空に堕ちる
空に堕ちる

恋と深空を宗教思想史オタクがのんびり考察しています。

ネタバレを多分に含むうえ、新しく開放されたストを読むたびに考えが変わるため我ながらお門違いなこともたくさん綴ってあるのですが、プレイ記録も兼ねているため敢えてそういうものも全て残したまま書き進めております(土下座

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人知れぬ沫雪

こちら間違いなく古代中国神話を題材とした物語ですねぇ。中国の時代劇とか興味ある方もし良かったら「運命の桃花」という作品ぜひご覧になってみてください。ある少女が氷の宮殿に迷い込み眠っていた不死身の美神を目覚めさせ彼と恋をして仙女となり山に桃の花が咲くお話なんですが、これがこのストの歴史的背景をまるっと解説してくれてるような史劇ドラマになってます。割と最近流行ったやつです。

うーむこんなことなら中国神話もきちんと学んでおくべきだったなぁ。とにかく漢字わんさか系の文献を避けて通ってきたために本土宗教や巫覡信仰に関してはまじで知識なさ過ぎて妄想が膨らまん(倒

ただ、ユダヤ神秘思想「生命の樹」における地風水火四大元素によって形成されるセフィラ「マルクト」を司るものとして王冠をかぶる「女王」こそが第五元素「エーテル」に当たるのでは? なんて妄想から、埃の中「ユニコーン」もきっと「聖処女マリア」のメタファーからきてるんだと決めつけてかかってしまったが、恐らく中国神話に登場する東西南北四方を司る霊獣「四神」を束ねる位置に座す「麒麟」という意味でもユニコーンなのだろう、とは思ったな。

と言うのも、四神は地球を中心に「天の赤道」っていう「赤道を土星の輪のように広げた線」が十字に四分割されたところにそれぞれおるんですよ。
この赤道こそが本編3章引力錨に仕込まれていた改造コアの「赤いエネルギー軌道」のコンセプトならめちゃくちゃに面白い。
エーテルコアは地球そのものってことになるし、マルクトにも矛盾しないことになりますからね。
こうやって「ほのめかし」「ダブルミーニング」みたいなところから広げてるんじゃないかな。

実は日本古神道にも「一霊四魂」なる信条があり、これ人間の「心」には4つの魂とそれらをコントロールするための「霊」がひとつ宿ってる、みたいな概念だったりするのだけど、心と心臓とコアが限りなくイコールに近いもののように表現されることが多い深空、精霊信仰的な視点で見解しても主人公の心臓と星の核はシンクロしてるのかも知れません。

いやぁ、わたしは結局どの宗教も突き詰めれば全部「同じものを指してる」し「同じものを信じてる」のかもって思える瞬間が物凄く好きですわ(しらん

何よりこんなにたくさんの神話や宗教から着想を得てる風なのに圧倒的サイエンスフィクションなのがまたこの読み物の魅力ですよねぇ。科学小説であり医療小説であり時に聖典や教典のようでもある。本当に唯一無二の世界観だと感じます。

九黎の司令

この時代のレイはある古書において「九黎の司令」と記されている「幽明の万物を知り生死を司る神」であり、神獣「白澤」の幼体を従えています。

白澤はまさに星の来処セイヤが言ってた「過去と現在と未来がひとつの空間の中で展開されている」かのように世界を見ることができる特別な「目」を頭や背中にたくさんくっつけた全身目だらけのヤギですね。本来なら東の海に居ます。
そして「九黎」とは聖書で言う「ユダヤ人」。つまり神より庇護を受ける「神の民」であり、彼らの神は彼らの中から誕生します。リモリア人の中から海神が誕生するのと同じ関係性ですね。

