側だったのか長らく疑問だったけど、あれはシンプルに何か指輪や珊瑚のような「リモリアの責重な宝のひとつ」を「もっと価値のあるもの」と隠れて交換していた場面だったのだね。
突然始まった変なクラブイベントのせいでまるでホムラがその小箱の代わりに彼女を蟻の巣へ招き入れてしまったかのようにも見えたけど、この少し後に出てくる例の交渉相手は「コアを独り占めする気はない」が「今回もいい取り引きになりそうだ」なんて前回を振り返ってたりするんで恐らくあのときホムラが支払ったのは本当に「燐龍のコア」だったんじゃないかな。帽子島を訪れたのも人喰い渦と対峙してたのも目的はコアの回収だとホムラは始めから事実しか述べていなかったのかも。当時は何もかも疑っちゃって本当にごめんね(殴
ホムラはもちろん本来リモリアのものであるはずのそれらを返してもらうためにこちらが対価を払うだなんておかしな話だからと言って今回は「僕にひとつ考えがあって、」なんぞ切り出すも彼女は何をとも聞く前に「やるよ」と即答、とは言え「ひょっとしたら私もずっと前から彼と一緒に一騒ぎすることを期待していたのかも知れない」などと感じているあたりこの時点すでに「自分が対価に扮してひと暴れする」のだろうことをあらかた察していたのかも分からんな。
ナリマ
そうしてついに名前が明かされた寡黙な男「ナリマ」はホムラが言うには「利益のためにEVERの内部崩壊を企てる計算高いやつ」だそうだけど、個人的にはちょっと買いかぶり過ぎてたなと残念至極である←
ガイアの目に触れるのを恐れて追波島には出向いて来ずビロノ南岸の防波堤に隠れた「ブレインマシンインターフェースセンター」なる地下施設を商談場所に選ぶほど「警戒心が高い」とは言うけども、ホムラの「陰謀と裏切りの芝居」には早くも彼女が「誘拐された取り引き対象」だと断定し「例のものは直々に持ってきた」なんて言ってるし、もちろん戦闘要員やワンダラーを配備して厳重な警戒態勢を敷きふたりを「応接室」に通すまで「器機の準備に一時間掛かる」だの「先に真偽を確かめる」だのと揺さぶりを掛けてはくるけれど、そうなったら「君が逃げ出し僕が連れ戻す騒ぎを演じて取り引きを急かそう」と結局ふたりが予め取り決めていた台本通りに踊らされ、結果辛うじて「こちら有利」ではあったけど「幹部たちを上手く欺く内通者」になり得るほどのキレ者には見えませんでしたな。むしろそのうちEVERの方から切り捨てられやしないか心配になるくらい。
それよりもその完璧な工作でいよいよナリマと対峙するホムラの方がよっぽどうわてでこちらまで圧倒され思わず鼻血出すところだったわ(致死
これは互いに譲るつもりのない取り引きにおいてどちらが先に現物を提示するか膠着する盤面を動かすホムラの一手なのだけど、美しさとも妖しさともなんとも筆舌に尽くしがたいこの気迫と風格はなんと形容すべきでしょう? 上手く言葉にできる方いませんか?←
腹を見透かされたナリマがうっかり指輪をチラつかせた瞬間即座に奪取へ転じた彼女が「密かに期待していた」のだという「一騒ぎ」を始めると、もう手の付けようがないふたりの息の合った共謀が完全に舞台を掌握し、最後は「とても熱いカーテンコールだね」なんていかにもホムラな一言でフィナーレを飾る幕、思わず立ち上がって拍手喝采「ブラボー」と叫びたくなるような奪還劇だったな(やめて
演じ終えて「出演料」を請求する彼女ももちろん名役者ではあったけど、ホムラくんはきっと華があり過ぎて主演に据えないと作品が成立しないタイプの役者さんでしょうな。思えばわたしは初めてオペラ歌手Moの歌や演技がめちゃくちゃ見事な筆致で鮮やかに描写されるあの秘話を読んだ当時も感動のあまり「まじで人を惹きつけるとんでもない魅力とカリスマ性や中毒性のようなものがあるんだろう」「取り憑かれた熱狂的なファンが理性を失い狂気に陥ったように次回公演を熱望する声を上げている気持ちが分かる」などと溢れんばかりの感想を書き殴っていた記憶w
鯨泥の灯り
地下施設を脱したふたりは防波堤に用意しておいた小さなボートに乗り込み追波島へと急行するも「空気中には異様な気配が漂い空を黒い雲が覆い始める」とはなんとも嫌な感じである。確かに「今日は午後からビロノ海域に嵐が近付いている」のだとは言うけども、彼らが「指輪」を手にした途端「満潮の時刻」に向かって「荒れた波と風」が海をしけさせているだなんて秘炎の滾る地「深海」がふたりを呼んでいるものとしか思えんぞ…?
海の中で育っていない彼女にとってこうして荒れた海は「まるで巨大な何かが間もなく現れるよう」で怖いだろうし後ろで休んでいてもいいなどとホムラは気遣ってくれるけど、こんなときこそあなたの傍がいちばん安心できると言う彼女に「いま僕という海神は嵐や高波を落ち着かせる力を持っていないから」せめて君の心を落ち着かせることができるなら、なんて発言も全部含みあるもののように聞こえてくるんだが(怯
沖合の狭い岩礁にぎりぎり建てられたような小さな灯台で暴風雨をやり過ごすことにしたふたり、突然の訪問者に慣れた様子の灯台守が手際よく中に迎え入れ再び持ち場へ戻る際に親切に手渡してくれた「クラフト紙に包まれた非常食」のようなものの中身がビスケットや干し肉のつもりで封を開け思いがけず充満する「魚の生臭さ」にびっくり顔をゆがめる彼女を「どうして先に気が付かないのか800メートル離れていても僕には匂ったよ」とホムラはめちゃくちゃ笑っているけども、こんな場面で必ず出てくる「800」とはこれ結局彼の口癖みたいなもの? それともやっぱり何か深い意味が?
