朝のない日
これは本編N109区編が始まるちょい前くらいのお話になるのかな? 2部1章シンが拠点を離れている間に「花浦区と北部地区で爆発があった」話がちょろっと出てきたが、今回その北部地区で漏出事故が起こったりしてるんで時期的にその爆発前後だったりするのかなと。ただ全体的にやや肌寒いような季節感なのでもしかしたらもう少し前なのかも?
個人的にはセキさんめちゃくちゃ応援したくなってしまったなぁ。
隣にレイみたいなやばい人が居るから感覚バグるのかもだけど、あなたすごい人なのよ? 心臓外科医としてたくさんの人の命を救ってるのだから。
童顔だっていいじゃない。Evolなくたっていいじゃない。戦場でワンダラーから彼女を守ることはできなくても、「待っててくれる」って思うだけで「必ず帰らなきゃ」って気持ちになるものだよ。
きっとこれからたくさんの場面でその子の「心の支え」になってあげられるはず。
ハンター身体検査
ハンター協会健康センターは特異エネルギーやコアエネルギーがハンターの体に与える影響を制御可能な範囲内に保つため毎年Akso病院と協力してハンターたちに専門的な全身検査を行っているんだそう。
なるほどAksoって協会の提携医療機関だったのね。極地のハンターが現地で応急処置を受けた後場合によってはAksoに入院して精密検査を受けるみたいだがこれも提携だからなのかな。
と言うか、特異エネルギーやコアエネルギーが傷口に入ったり体内に残留することで「感染」という状態になるんだな。これが「コア介入症」なるもののおおよそなのかな?
Akso心臓外科センター所属医師であり副統括助手でもある外科医「セキ」は、翌日に控えたこの「ハンター身体検査」をそわそわと落ち着かない様子で心待ちにしていた。
以前とある救助現場で彼が負傷者の心肺蘇生に成功した瞬間、感動の面持ちで彼に笑いかけてくれたあの「北部地区のハンターの女の子」に再会できるからだ。
ただし彼女が自分のことを覚えてくれているかどうかは分からない。仕事を口実にして迷惑を掛けるようなことはもちろんしたくない。
とは言え彼女と親しくなれるような切っ掛けが欲しいセキは、偶然乗り合わせたエレベーターで車椅子に乗せられた患者が極地のハンターであることを知り、「ハンターは非番の時なにをされてるんですか?」なんぞ思い切って尋ねてみるのだが、精密検査が必要だと判断されここに送られてくるようなハンターは大半が任務第一で、「いい加減退院させてくれ」「極地は人手不足なんだ」とイラ立ちまともに取り合ってもらえない。
「危険なので真似しないでください」と言われそうな体勢でエレベーターの扉に挟まれながらも駄目押しにもう一度問えば、半ばキレ気味に「ワンダラー退治だ」と返されるセキ。
一部始終を目撃していた看護師の「エン」が「ハンターの女性のことなら副統括に聞いた方がいい」と提案してくるので意を決してレイのオフィスを訪ねてみるのだけど、全てを察したような様子のレイは「お前にはジョークのセンスがあるか?」という謎のアドバイス。
セキにはレイの質問の意図が分からず「レイのあの寒いジョークで女の子のハートをつかめるというのだろうか」って混乱してるんだけど、いやわたしもそういう意味で言ってるのかとw
ただ、彼がデスクの植木鉢の中に敷かれた雪に植わる白い蕾に指を伸ばし、はらはらと粉雪を降らせ、まるで好きな人の顔に触れるようにそっと花に触れ口元を緩めるのを見て、レイお得意のあの吸い込まれてしまいそうな優しーい眼差しが女子をメロメロにさせるのだとセキも気が付いたらしい←
そうして迎えた身体検査の朝、白衣の下にTシャツしか着たことがないはずのセキは、スリーピースのスーツを纏い落ち着いた紺色のネクタイまで締めて出勤してくるという浮かれっぷり。
なんだけど、朝食を摂ろうと席に着いたとき、コアエネルギーの漏出事故によるドクターヘリの要請が入り、食堂には支援警報が鳴り響く。
救援地点はセキが会えるのを待ちわびていた彼女の担当する北部地区エリア。