こういう思想がどこまで設定に盛り込まれているのかは分からんが、6話の終わりで老人がレイに「司令の衣鉢を継いだからには」と声を掛けることから、少なくともこのストにおける「神」は衣鉢相伝によって類稀なる神業や奥義を身に着けた人がそう定義付けられていた、って話なのでしょう。
もしかしたら本当に「司令」なる神様が居てそっちが元ネタなのかも知れんが、古文辞とかになってきたらもう神も仙人も宦官も皇帝もみんなごちゃ混ぜになってわんさか出てきてやんなっちゃうし、突き詰めなくてもいいよな? (宗教オタク名乗るな

レイは司令として「南山」の奥懐に暮らしており、春が来ると幻術を用い職能者の姿となって下山、本人いわく「人相見」で占いのような商売をしているらしいがどう見ても巫術を用いて神霊の御言葉を町人たちに授けている様子でした。

神話だと「南」を統べる神は「朱雀」っていう鳥なんやが、レイの衣装に鳥の羽みたいな装飾が散りばめられているように見えるのは朱雀のイメージだからなのかな? ぶっちゃけわたしは朱雀がどんな鳥なのかも全くもって理解してないが←

どちらかと言えばセイヤの方が小鳥に囲まれてるイメージではあるが、レイにもどこかに鳥の要素ってあったんだろうか。鳥のぬいぐるみとかゲットすれば何か喋ってくれる? クレーンゲームなぞ一切やってないもんで…(殴

物語としてがっつり神話がモチーフなので時系列がムズいんだけど、冒頭の「百岳志・南山の巻」がひたすら万葉集みたいな口調なのと、平城京には朱雀門があるのと、簡牘と言えば天平文化なのとで完全に奈良時代を連想しちゃったわたしは勝手に8世紀中頃くらいのテイで読み進めてしまったなw

大昔ではあるがざっくりと忘却の海よりは後世、くらいの認識でいいんじゃないかな(てきとう

霊力

今回主人公は物心つく頃からある山小屋に独りで暮らしていたという「霊力を持つ少女」であり、ある年その能力によって「地竜が寝返りを打とうとしている」のに気が付き町のみんなにこれを伝えると本当に天災で多くの人が亡くなってしまったことから彼女自身が「妖怪」として追われる羽目になるのだけど、恐らく以前は時町に下りて過ごすこともあったが今は人から逃げ隠れるようにひたすら山に籠っているみたいで、毎日が孤独であり退屈であり、霊力を使って虎や狸の霊獣を「仲間」にして回っているもよう。

レイの住む南山には彼の神獣「白澤」の後を追ってうっかり迷い込んでしまうのだけど、自分の霊力を目の当たりにしても町人たちのように不審がらないレイが古書で読んだ「山に住む神」なのではないかと考え至った主人公は、半ば強引に彼の元で「霊力を制御できるようになるための修行」を積ませてもらうことに。

修行の内容について詳しく書かれてはいませんが、主人公の生まれ持つ「霊力」についてはたぶん共鳴Evolのことなんじゃないかなぁという印象。
本編7章ホムラくんの言葉を借りるなら「自分の周波数を変えて相手と繋がる」ことで霊獣を仲間にしてきたのだと思うし、地竜の寝返りについてもたとえば大地から感じる波動と共鳴して地震みたいな自然災害を予知してたとかそういうことなんじゃなかろうか。

ただ、レイの能力に関してはもちろん氷柱を生み出すことができるので生まれ持ったEvolはあるにしろ幻術で人や物の姿を変えたり竹簡で陣を展開したりそういう「修行によって身に付けた業」みたいなものも入り混じっての「霊力」なのかも知れません。

9話で描かれる「氷のような青色をした霊力が空を覆い雪を引き寄せる」シーンについてはもちろんレイのEvolそのものを指して「霊力」と表現していたとも取れるし、あるいは主人公のEvolが共鳴したために霊力を帯びたのか、直前には竹でできた傘の骨が百数本「霊力によって突然空に浮かぶ」ような場面もあり、これは一見「レイが修行によって身に付けた業」によるもののようでもある一方で、2話には「この山には確かに霊脈が流れている」なんて発言もあることから、ひょっとしたら本当に山に宿ってる神霊の御力みたいなものも含むのかも知れない…?