広い海にぽつりと浮かんでいるような灯台をひとり守っているらしいその女性はアランの言う「世間から離れて暮らすことを選んだリモリア人」のひとりだったのだね。
蝋に灯りがともされ灯油の香りが広がるとホムラはかつて「リモリアにも灯台に似た建物があった」ことをふと思い出し、今となってはもう覚えている人も少ないが「海がまだ広かった頃」旅をするリモリア人たちの手によって「鯨落の地」に築かれた簡易足場のようなそれは目標や方向を見失った命に安全な避難場所ともう一度立ち上がる力を与えてくれる「海底の灯台」のようなものだった、だから新たに旅立つ者はみな「鯨泥の花園」とも呼ばれるそこで「鯨泥の灯り」を携えて行くのが風習だったのだと語るけど、そんな話を聞くとまるでこのリモリア人女性が「帰ることのできない周辺都市」や「失われた鯨落都」のように「旅立ちの原点」や「終着点」をあわや見失ってしまわぬようこうしてここで「鯨泥の灯り」をともしているかのように思われて、もうじき嵐が過ぎ今度は「初代海神の葬儀」を模して次こそ本当に鯨落都が現れ全てのすべきことが果たされたら「ホムラは何を選択するのか」彼女は改めて問うてみたくなる。
ここが今ストのひとつテーマみたいだよね。EVERに連れ去られた一族の一部はいまだに行方不明であり「そんな状態で僕が行ってしまうわけない」なんて海神としての選択をすでに聞かせてもらった彼女だけど、私が聞きたいのはあなたが「ここ」にいる理由じゃないし「臨空市」にいる理由でもない、普通の週末や暇な午後やなんでもない一日に、本当になんの意味もなくただ私があなたに会いたいだけの日に、私のそばにあなたはいる? なんて今度は「何者でもないただのホムラの話」を持ち掛ける。この世界、海、使命、復讐と大きいものから順に切り捨てて最後に「日常」を尋ねてくる流れめちゃくちゃ彼女らしいなって思ったよ。
あなたがどこに属するかはもう聞いていない、あなたが何者かも今は問題じゃない、世界があなたに何も要求しないとき、あなた自身も理由を持たないとき、つまり「あなたがようやく自由になったとき選択肢に私は残ってる?」っていう、とてもかわいいのにとても問い詰めている感じw
これを「君が本当に聞きたいただひとつの問い」と捉え「ただひとつの答え」を述べるなら「僕はとても長い道のりを歩いてきたがどの道にも同じ灯りがともっていたしその灯りは僕の旅を導くだけのものじゃなく運命の本当の終着点でもある」のだとホムラは受け答えるが、素直に聞いていいなら「選択肢に残っている」どころか「長い道中いつも君を灯りとして選び続けてきたしそれは旅の途中にある灯台の光であるばかりか最後に辿り着く場所そのものだ」と告白してくれたのだろうなと思う。
ただ、彼女が「リモリア人の寿命を考えたらずっと同じ灯りが傍にあるなんて有り得るのか」と尋ねれば「絶対ないとは言い切れない」と敢えて不確実性を含んだまま肯定し「今君の目に映っているのは大海の中のほんの一滴の水に過ぎないが君がもっと先へ進んだとき誰よりも遠くへ辿り着いた人間は自分なんだと気付くかも知れない」なんて語られる最終的な彼の展望は「彼自身の答え」と言うより「彼女についての解説」になっていると感じる。
彼女の言う「リモリア人の寿命」が「死後命の在り方が変わり海で永い時を過ごすことができる」彼らの死生観や「眠りにつくだけで死なない」海神の永世性を指しているならば、ホムラの言わんとしてることって「君はまだ人間としての時間感覚で世界を見ているが本当は僕の時間に置いていかれるような存在じゃない」むしろ「君が理解できるところまで進んだら僕の運命の本当の終着点にさえ立っていられることが分かるはずだ」って主張に聞こえるよね?
