クジラの歌
こちら浜辺に漂着したらしいクジラの赤ちゃんを救護したふたりが海洋保護団体のような機関に離礁後の活動をしばらく観測してもらっていたみたいなんやが、先日突然その姿を見失ってしまったということで、「あの時よりもっと重傷を負ってるんじゃないか」心配で仕方がない様子の主人公が「あなたもクジラと同じ海洋生物でしょ?」「不思議なテレパシーを使ってあの子の無事を確認できない?」なんてホムラに助けを求めにやって来る、というショートストーリーになっています。
「必ず見付かる保証はないが探す方法はある」と言うホムラを連れレンタルクルーザーで沖合へやって来た主人公は一応最初はシュノーケリングで海面付近から水底を覗いていたみたいなんやが、「シュノーケルを外して僕の目を見て」「そのままゆっくり呼吸を整えて」ってホムラが声を掛けると、なんと水中で「息ができるし普通に話せる」状態になるんですよね(驚
「無事でいたいなら海の中では僕の傍を離れないでね」なんて言われて「リモリア人は水中バリアが使えるんだね」って主人公ちゃんはしゃいでたけど、じゃあ忘却の海あの時の海神ホムラは「水中で息ができる状態にしてやるため」じゃなく単純に「したかったから」キスしてたってのか…?
子どもの頃からこんな素敵な海の中で暮らしてたなんて幸せだったでしょって聞かれて「そうだね」ってホムラは答えてたんで、やっぱりリモリアは「あの事件」までちゃんと都市としてそこにあり神殿もあったし火種も灯ってたって考えていいんかな。
随分長く泳いでかなり深いところまでやって来たとき、海底に沈降したニタリクジラの亡骸が形成する鯨骨生物群集の近くにはドーム型になった美しいガラスの宮殿が沈んでおり、ホムラはこれを「遠い昔ここはリモリア人たちが祈りを捧げる礼拝堂だった」と言うが、うーん14年前そこそこを「遠い昔」ってのも辻褄合わないような気もするが。
もしかして彼らは陸で暮らしてると人間のように歳を取るけど海底で暮らしてれば長寿、みたいな設定があったりするんかな?
そう言えば忘却の海主人公は海神祭の「1ヶ月前」に鯨落都にやって来たのに「もう陸のことは覚えてない」ってくらい「長い時が経って」いたのもずっごい不思議だったよな。

礼拝堂の遺跡最奥にある床のタイルを1枚剥がすとそこには「クジラを呼ぶ笛」なるものが隠されており、これは「よく迷子になっていた」という幼少期のホムラに手を焼いた家族が「はぐれたときサメに襲われないように」と彼に持たせていたもので、吹けば近くを泳ぐクジラが寄って来てその背に乗せ家まで送り届けてくれる、と言い付けられていたらしい。
てかホムラって改めてめちゃくちゃわんぱくな男の子だったのね。秘話でタンレイは「燃える炎のような少年だった」なんて振り返ってたが、そりゃ浅瀬で座礁もするわいな(深頷
幸いにも一度もサメに襲われることのなかった彼はその笛を「試したことがない」らしく、主人公が何度か吹いてみるのだけど特に何も起こらず、「やっぱり子ども騙しのお宝だったみたい」だと結論するホムラは、たとえあのクジラの赤ちゃんに本当に何かあったのだとしても「海で生まれた命はやがて海に帰り海と一体になって永遠の命を手に入れる」「彼もまた海の一部になりいつか僕が死ぬときは僕も海の一部になる」「リモリアでは死は忌むべきものじゃなく祝福」なのだと説くのだけど、そうか永遠の命って文字通りの意味じゃなく単に彼らの「死生観」みたいなものなのだな。
とは言え諦め切れない主人公は「あなたの家族はあなたがどんなときでも家に帰って来れるようこの笛に祈りを込めていたはず」だと言ってホムラ自身にその笛を吹くよう促すのだけど、ああもしかしてホムラが大人になってわざわざここに笛を隠しに来たのは「もう家に帰れない」ことを突き付けられたくなかったからなんじゃないか。涙
そうして彼が笛を吹くと本当にどこからかクジラの群れがやって来て、群れは暖流と寒流のぶつかる場所を目指し北へ北へと泳いで行ってしまうのだけど、その中にあの赤ちゃんの姿を一目確認できた主人公はほっと胸を撫でおろし、安堵からか寂しさからか思わず涙を流してしまう。
するとホムラが「君の涙は海に落ちて海の一部になった」「これであの子はどんなに遠くを泳いでいても自分を想ってくれる人がいるって分かるだろうね」みたいなこと言ってくれるんやが、ここBGMも相俟ってむちゃくちゃ泣けてしまったわ。
アプリ内では耳馴染みのあるよく聴くBGMだけど、これってホムラくんのテーマなのかな?
金砂の海初めて幻海ザメに乗ったときにも同じ曲が流れていた気がするよ。