霊蛇

生まれてからずっと山にひとりぼっちだった主人公はとにかくレイと暮らせることが嬉しいし楽しいし「ずっと一緒に居たい」って想いを常に抱えているようで、「修行をつけてもらうことへのお礼」だと言いつつ少しでも彼の役に立ちたい一心から彼の大切にしている山の神木を毎日進んで世話してる。

あるとき彼女は「あらゆる植物を守る」と言われる「霊蛇」のたまごを神木の下で温め孵化させてみるのだけど、生まれた蛇は木を守るどころか突然彼女の指に噛み付き、巨大化して暴れ出したかと思えば今度はこちらに襲い掛かり、ただならぬ気配を察し駆け付けたレイの氷柱に間一髪助けられることとなった。

レイが言うには霊蛇の凶暴化は彼女の持つ「力」によるもので、もちろん虎や狸の霊獣が彼女を慕い懐いているのも同じ力によるのだけれど、今回ばかりは異なる結果に結び付いてしまった、みたいなことらしい。

主人公は「孵化したら様子がおかしかった」と感じたようなんやが、個人的にはこの蛇の巨大化や凶暴化は「彼女に噛み付いたこと」「血を吸ったこと」によって引き起こされたかのように見えちゃったかな。しばらく喰らい付いて離さなかったようだし離れたタイミングで大蛇になったので。

てか、人間の血って体のどこで作られてるっけ?
なんとなく心臓が全身に血液を循環させるポンプのような臓器であることは分かるんやが、生成されるのも心臓なんだっけ? (アホ
あ、いやむっちゃ感覚的な話なんやが霊蛇は彼女の血液から心臓にあるエーテルコアを感じ取っておかしくなってしまったのかと思ったもんでさ。
レイは「霊力」と「力」を別のものを指す言葉として敢えて使い分けているようにも見えたし、これはなんとなく「彼女のコアに捕われて善悪の判断ができなくなるもの」の「予見」みたいな出来事だったのかなって。

この騒動で巫術に用いる大量の竹簡が汚れてしまったためふたりは膨大な竹片に経典を書写することになり、主人公は単調な作業に飽きて途中で居眠りをしてしまうのだけど、そのとき彼女の「眉間」に神木から花弁が舞い落ちてレイは「時が来てしまった」と独り言を溢したりする。
2話では出会って最初に彼女が「常人ではない」ことを見極めるのにもレイは彼女の眉間を触っていたけれど、眉間には何か巫術的に特別な意味があったりするのかな?

レイは白い花を満開に咲かせた神木を見上げて「もうこれほど経っていたのか」「山に居ると時の流れを感じないものだ」と近日彼女を連れて山を下り町を訪ねることを決意していたようだけど、恐らく彼は彼女を南山に迎え入れたときからこうして「時が来る」ことを分かっていたのだろうし、彼女の修行もその「時」を迎えるための準備だったのだろうとは思います。

大きな災い

山を下りたふたりは「もうすぐ祭りがある」という活気付いた町にやって来るのだけど、これはイベスト雪山の古き音韻の舞台となった「雲山町」のかつてなのかな?
雲山町と言えばカラフルな絹糸に「5つの神力に守られる」なんて言い伝えがあったけど、まさに東西南北の守護神+四神の長で5つの神力だったんだな。

それまでは春が来るたびレイがひとりで数日間下山するのを主人公は山の上で白澤と共に待っていたらしいんやが、留守番は大勢の人間から妖怪として追われていた過去がある彼女に怖い想いをさせないためにさせていたのか、とは言えこうして初めて連れて来たのは「時が来た」のちに彼女が自分で山を下り町で暮らすこともできるようにするためか、あるいは最後にささやかな思い出を作ってやりたかったのか、嬉しそうに店を回る彼女を微笑ましく眺めるレイにはちょっぴりそんな思惑があるようにも見えました。