わたしが忘却の海「海神は海の全てを少女に捧げた」とか羅鏡の儚き声「私は海の水となってずっとあなたのそばにいる」とか過去ストに引っ張られ過ぎてるのかも分からんが、まるで「君の魂は元より海の全てだ」とでも言いたげな。
まあ敢えてそんな風にも読める言い回しであるだけの即答を求めないプロポーズなのかも知れんがな。何より今はまだ目の前に「果たすべき使命」があり、復讐が遂げられたら次は「リモリア人たちの願いを聞いて叶えてやらなければならないのでは」と彼女は考えつくけれど、エアマイクを向けられたホムラは「海神は子どもの誕生日にお願いを聞いてこっそりプレゼントを準備するような人間の親とは違う」ためそんなとき彼らは海神にではなく「海に向かって願う」はずだと回答、そうすればあるいは海が願いを叶えてくれるかも知れないし、もしくはカニやエビがただ願いを盗み聞きしているだけかも知れない、だそうです←
貝殻の舟
追波島に戻ると月光が反射する凪いだ海を臨む浅瀬の岩礁に集うリモリア人たちが「海神とその信者たちに捧げる古代リモリアの祝福の歌」を口ずさんでおり、ふたりが手を重ねるようにして指輪を握ればその美しく響く伸びやかな歌声はさらに海風に乗って深海の底へと運ばれていき、やがて「主の帰還を歓迎するかのように跳ねるイルカ」が数頭海面に現れるなんて言うけども、うーんなんとなく鯨落都とは「契約」と「祝福」の気配に呼応して門が開かれるようなニュアンスなのかな? 確かにあれこれ思い返してみれば実は「海神が好きな人を連れてくること」を海がもろとも祝福するための海神祭でありそれを催す神域が鯨落都の神殿の本来だったような気もする。
ふたりが海へと踏み入ると満ち切った歌声は臨界に達し、何やらこれに「彼女が共鳴したこと」によって海は限りに触れ「刃で切り裂かれたかのように立ち上がった巨大な波が月明かりを遮る」ということが起こったかのように読めたけど、すると程なくしてまさにホムラの言う伝説をなぞるように本当に海底から浮かび上がってくるこの「貝殻の舟」は「海の祝福が海神とその信者に届いたこと」によってふたりを迎えに来てくれるもののようでもあり、とは言え「ホムラが指輪を握り締めた瞬間に現れた」とも書かれてるんで元より指輪が「海神が自分の舟を呼び出すためのアイテム」だったとも取れる。
そうして浮上したその貝殻の舟は彼女にとっては「どこか懐かしくも見知らぬエネルギー」をまとっているといい、抗えない力に引き寄せられるように無意識にEvolを発動させれば脳裏にはかつての海神と交わした「リモリアの永遠の契約」や「最後の手ほどき」を受けたあの貝笛の調べなどあらゆる記憶の断片が「宿主を見付けたかのように」一斉に流れ込んできて、あるいは「それが最初から自分のものであった」かのようなリアルな感覚を伴う追体験に陥ったことで彼女は忽然と意識を遠のかせてしまうけど、突として朦朧とする彼女を貝舟の上でしばらく抱きかかえながら思案げに声を掛けてくれていたらしいホムラは「もしかしたら長い歳月を経てやってきたのだろうこの舟に残された以前の主の痕跡と古い海の力の干渉を受けたのかも知れない」などと見解してるんで、たぶんこれがあのときあれしたその同じ舟なのだよね? (指示代名詞過多
となると、原所有者たる初代海神とその恋人とやらがワンチャン彼らと何か繋がりがあるのではないかと気になってきてしまいますな。初代のふたりと羅鏡のふたりはどちらが先立たれるか立場が入れ替わる結末を迎えていたりするので「もう二度と同じことを繰り返したくない」そんな想いから生まれたのが今度は「恋人」の方を犠牲に鯨落都を守るための「予言」だったのかも知れないし、いやはや前章「優雅で厳かな女王」を思わせる「女神の聖剣碑」に収められていた伝説の王の剣といい、どちらの彼の物語も今回「原初的な彼女を思わせる伝説上の人物」をここいらで匂わせておく意図があったりするのかね(深読み
きっと彼女には「共鳴」があるためにこうして貝舟の以前の主の痕跡を「私たちの契約は思うよりずっと前から始まっていた」のだと確信するに至るまであまねく思い出すことができたのだろうから、ぶっちゃけ傍らで何が何やらといった様子のホムラには羅鏡「幻海ザメの記憶の中の鯨落都」を見せてやったときみたいに曖昧にでも視覚化して共有してあげたらいいのにとちょっと思ってしまったが、たった今「あなたが夢の中でこんな曲を奏でていた」と懸命にその旋律を口で伝えようとする彼女の唐突な申し出を「遠回しに演奏をねだられたのだろう」と汲み取ったホムラが不思議な力で「淡く光る巻き貝」を顕現させ「初めて聴いた曲」であるというそれをおぼろげに奏で始めると、海面から突然「焔尾魚」が跳ね上がり、舟は大きく揺れ、月明かりの差す暗流の中にどうやら鯨落都が姿を現したと。
鯨落都の守護者
ふたりを乗せた貝殻の舟が方向も分からない空間の大きさを測ることさえできない無重力のような暗く深い海域へと沈んでいくにつれ、どこからどもなく現れた巨大なクジラの骸骨はこれはかつてのふたりを海神の墓地へと導いてくれたあの幻海ザメの「骨獣」なのかな? 彼らを舟ごと背に乗せてさらに「声なき水域」へと進んでいくのだと言うが、思わず彼の手をぎゅっと握り締める彼女にこれは「鯨落都の歓迎の儀式」のようなものだから「怖がらなくて大丈夫」だと言い添え手を握り返してくれるホムラ、するとある地点で骨獣の頭骨が、脊柱が、その巨体が徐々に目に見えない壁の向こうへ少しずつ呑まれていくように姿を消していくと同時に彼女自身も「身体が形なき障壁を通り抜けた」かのように感じられ、一度まばたきをした次の瞬間にはまるで「時空の裂け目からの来訪者」のような異界めいた気配と無数の光の粒をまといながら空の天の川をも凌ぐほどに輝く「鯨落都」の大通りを巡行していた。
いやはやいつ見ても実に美しいな(溜め息