彼は彼女が今回の任務や作戦には参加していないことを祈りつつ、もう半分では万が一負傷していたら自分が救助を任されますように、と願いながらヘリに乗り込んだ。
救援
重篤者の応急処置に奔走し、多くの負傷者が搬送され、医療チームがようやく仮設テントで一息つくまでに丸2日だと言うので、事故の規模はそれなりに大きかったらしい。
救援3日目の日の出前、仮眠のために這い込んだ暗く肌寒いテントの中で、同じく仮眠を取ろうと横になるレイに気が付いたセキは、この救援で長らく会いたかった人と無事に再会できたこと、そして彼女が自分を覚えていてくれたことについて嬉しそうに語り始める。
どうやら彼女は「外科医の手は大切しなきゃ」と器材箱を代わりに運んでくれたらしく、それを聞いたレイは「好きな人に仕事を手伝わせたのか」と呆れ返ってしまうのだけど、セキは自分の救命措置について「心臓がもう一度動き出したとき本当にかっこいいと思った」なんて彼女が自身のSNSに投稿してくれていることに酔いしれていてあまり聞いてない。
彼女めちゃくちゃかわいいな(興奮
彼女をより身近に感じられるようになったことで、「ハンター」という職業がどれほど危険なものなのかも痛感するようになったセキは、「あのハンターの女性にもしものことがあったらレイ先生はどうするのだろう」「その危ない仕事を辞めて欲しいとは思わないのだろうか」なんてぼんやりと考え始めるのだけど、高い医療技術で救援活動に勤める傍ら強大なEvolで何体ものワンダラーを殲滅しハンターと肩を並べて戦うこともできるここ数日のレイの姿が思い起こされて、「彼ほどの者が愛する人を危険な目に遭わせるわけがない」と結論するセキ。
そして特別高い医術も強大なEvolも持ち合わせていないごく一般的な外科医である自分の両手を見つめながら、ますます肌寒く感じられるテントの中で闇に飲まれるように目を閉じた。
拮抗装置移植手術
救援から帰って直ぐ、セキは執刀医レイの助手として「A型拮抗装置移植手術」という長時間に及ぶ高難易度オペを無事成功させた。
患者はあの精密検査に連れて来られていた極地のハンターで、どうやら足に開放性損傷を負った状態で大量の特異エネルギーにさらされたため傷口から完全に取り除き切れなかった特異エネルギーがすでに血液と共に体内を循環していることが判明、心臓内部に侵入するのを防ぐため「拮抗装置」というものを移植しなければならなかった、らしい。
取り敢えず体の中に入っちゃってはいるが最悪臓器や体液に取り込まれてさえいなければまだ大丈夫、っていう認識でいいのかな?
術後は体内に残存する特異エネルギーの数値が安全範囲内であれば退院可、2週間後からリハビリ開始、4週間後に抜糸を行い8週間後には傷口の治癒状況に応じて外骨格アシスト装置を装着する、というスケジュールであったが、動かしにくそうにする足を心配そうに気遣うセキにまるで自分の身体をいたわる気などないかのように「心配要らない」「あんたたちがいるんだから」などと調子のいいことを言うハンター。
セキは「医者は万能じゃない」と腹を立てるのだけれど、そうそう一見万能であるかのようなあのレイ先生も彼女には同じ言葉で怒っているのだよ。
おてんばで暴れん坊なハンターの女の子と付き合うならきっと万能になるのではなく「おかん」になる必要があるのではないかな(ちがう
Y型コア介入症
極地のハンターが無事退院した後、先日の「ハンター身体検査」のデータ分析が完了、全てのデータを確認し終えたセキは、「Y型コア介入症」にかかっているハンターが通常より多いことに気が付いた。
それは身体の各臓器や器官系に特異エネルギーが潜んでいるタイプのコア介入症だそうで、潜伏期間が長く進行が遅いため発見されたときにはすでに末期に入っているケースが多く、いまだに治療法がないらしい。
これもなんとなくコアによって生命エネルギーを吸い取られたり転換されたりしてるのと似たような現象なのかなぁ。
進行すれば最終的には特異エネルギーが変質して、レイが杉徳賞を受賞したあの「大動脈再生修復手術」の患者さんみたいに「体内からコアが検知される」ような状態になるの?