一通り町を巡った後、レイは小一時間町筋の東屋で露店占いのようなことをするのだけど、最後の客が捌け店を畳む頃主人公に「私のことも占って欲しい」と頼み込まれた彼はなぜか「凍り付いた表情」で言い淀み、「お前は人生の中である大きな災いに見舞われる」「それを乗り越えれば天地を自在に渡る力を得ることができる」なんて告げてくる。

ただレイと共に過ごす日が少しでも長く続けばそれでいいという彼女は彼の言う「大きな災い」について気を揉み尋ねてみるのだけど、「歯を痛める恐れがある」「飴細工を食べるのはやめておけ」だなんて適当言われてはぐらかされ、興を無くして再び賑やかな出店が並ぶ方へと駆けて行ってしまうのでした。

大きな災いが何を指しているのかはさっぱり分かりませんが、天地を自在に渡る力ってのは黎明の抹殺者レイに夢の中から話し掛けることができちゃったあの力のことを指しているのではないか…?
仮にそうなら医者レイの誕生日を「これから毎年お祝いさせてね」って言ってたあのハンターの彼女はその「災い」を「乗り越えた」状態にあったってことだよね。

うーんぶっちゃけこのストを最後まで読んでみて仙女の彼女がこの先何か大きな災いに見舞われたとは思えなかったので、本当に本編の時代たとえばエーテルコアが散逸してしまったらしいあの裂空災変のことだったり、あるいはこれから本編で起ころうとしている何かを示唆しているのかも知れませんな。

変数

そうして人混みに消えてしまった彼女のはしゃいだ顔を思い浮かべながら東屋でひとり待ちぼうけるレイのところに今度はある老人がやって来て声を掛けてくるのだけど、ふたりのやり取りから察するに恐らくこの老人もどこか別の山に住む巫術師であり、主人公のことを「ついに現れた変数」だと形容し「早めに取り除く」ようレイに忠告してくる。

ただし決して悪い感じではなく、ニュアンス的には彼女自身に害はないが放っておけばいずれ周りに良からぬものが集まってくる、本意ではないが世界の均衡を正しく保つためにやらねばならないというような言い回しで、レイが忍びないなら「わしが代わりにやろうか」と提案してくれてるようなところを見ると、レイと同等かそれ以上の巫術を会得している人物なのでしょう。

恐らく老人も幻術によって姿を変えているのだろうがやはりファン院長が連想されてしまったな。
東洋医学の源流として古代中国では医術と巫術は同じものだったと聞くし、天才医師レイに近しい医術を持つ心臓外科医ファンのルーツが巫術師って個人的にはだいぶしっくりくるものがある。

そして「放っておいてはいけない」「そのままにしておいてはいけない」って主張は埃の中でハンチングが言ってた「成長する前に」って訴えにもちょっとかぶる気がする。
ハンチングはエーテルコアについて「スエの解析ほど単純なものではない」と少なくともEVERの人間よりは詳しいみたいだったし、本当に放っておくと「変数」として「成長」していくものなのかも?

めちゃくちゃ話逸れるんやが、昔「CUBE」っていうサスペンス映画のシリーズで多次元の量子空間から見知らぬ男女が協力して脱出を目指すという映像作品があってね(誰が分かるねん
そこには時間の変数でも空間の変数でもない別の変数が存在するために全ての部屋が並行世界として別の時空になっている、みたいな設定だったんだけど、ごめんどういう理屈なのかいまだにさっぱり分かってないけどもしかしたらこの「変数」なるものが「パラレルワールド」の本体だったりするのかなって。

ぶっちゃけわたしは個人的にはまだ深空にパラレルワールドを感じてないのだけど、四神を束ねる麒麟しかり、四魂をコントロールする一霊しかり、天地を自在に渡るなんて表現も相俟ってエーテルコアってたとえば並行して存在する4つの宇宙を統べる中央として描かれていたりするんじゃないかって気がいよいよしてきちゃったのだよね。
するとこと伝説ストに関してはキャラごとに別の並行世界だと解釈して読んでてもいいのかも知れん…