深空学会によるリモリア文明についての研究著書の中には鯨落都についてもあらゆる解釈がなされいろんな書かれ方をしているのを読んだこともあると言う彼女、いざ目の当たりにしてみればどう表現すべきか「言葉にするのもおこがましい」と感じられ「あなたはどう感じたか」彼に意見を求めてみるのだけど、声のない笑みを浮かべながら「海神にとってここは血に溶け込んだ使命そのもの」であり「だから今回は君が一緒で良かった」とぽつり呟くホムラは一体何を思ってそう告げたのか、彼女が隣にいなければ「何者でもないホムラ」でも在れるはずの自分を忘れその血が使命付けるままに海神たらしめられてしまうところだったってニュアンスなのかな。
骨の翼をはためかせゆっくりと下降する骨獣にいざなわれるままふたりは「石像が整然と並んでいる白い石畳の広場」へと降り立つが、どうやらホムラはいまだ「終着点」を見失い海をさまようリモリア人たちの魂が迷わずここへ辿り着くためには「道を開く」ということをしてやらなければならないと考えているようで、とは言え開かれたままでは一族の「最後の拠り所」たるこの王都までもがEVERの手に落ちて今度こそリモリアは完全に滅亡してしまうのだろうことから同時に「道を閉ざす」ということもしなければならない、そしてそんな風にここを開閉することができるのは「海底神殿」に違いないのだと言って、広場の先にそびえる「巨大な石柱が堅固な骨格のように丸天井を支える荘厳な殿堂」へふと視線を移す。
この時点で過去のあれこれを思い出しているはずの彼女がそれを受け「誤ったとき誤った地点に現れたこの場所で私たちにできるいちばん正しいことをしよう」と言い切れるの本当に気概があるなと感心してしまう。わたしなら仮にホムラの願う全てがそこにあったとてかつて神威を帯びた畏怖すべき何かに代償を求められ犠牲を捧げなければならなかったあの「海底神殿」にだけは行きたくないと口走ってしまうかも知れん(殴
まあ確かに同じ畏怖を覚える強大な存在たる「海神の書」の剥がれ落ちた欠片の一部「リモリア人が真の力を得る方法」をホーケンに叩きつけられてもだからなんだと跳ね返せるのが彼女だもんな。きっとそんな神威よりただ「ホムラが願いを叶えられること」のほうがよほど大きなものに見えているから立ち向かえるのだろうね。
近付いてみると神殿を取り囲むように立ち並ぶさまざまな石像が入り口となる石扉を塞いでおり、その先頭にたたずむ「人の形に似た石像」が体を丸めるようにして石柱の方へ傾き僅かに動いたかのように思われた瞬間「特異エネルギーの気配」とともに現れた「無数の裂け目」の中から驟雨のように降ってくる石片と海獣の姿をした水柱が哮りを上げ出し抜けに襲い掛かってくるのだが、舞い上がる砂塵の中からこちらへ近付いてくるどうやらそれらを使役しているらしい人影はなんと「鯨落都の守護者」を名乗るかつてのリモリアの長老「アモン」なのだよね(驚
見たところ忘却のアモンよりもきっと羅鏡を経て長らく時が経ち今はほとんど金砂のアモンと同一であるかのように思えるのだけれども、ひょっとして彼は海峡の墓地で石像に魂を宿し次の海神の試練まで永遠にそこで眠っていなければならないあの歴代の海神たちと同じように本来であればずっとここで「鯨落都の守護者」をしながら次は潜行者となったホムラの方から辿り着いてくれるのを待ってなきゃならない流れだったのかな? 本人は「海神の命令によりここを守りながらその帰還をお迎えする」のだと言ってる。
始めはただ憑かれたように「何者にもここを踏み荒らさせはしない」などと繰り返し呟いているだけで意識も清明でない様子だったけど、ホムラの気配と声を認識すると虚ろだった目には微かな光が戻り、しばしば言い淀みながら断片的な独り言を羅列し始めるアモン。
まるでうわごとのようなそれらをざっくり繋げてみると、まずは「天と海が覆り鯨落が蘇った」のが一千万年前、これが伝説「羅鏡の儚き声」ラストシーンに該当するのかな?
ただしリモリアは本来「真の終焉」を迎えるはずだった、こちらについては毎度詳細が語られないが、あるいは「契約を終わらせることで初めて完成するはずの海神の力」を持たないホムラがそのEvolを火種に代用しているために起こるのか、とは言え忘却「後日談」によれば彼の炎は「永い歳月」栄華を極めたリモリアを保ち続けていたようなので、結論どんなに手を尽くしても大いなるうねりの中で始めから「必ず滅亡することを約束された文明」という設定なんじゃないかとも思ってる。
ところが海神はその「最も大切なもの」を失うことを受け入れず、最後に「力を燃やし火種と引き換えに鯨落都を深空の裂け目に隠した」ためそこは時間の流れない命も朽ちることがない「全てが永遠と呼べる場所」になった、つまりホムラは「リモリアを終焉から守るため」に止む無く「王都を切り離す」ことにしたのだね。
世の炎も万物の力もいずれは尽きるものだから「永遠の鯨落都」は物質的な世界から見れば「二度と帰れない失われた故郷」となってしまったが、海神が再びその全てを捧げ壁龕の中の火種を燃やすことができれば海神と鯨落都は共に「最初のあの場所」へ帰ることができる、というシステムのようなので、アモンをひとりここに残し「帰還を待つ」ように命じていたらしいかつてのホムラは恐らく「次にここへ踏み入るときには自分は再びその全てを捧げ壁龕の中の火種を燃やすことができるようになっている」想定であり、またその時こそ深空の裂け目から呼び戻した王都と共に「最初のあの場所」へみんなで帰る心積もりだったのではないかな。
復讐の歌
ホムラを「真の主」と断じたアモンがふたりを神殿へと招き入れるべく海藻に覆われた重厚な石門にいよいよ手をかけたとき、どうやら「貝殻の舟」を追尾して来たらしいガイアの巨大な潜水艇が数隻「鯨落都の外縁」の向こうに現れて一斉にこちらへと迫り来るのだが、鋭さを帯びた視線でそれらを捉えるなり「魚が網にかかった」と向き直り炎をほとばしらせるホムラ、彼が「この神殿を彼らの血で汚させるな」と宣するのを合図に「深海の漸深層」へと進入した船舶の群れは少しずつ航路を狂わせ始める。