セキはこれらの統計データを「潜在リスク」として報告書にまとめハンター協会に提出するのだけど、協会からの回答は「ハンターの任務履歴に基づいてアルゴリズムを最適化しリスク軽減に努める」という、丁寧でありながら「冷静過ぎる」と感じられるものだった。
霊空行動部データ分析隊の隊長である「ゼル」は「それが自分たちにできる唯一のこと」なのだと補足し、これを受けたセキは「多くの場合自分には何もできない」のだという思いに苛まれ始める。
雪綿花
入院病棟の夜間巡回中、疲労感や無力感に駆られるセキの目には暗い病院の中で唯一明かりが漏れているレイのオフィスが「まるで生命の灯台を守り続けている番人」のように感じられふとドアを開けてみるのだけど、薄暗いオフィスにはデスクに置かれたパソコンのディスプレイだけが光っており、傍にある植木鉢を照らしていた。
レイが指先から粉雪を降らせ大切に世話をしていたその白い花は、極地のハンターによれば「雪綿花」というとても珍しい植物であり、本来であれば人が踏み入れない極地の山の北の峰の雪が綺麗な崖にだけ生息するが、長恒山で問題が起こってからは花はおろか動物さえ絶滅寸前であり、こうして無事に育っているのは奇跡のようなことなのだとか。
セキは身をかがめ、レイのおかげで一命を取り留めた雪玉のような蕾を覗き見る。すると鉢の中の真っ白な粉雪はいつの間にか「黒い氷晶」に変わっており、茎は倒れ花弁は散っていた。
ここめちゃくちゃ大事っぽいんだけど、それを目にした途端セキはなぜか「暗間の中で光るディスプレイ」を本能的に「不気味」だと感じ、同時にあの北部地区の救援で間もなく日の出を迎えるはずの仮設テントの中レイに「寒気」を感じたことを思い出すのですよね。
確かに朝だったはずなのにまるで「何か黒い透明な物質」で光を遮られているような感覚がして、ぼんやりと眠りに落ちる直前「誰かがレイと話している声」をかすかに聞いたような気もすると。
なんだか嫌な感じがして慌ててレイの姿を探すと彼はオフィス奥の休憩室で休んでいたようで、気配に気付き「緊急手術でもあるのか?」なんて言いながら出てきてくれるのだけど、このときにも彼が何やら「凄まじい冷気を纏っている」とセキには感じられたらしい。
しかもよく見るとオフィスのカルテはとっ散らかっていて、「レイは作業中何かが起こってめちゃくちゃ慌てて休憩室に駆け込んだのか?」みたいな状態だったとか。
これってつまり、レイのEvol暴走がバリ激化してるってこと、だよな…?←
雪綿花は長恒山の磁場によって何かに感染していたために結局枯れてしまったというわけでなく、たとえばレイがEvolで降らせる溶けない粉雪のように「人が踏み荒らしてない新雪」があれば徐々に元気を取り戻していて、だけどEvol暴走によりこれが「黒い氷」に変わってしまったことでしおれてしまった、みたいなニュアンスだよね? たぶん。
個人的にレイのEvol暴走は秘密の塔を読んでなんとなく「自分や主人公の運命を覗く」ことや「運命に抗う」ことへの「罰」が時空を超えた全てのレイに及んでいるもののように見えていて、仮にそうならレイは今運命を知っている状態、さらに何か働きかけようとしてるってことになるんじゃないかとは思うのだけど、パソコンのディスプレイがピックされてるようにも見えたんでたとえば論文やカルテを分析して彼女の「コア介入症」の本質を見抜いてしまったとか、これに何か大きな治療を施そうと準備をしてるとかなのかも知れん。
仮設テントで朝が遮られたようなその瞬間レイと話していたような「誰かの声」ってなんなんだろうね。レイの声じゃなくて誰かの声…(怯
いずれにしろ普段と変わらないようなレイの様子に胸騒ぎのようなものが収まったらしいセキは、先日あの北部地区のハンターの女の子に「私の心臓が6分止まることがあっても、肋骨を折ってでも心肺蘇生を諦めない人があなたであって欲しい」なんて告白されたことを打ち明け、続けざまに医者が患者の死を宣告しなければならないとき自分たちは白衣の「天使」なのか「死神」なのか、と意味深で不穏な質問をレイに投げかけてくる。
やめたまえよ!!!←
心臓って6分止まったらもう助からないの? (無知
詳しいことは分からんが、「肋骨折ってでも蘇生を諦めないくらい特別大好きな女の子になりたい」ってめちゃくちゃたくましくて可愛くて熱烈な口説き文句ではないのか?
エリートのくせに自信なさげなセキさんの自己肯定感爆上げしてくれる芯が強くて頼もしい女の子、お似合いだと思うけどな。
幸せになって欲しい。