祭儀の舞

日が暮れると町はますますさざめいて、神獣や方相氏のお面をつけた人が祭壇を囲うように踊り歩き「福徳円満」や「疫病退散」など素朴な願いと祈りを神に捧げる「祭儀」が始まるのだけど、恐らく「神降ろし」や「神呼ばい」の神楽を奏で踊る巫覡たちの舞いからは「露骨な誘惑」が伝わってくるようで、これが神への「求愛」であることを知った主人公は慌ててレイの目を覆い「舞いが見たいなら私が踊ってあげる」と申し出る。

すっごくドキッとしてしまったのだけど、レイは祭儀が終わり夜店もしまいにかかった町で「今ここで舞って欲しい」なんぞ言い出すのですよね。
術を用いて雪のように煌めく古琴を生み出したレイは彼女の動きをリードするように弦をつまぶきながら、「花開いた彼女がこれほどまでに鮮やかで美しいとは」と息を飲んで、のびやかに舞う彼女に熱い視線を送っている様子。

彼女の舞いは彼女の生まれ育った山に伝わるものであり「まるで山から舞い降りた精霊のよう」だって言うんで、巫女というより古代中国の「神和ぎ」に近いものなのかも知れません。つまり彼女自身が「精霊を制圧する女神さま」に近い存在なんだと解釈しちゃっていいのかも?
指間の流星聖騎士学校で聖剣碑になっていた「アストライアー」しかり、あらゆる神話で「女神」として描かれているものが主人公の象徴と言うか本来なのかも知れませんな。

もちろん神和ぎも地域によっては「神と人間とのなかだち」であり「半神半人」であり、半神半人と言えばギリシャ神話ヘラクレスの「12の試練」がどうにも先に思い浮かんでしまうわたしにはぴったり「12歳」より夢で別時空を追体験できるようになるレイこそがそれだとさえ思えてしまうのだけど、ここまでくるともういろんな思想が墨流しのように入り乱れて主人公も攻略キャラも全員がある種「古代神」として描かれているのかも知れないね。

舞い終えて得意げにくるりと回る彼女に歩み寄りその頬を撫でながら「綺麗だ」と囁き掛けるレイ。「来年の今日またお前の舞のために琴を弾こう」なんて言ってるし、なんか今まで見たどのレイよりもストレートに言葉で愛情表現してくれてる気がするのだけど。涙

最後の課題

山に戻るとレイは毎日どこか上の空であり、何も言わずに彼女をじっと見つめたり、時声を掛けてきたかと思えば「新しい仲間は増えたのか」と尋ねたり「山を下りれば広く自由な世界が待っている」ことを説いてみたり、まるで自分の元を離れても彼女がひとりでやっていけそうか見定めているかのようでもある。

そして季節は巡り山に初雪が降り始める頃、レイは「最後の課題」として千を超える竹の棒と万を超える色とりどりの紐を組み立て百数十の「傘骨」を作る修行を彼女に与えるのだけど、この傘は完成すれば「保護」でもあり「封印」の側面も持つ「効力」を発揮し続けるに足る力を長い年月に渡り「神木」から与えられる「神器」のようなものなのだそう。

来る日も来る日も眠気と戦いながら傘骨を組み立てる間レイと白澤は滅多に姿を見せなくなってしまうのだけれど、ようやく全ての傘骨が完成すると彼は再び現れて、すると突然ひんやりとした霊力によって浮かび上がった傘骨に雪が舞い落ち「白い傘紙」に変わる。

雪がしんしんと降り積もり傘骨に次と不思議な傘紙が張られていくほどに主人公はひどい睡魔に襲われて徐に視界がぼやけていくのだけど、「完成する瞬間を見たい」と目をこすり必死にまぶたを持ち上げればおぼろげな景色の中で雪と風を引き寄せている氷のように青い霊力が神木の中へと伸びているのが見え、それは「神木の力が溢れている」ようでもあり「木が力を吸収している」ようでもあった。