潜水士に視点が切り替わると船は「深淵から響く歌声」に導かれるようにして海底の谷を越え、辿り着いた先は「真珠や玉石で築かれた繁栄の都」かのように思われて貪欲な研究員たちが舷窓にへばりつき狂喜乱舞するも束の間、絢爛な宝物殿はまるで幻影のごとく消え去って、現在地を見失った艦内には座標エラーの報音が鳴り響き、やがて制御の効かなくなった潜水艇群は突如せり上がった巨大な岩壁に包囲され、その断崖のいただきに立っている「まるで海神のような威容を示す青年の姿」を目の当たりにする、なんてことが起こるんで、恐らくホムラが「歌声」の力を用いて幻を作り出したり海床を隆起させたりして「リモリアの裁きの庭」と呼ばれるその場所へ「罪人」たちを迎え入れたってことなのだろうと思う。
なるほど秘炎の滾る地「海の寛容さを服従と思い込み深海の残酷な色を忘れてしまった人間たち」のためにブルーホールへ潜りドデカ石板を読んで「死んだ深海」を蘇らせ「従順じゃない力」を受け取ったのはこれをするためだったのだね。
自分が何をしようとしてるのか「包み隠さず話す」つもりだが「もう少し時間をくれないか」と訴えていたのは当時まだ「復讐」をあけすけには打ち明けられなかったってことだったのかな。
この辺からとっても胸にきてしまうのだけど、彼の歌声に正気を失いそのまま狂い死んでしまうかと思われた谷底の侵入者たちを一目見ることもなく「封じられた過去を見通そうとしているかのように」断崖の向こうをじっと見つめているホムラは「復讐の歌」を最後まで歌い上げることができず、代わりにまるで自分に言い聞かせるみたいに「全てが終わる」「終わりにしよう」と繰り返し独り言つのだよね。
そのうち多くの侵入者たちが正気を取り戻し始め、ホムラに銃口を構え砲撃を発砲、淀んだ海水には次第に硝煙が充満し、被弾した岩壁は崩壊寸前となり足場を失ったふたりは断崖から突き出た岩片へと飛び移るけれど、それでも彼は「最後の楽章」を歌い始めることができない。
すると彼女は岩陰から密かに彼を捕捉する銃器に掩護射撃を放ちつつ、きっとホムラは今「復讐をためらっている」のではなく「周辺都市で過ごした時間や死んだ仲間たちとの思い出を手放すことができない」だけ、だから「あなたが終わらせると決めるその時まで私はいくらでも傍で待つ」なんて申し出るのだけど(ないてる、これを受けて「君は充分待ってくれた」とついに意を決したホムラがようやく彼らに視線を落とし、さらに「烈火」が「見えざる裁きの刃」となって頭上に掲げられると共に「必ず鯨落都を見付け出すとは生きて帰ることを前提とした約束だった」のだと声を張ったときにはまじで涙腺が崩壊してしまったよ(嗚咽
ホムラは復讐を終わらせたあと「自分の中から何が消えてしまうのか」を見つめていたのだね。それは仲間たちが確かに生きていて笑い合っていた時間、失われなければならなかった理由のなさ、復讐の完遂はそういうものを全部「封じられた過去」にする行為でもある。
そちらに背を向けてもう一度歌い始めなければならない「復讐の歌」は、きっと「もう死者を理由に生きない」「これ以上過去に縋らない」という決別の呪文のようなもの。最後まで歌い切れば「それでも確かにあったあの日々」は本当にもう二度と戻ることができない「過ぎ去った時間」になってしまう。だから歌えない。
でも、誰かがそれを「外側で」見ていてくれたら同じ歌が「そちら側へ戻る」約束の言葉にもなる。死者を連れ帰るつもりでも神話に殉じるつもりでもなく始めから「一緒に生きる場所」を取り戻したかったのだ、という彼の言葉を最後に壮大な復讐譚は幕を閉じ、過去に生きるホムラから「今を生きるホムラの物語」がようやく始まったってことなのかも知れないな。
ところが彼の「裁きの刃」がついに「それでも確かにあったあの日々」もろとも断ち切らんと振り下ろされる直前、王都を漂う光の粒がそこかしこから集まって無数の「霊体」が顕現し、形なき存在であるなずなのにどこかおぼろげな輪郭を持っているかのようにも見えるそれらが「歌声」を重ねながらゆっくりと谷底の中心へと集い、侵入者たちは再び妄執に顔を歪め始めると言うのよね。
それはようやく王都へ辿り着くことができたらしいリモリア人たちの帰還した魂で、彼らは「本当に帰らせてくれるなんて」「大口を叩いてるだけかと思ってた」なんぞ口々にホムラに感謝を述べ伝えたり「実はあなたが陸に上がった日に告げ口をしたのは楽師様だ」とか「あの授業をもう一度受けたい」だなんてとりとめのないことを代わる代わる言い合ったりしながら彼がついに歌い切ることのできなかった「最後の楽章」を代わりに詠唱してくれているってことなんだと思うのだけど、えーんスカイダイビングのおじいちゃんも来てくれてるやん。涙
最後に現れるリモリアの王と王妃はホムラの実父母でもあり、父はホムラが「海面に行きたくてこっそり抜け出した」今を生きることに惹かれていた子どもの頃と何ひとつ変わっていないのだということ、ただしそれでも過去を背負うことを選んだ「大人」にもなったと彼の「復讐を選択した覚悟」を静かに肯定し、母は「あなたが絵筆を持つための手を憎しみや血で染めてはいけない」と言って、ホムラが今を生きるべき場所へそっと背中を押してくれる。彼らが「最後の楽章」を引き受けてくれたのはきっと誰もが彼に「海神」でありながら「何者でもないただのホムラ」でもあって欲しいと願っているからなのだろうね。
ちなみに谷底の侵入者たちはただの小石や砂粒をまるで金銀財宝でもあさっているかのごとく掻き集めながら喉元から血を噴射させて死んでいくのだが、もしかして砂に沈む遺跡「周辺都市」の跡地なのだろう海底遺跡の中で「服を着てコア武器を携えたまま漂っていた骸骨」というのはこうして「霊体」や「歌声」の力によって葬られた当時の侵入者たちの中のひとりって話だったのかな?