これはどちらで理解するかによって解釈が真逆になりそうですねぇ。
いったん素直に読むと神木の力をレイの霊力が吸い出して傘に与えこれを用いて「変数」である主人公を「封印」しようとしているってことになるんじゃないでしょうか。中国の時代劇に出てくる御神木には100%神様か妖怪が封印されていますからね。セオリー通りにいくならこちらだと思います。

とは言えレイが持てる力全てを神木に捧げているというパターンもあり得ます。そうなるとレイは老人の忠告を聞き入れず司令の使命に逆らって「変数」のまま生きていく彼女に良からぬものが集まって来ないよう「保護」する道を選択したってことになるんじゃなかろうか。

いずれにせよ主人公はレイに促され神木の前で眠りに就いてしまい、目が覚めると「もともとよく茂っていた神木は空を支えられそうなほどの姿になって」いて、また4話で語られた通り輪廻を見守り続けてきた神木の花は全て「人の命」になっており「レイの花であり厳密にいえば彼自身ではない」という恐らくレイの前世や別世界の彼を示す花は以前から咲いていたようだが、眠りから目覚め「神木から万物を感じられなくなった」という主人公が心の中で強くレイを想った瞬間雪のように舞い落ちて来た一片の花弁に直感的に「レイがここには居ないこと」を悟っていることから今度こそ「レイ自身の花」が咲いたのかとも思ったし、個人的には彼女は長い間「封印」されており神木が力を使い尽くしたために再び目を覚ました、その間にレイは寿命を迎えてしまった、みたいなことなんじゃないかとは思いました。

雪山の古き音韻で雪を溶け込ませた組紐のブレスレットを「お守り」として主人公の手首に結んであげてたレイを思い返すと「自分の命と引き換えに保護を授けた」みたいなことでもいいのかなとも思うんやが、目覚めた彼女は確かに何かに「力を抑え込まれているよう」だと感じたみたいだし、眠りに就く直前には「少しの間胸に痛みが走っていた」って言うんで、やっぱりエーテルコアによる何か「力」を何らかの手段で「封印」したんじゃないかって感じちゃったよね。

ちなみに古神道における神木とは単に神霊が宿る木と言うよりも「神域」であり「霊界」のニュアンスが強めです。
このストにおける神木も「結界の中」と表現されていたりレイと初めて会ったときには「見えるのか?」なんて聞かれたりもしたんで、もしかしたら神木周辺や下手したらこの山自体が他界であり最後に山を下りたタイミングで彼女は「人間になった」ってことだったのかも知れない…?
彼女の傍らに1本だけ残されていた傘は、そうして人間として生きて行くことになる彼女の文字通り「お守り」だったってことなのかな。

ジャスミン

最後にひとつだけ、眠りから覚めたとき神木の枝から雪のように降ってきた「静謐な白い花」は実は木じゃなくて「地に根を張って」いたみたいで、主人公は「一体何という花だろう」「レイに会えたら聞いてみよう」なんて言ってるんですけど、ストを読み終えてゲットできる称号によるとこれがどうも「ジャスミン」らしいんですよね。

恐らく5話東屋で主人公がレイに「吉兆を分けてあげる」なんて言って彼の手の平に共鳴で咲かせた「離れない」って意味の花がそれなんだとは思うのだけど、これホーム画面でレイ先生が出してくれるやつとおんなじだよな…?

ぶっちゃけわたしは医者レイがジャスミンをどうのこうのするストをまだ読んだことがなくて、ただスト外でのやり取りを思い返してみると確かに槐とか紫陽花とかお花はしょっちゅう世話したりしてるんで黎明レイは単純にそういう彼を見て自分はジャスミンがいいなってことでああして育ててるもんなんだと思い込んでいたのだけど、もしかしてこのジャスミンこそレイにとってむっちゃ特別な意味のある花だったりするのけ…?

こちら物凄くそれっぽいドキドキ思念に心当たりがあるので近スト確認して参りたいと思います(鼻息

いざジャスミン探しの旅へ←