海底神殿
混沌の海底へ深く礼を捧げ、裁きの幕引きを見届けたふたりは再び神殿へと戻り、正しい時が来るまで鯨落都をあるべき場所へ帰すべく、いよいよ壁龕に火種をともすことになるのだが、いやーここは怒涛の回収になっていましたな(疲
結論からお伝えさせていただくと、ぶっちゃけわたしは先にアモンから「鯨落都を深空の裂け目に隠す」ためには「海神が火種と引き換えに力を燃やさなければならない」と聞いてきっとホムラが大量に「力」を消費して大ピンチになるも彼女の「共鳴」がそれを増幅させてなんとかなるような展開を想像してました←
と言うか、そもそも「花嫁の心臓をえぐり出し契約を終わらせる」ことができず「印の完成した海神」になれなかったホムラには「海神の力」が備わっていないため、たとえば「嵐や高波を落ち着かせること」や「王都を深空の裂け目に隠すこと」みたいに海を巻き込んで天変地異を引き起こすような力が止むを得ず必要になったときにはそれこそ「海神の書」から使う分だけ「力を受け取る」ということをしなければならないようだけど、ことごとに海神として必ずしも「完成」を強いられるわけではどうやらなさそうであり、するとここで起こる問題とはそのたび青い目になって我を忘れてしまうことと、受け取った力以上のことをして「命」を消耗してしまうこと以外特にないものと思っていたのよね。
彼女が「共鳴」をすれば彼が青い目のままホムラを保てていたような場面には見覚えがあり、さらに「命」を消耗してしまったときには海神の墓地で「ホムラを純真無垢に愛する心」を持つ彼女の心臓から「金色の光」が掻き出され彼に注がれたことで一命を取り留めたその措置を「要は共鳴すればいいんでしょ」などと勝手に誤認してたんで、今回ホムラが「火種と引き換えに力を燃やさなければならない」ことになっても彼女の「共鳴」があればなんとかなるんじゃないか? みたいな。
ところが今スト読んでみてようやく気が付いたのだけど(おそい、彼女の共鳴は「古い海の力」を介して初めて「海神の力」となり得るのだね。墓地で「金色の光」が彼の「力」になり得たのも歴代の海神たちによる「古い海の力」を介していたからこそだったのだろうと思う。
思い返せば確かに彼女が最後に自分の生命エネルギーを全てホムラ捧げるのに他の彼の物語のように共鳴を放つのではなく「海の契約に基づいて」あの短剣で胸を突いてそれを遂げる描写から「単なる共鳴ではない」ことは分かりやすく示されていたのかも知れないな。わたしが読み取れていなかっただけ(呆
神殿に踏み入るとホムラの指先に灯った炎が焔尾魚のように泳ぎ出し、やがて壁龕の中で激しく燃え上がると瞬く間に鯨落都は光を帯び始め、彼女が「あなたを独りにしないと約束した」からと記憶の断片を頼りに「彼のために歌い祈る決意」とEvolを発動させれば炎は力の奔流に呼応しさらに勢いを増して滾り、ふたりはこれを「もう忘れる理由のない新しい契約」だと言って身を寄せ合い手を握り合ったりして、ここまでは滞りなくシンプルに火種の再燃焼である。となると、やっぱり彼は「海神の力」を用いることなく自分の生命エネルギーたるEvolをリモリアの命として火種にともすことができるわけだよね?
けれども神殿の外には早くも侵入者たちの「援軍」の気配がやってきて、火種の点火から「鯨落都をこの海から切り離し深空の裂け目に隠す」工程への移行を急かされたホムラは「逆巻く海を転じて無限の虚無へと赴け」なる神命とともに恐らく「海神の力」を放つけど、どうやらブルーホールのドデカ石板から得たそれだけでは足りないようで直ぐに苦悶の表情となり、命のバロメーターとも言える壁龕の炎も少しずつ衰え始める。
羅鏡のときもそうだったけど、たぶん「足りない海神の力」には「自分の命の力」が自動的強制的に補填されてしまう仕組みなのだろうね。これについては「背負うべき代償」であり「鯨落都を彼らの手に渡すことに比べたら取るに足らない痛み」だとホムラは言ってたりするんで恐らくブルーホールに潜った時点ですでに想定していたことなのだろうとは思うけど、なんしか「力」が足りな過ぎるようである。
彼女は始めこそ「共鳴」でそれを補うべく何度もこれを試すも事態は好転せず、補うべき力がEvolではなく「海神の力」であるのだろうことや、それをするには「契約を結んだ者」たる自分が「海神の書を呼び覚ます」必要があることにもはたと気が付くのだけれど、なんとびっくり今回新たに明らかとなった設定として、ホムラは「海神の力」を得れば得るほど「海底神殿と物理的に不可分な存在」となってしまうんだそうです(愕
これは彼のEvolと海神の力が融合するほどその主体であるホムラ自身と神殿そのものにも強固な結び付きが生じて切り離せなくなってしまうようなニュアンスなのかな? あるいは海神の力を持った状態で「Evolを火種にすること」がそうさせるのか。いずれにしろ彼の命がリモリアの命と同一であることは「概念」として理解していたし、もちろんそこにある程度の物理性が伴うのだろうことも「僕は神殿を離れられない」など過去世のホムラには確かに匂わされてきたけども、それが「海神の完成度」に比例して確固たるものになっていくとは語られてこなかった気がするし、まさかこんなにどうしようもないほどがっちり連結されてしまうものだとも到底思ってなかったよ。
ホムラは「神殿を離れられなくなること」を拒んでこれ以上「海神の書」から力を受け取るわけにはいかないと主張するけれど、すでに得ている僅かな力により彼の鼓動はとっくに神殿の炎と同化しており分離不可能な状態、となると忘却ラスト彼の手に握られていた「赤子の鼓動のように脈打つ炎」も火種はホムラの鼓動そのものと共振していたってことだったのかな?
EVERの援軍はもうすぐそこであり躊躇することも許されないまま、王都を裂け目に帰すための足りない力を補い続けていることで彼の「命」は止まることなく消費され、首筋のウロコの色は消え、尾は先から蝕まれるように灰色が侵食、そんな「このまま無事ではいられない」だろうホムラをただ見ているばかりの彼女がついに止む無く「海神の書を呼び出す」ということを強行すると、この星の全ての海域全ての海水にひとつの使命が与えられたかのようにあらゆる波が幾万もの時空の裂け目を突き破りながらホムラのもとへと集まって、収束した力は無数の「金色の呪文」となりその身体に注ぎ込まれた。
やがて力が充分なものになったのか鯨落都は海神もろとも「全てが永遠と呼べる場所」へ帰ろうとするけれど、今度はホムラがそれを受け入れまいと反発しているため彼の消耗はむしろ加速して、まるで「消えかける泡」であるかのようにほとんど生を感じられないまでに弱り果てていく彼に「もう抗わないで」と訴える彼女、するとホムラは「こんな風に僕を行かせるの?」「さっき僕を独りにしないと約束したばかりなのにもう気が変わったの?」なんて今にも泣き崩れそうになりながら「それなら一緒に来て」って掠れ声で追いすがってくるのだよね。そうかこれが本当に抜き差しならない瞬間にだけ露出する何にも抑圧されていないホムラの本音だったんだな。涙
なんか、羅鏡の儚き声を読み終えて長らく釈然としなかったものがとても腑に落ちたような気がする。正直わたしはリモリアの「真の終焉」に彼女が「封印」という決断を下したとき彼が絶望したように「僕を裏切った」のだと告げたことについても、あるいは真実を知り心乱されてあちこち放浪していたことも実はその真意をいまいち量りかねていたんやが、きっと「放さないで」「ひとりにしないで」と心からそんな想いに駆られたとき彼は「自分の命が尽きてしまうだろうこと」も「それがもっとも大切な場所の滅亡を意味していること」も全部頭から飛んじゃうんだろうなって思ったよ。
なぜならリモリアとは始めから有痛的で、物理的な時間とは決して噛み合わない、死後の安らぎはあるが人間はそこに留まれない、海と陸は必ず面しているがそれは分断が前提で別れは常に視界の中にある、そんな世界で芽生えた愛だからたった一滴が境界に触れたとき堤防が決壊したように洪水のごとく溢れ出し時に苦しくて溺れてしまうような愛に転じ得るのかも知れないなと。
だからこそ羅鏡都の彼女は「死」が怖くなきゃならなかったし、今ストの彼女も「普通の週末や暇な午後やなんでもない一日」を彼に望む人でなければならなかったのではないかな。それは彼女が有痛性によって生まれる美しくて儚くて脆いのに異様に強いその愛を穏やかに積み重ね、「たった一瞬」や「時間停止」のような制御不能な現象ではなく「今」や「未来」を生きることができる愛に育める場所にいるということ。彼女だけは「何者でもないただのホムラ」が生きられる場所を必ず選び取れる「灯台の光」でなければならなくて、つまり決断は常に彼女に委ねられていて、リモリアの真の導き手はホムラの導き手である彼女なのかも知れないなって。
だってもしこれが「リモリア神話」なら海神の方から「手を放して」って言うだろうし、むしろ「私も連れて行って」と懇願する彼女を「君がここに居てくれないと戻って来られない」となだめる場面になると思うんだよ。きっと「ホムラの物語」だから彼女は「行って」を言わなきゃならないし、それってたぶん「行かないで」を言うよりずっとしんどい役回りなんだけど、でも彼女がそうだからホムラは「何者でもないただのホムラ」となって立ち止まることができ、決めかねることさえでき、冠水は引いて決して愛に溺れ死ぬことはなく、あるいは彼女が引き受ける痛みを「やっぱり冗談だよ」なんて言葉で共に背負えるような彼も存在し得るのではないかな。
最後に彼が独り言つ「海神の願いはずっと変わらなかった」とは恐らく「ひとりにしないで」の方ではなく「僕がいなくても心配しないで」の方を指しているのよね? 個人的にはそんな風に読めました。
その呟きと同時に薄暗い海底に唯一の光はまるで「それが海神による壮大な嘘だったかのように」僅かな痕跡も残さず時空の裂け目の向こうへと消え去って、彼女はひとり溺れ死んでしまう寸でのところで突然流れが変わった潮に運ばれて浜に打ち上げられ気を失っているところを「執事」に救出されたのだそう。
「おかえり」
ぶっちゃけここから「今や神殿と引き離すことすらできないホムラを深空の裂け目の向こうからどうやってこちらへ呼び戻すのか」そればかりが脳内を巡っていてほとんどスト読んだ記憶がないんやが(殴、どうやら衰弱した状態で発見された彼女はそのまま病院に入院することとなり、多くのリモリア人たちが見舞いに訪れホムラの行方を尋ねてくるも「防衛本能」からか「ホムラがどこへどうやって消えてしまったのか」どうしても詳細を思い出すことができなかったらしい。
彼女が退院してリハビリ中も通院中も南東の海を眺める勇気が持てなかった間もようやく白砂湾を望む海岸を歩けるようになった日もカモメのエサやりを思い出して奮い立ちもぬけの殻となった彼のアトリエを訪ねてみた日もそこで制作途中の作品に出会ったりトウさんと鉢合わせたりしてるときもわたしはずーっとただひたすら「どうすればいいんだ」と一生うわのそらだったのだけど、ちょっとはしょり過ぎてごめんけどホムラはそれから程なくしてある日ひょっこり「自力で臨空へ帰って来る」のよね(仰天
いーや分からん分らんどういうこと? 前後にそれっぽい叙述があるとすれば彼女が「あなたには鯨泥の灯りがないから私の契約を持って旅立って」と告げたこと? これが時空の裂け目からただ彼女の魂に刻まれた契約の印を辿って戻って来ることができた背景を示唆している的な? あるいはホムラは帰ってくるなり「まあ5000年も会わなかったら忘れられても無理ないか」なんて冗談を言ったりするけども、これがお得意の「800」でないあたり限りなく真実に近い数字を挙げていて、海底神殿とホムラ、もしくは海神の力とEvolを切り分けるのにそれくらいの歳月が掛かったよっていう暗示になっている、みたいな? (いいえ
ただ、ちょっと本筋とは外れてしまうが随分前にこの辺の記事にて「深空の宇宙史は神智学の霊性進化論そのものズバリである」なんて妄想を繰り広げてしまったことがあって、当時は「両性具有だったエーテルが進化して性を分化させたことで楽園追放が起こったその大陸がレムリアだ」なんてだいぶと割愛してしまっていたのだけど、実は神智学の人類創世記における楽園追放は厳密には「二度」あって、わたしは第一失楽のレムリアが彼らの「リモリア」に通ずるものがあるのではないかなとうっすら思っていたりする。
レムリア初期人類にとって肉体とはあくまで器、魂が身体に固定されていないため変な話があちこち飛び回り放題という生命形態なのだけど、霊の進化によって肉体が重く密度を持ち始め魂が肉体に強く縛られることで性が男女に分かれ生殖が必要となり欲が生じるほど霊界に留まれなくなった、これが霊性進化論におけるレムリアの楽園追放で、もちろん本作リモリア人らは決して欲に溺れているわけではないが一方で情愛の交わりや婚姻をとても重んじるし、なんとなくリモリアの「魂」も身体に固定されることによって楽園から遠ざかり解放されることで辿り着くことができたりあるいは「進化して肺を得た」なんて形容される歴史にも当てはまる部分があるのではないかなって。
ちなみに第二失楽アトランティスは自我を持ってしまった存在がまだ神の力を扱えた時代「感情」と「欲望」が「黒魔術(儀式魔術のことでなく近代神智学用語で霊的な利己主義の意)」を増長させ「破滅」「自壊」してしまうのがそれなのだけど、こちらが似た経緯ですでに滅ぼされているらしいシンのフィロスを連想させるかなとも(脱線
前置き長くなってしまったが、ひょっとしたらホムラもこの「レムリア初期人類」のようにたとえば自らの生命エネルギーを肉体か楽園か「どちらに固定させるか」選び取ることができるような何か神秘主義的な手段を実は始めから備えている設定だったりするのかも? なんて気がしてこなくもないかなってね。もちろんその場合神殿の火種は風前の灯のようになってアモンや帰還した魂たちがピンチに直面しているのかも知れないし、ホムラ自身もEvolが黒くなりかけていたり何らかのダメージを負っているなんてことがありそうではある(震
個人的には鯨泥の灯りのくだりから「契約の力」みたいなものが彼らの犠牲や負担を被ってくれていて全員が無傷である帰結を期待したいところではあるのだけど、帰還の可能性が潰えてEvol消費による命の危機が懸念される状態となったセイヤの物語の着地を根拠にするならこちらも「故郷やEvolがそれなりにやばいことになっている」ような落としどころなのかも知れんなと。
何はともあれまずはこうして帰って来てくれたことに心底安堵しました。正直こんなに動揺が尾を引いてその先が一切入ってこない急展開には滅多に出会わんよ。ホムラ、おかえり。涙
次なる節目へ
最後は次なる節目へ向かって回り始めた歯車が次にもたらすのは完全なる滅びか輝ける新生か、各人の様子がそれぞれ描写されて終わるため気になったところだけ掻い摘んで覚え書き。
まずはうっかりスクショを残しそびれてしまったガイアの最高位「気だるげな女」は名前を「ガイリア」というのだね。実は今回ガイリアは彼女が入院中一度看護師に扮し病室へ潜り込んできて「今のあなたなら受け止められる」のだという「鍵でしか開けられないお宝」の座標を勝手に彼女のハンター探査器に同期して去って行くそんな一幕があったんやが、本人は「迷子になった子どもに道を示してやっている」つもりのようであり、さらにそうやって「餌」を与えて「覚醒」を促し彼女の力を全て引き出すことでようやく「迎えに行く」準備が整うものと考えているらしい。
ところがディンはどうやら「地球の大掃除」について「もっとも肝心な部分」をいまだ解読できていないまま「カウントダウンのスピードを見誤っていた」ことからそんなに悠長に構えている時間はなく「一刻も早く彼女を連れ戻さなければならない」と焦り苛立っている様子。
EVERの言うように一見日常を取り戻したかのように思われた街は消えたばかりの異常な磁場がさらに深く隠れた裂け目の中で狂ったように膨れ上がっていると言い、深空男子たちもそれぞれがそれぞれの視点でその加速する磁場異常を感じ取っているような雰囲気なのだけど、取り敢えずめちゃくちゃ気になっているのは「鎖骨の下にある印がゆっくりと熱を帯び海神の書に記されたいにしえの予言が届いた」というホムラが複数の海域で数千もの海の生き物たちが「まるで高次元から無差別に抹殺されたように」息絶えて逆さに漂っている現象を確認しているというところ、彼の物語における「異常な磁場」とやらはなんとなく鯨落都と直に繋がっているような気がしてとにかく帰還した魂たちが心配である(真顔
あとは「激しい異常な波動」によって「骨をも蝕むような痛み」を「右目」に感じているらしいシンがとても不穏な感じ。分かんないけどこれって「血色の霧」の方でなく「エーテルアイ」の話なのだよね? トンネルの彼方にあるらしい「監視」とも「干渉」とも言えるこの現象の「源」には堪え得ないだろう地球の羸弱性が起因して「対処するのは厄介そう」だと思案しているもよう。
遠空艦隊が「計画にない航路」で感知した「新しいトンネル」とやらも気になりますな。全体的に嵐の前触れのような取り敢えずやばそげな気配である(しろめ