空に堕ちる
空に堕ちる

恋と深空を宗教思想史オタクがのんびり考察しています。

ネタバレを多分に含むうえ、新しく開放されたストを読むたびに考えが変わるため我ながらお門違いなこともたくさん綴ってあるのですが、プレイ記録も兼ねているため敢えてそういうものも全て残したまま書き進めております(土下座

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最前線のハンター

こちらは「臨空ハンター派遣管理センター」なる通信指令室において「ワンダラーに遭遇した一般市民」からの緊急通報を受理し現場にハンターを派遣する管制員としてその道12年のベテラン「ヒデ」の日常を描いたサイドストーリーとなっており、ハンター協会管轄下にある組織構造や体制、派遣管理が担う業務内容の概略、ヒデと同僚のやり取りからは本部直属の「霊空行動部」が極めて戦闘力の高い俊敏なハンターを集めた「通常のハンターでは対処できない危険性の高い異常事件」を専門に取り扱う精鋭チームであるらしいこと、直接会う機会こそないが彼らがうっかり「地下鉄の駅を爆破」しても得心がいくド派手で個性的なメンバーとして各部署に名を馳せていることなども伺える。

本編1部2章でちらり紹介のあった依頼データを適任ハンターに割り当てる「データセンター」は完全にAI化されているようなニュアンスだったけど、こちらは巨大な3Dマップに位置を示すGPS機能や操作パネルがホログラムだったりもちろんハイテク感満載であっても運用するのはちゃんと「人間」なのだな。

ヒデの同僚が彼ら先遣隊を「時間通りに出勤する必要がない」と羨む一方で「過酷な実戦テスト」を思い返せば自分たちの待遇こそ恵まれていると結論し直している辺り、ここの職員たちもみなハンター選抜試験合格者として始めの数年は「派遣される側」に配属されてたりしたのかな? こちらの世界でも119番でコール対応してくれる救急隊員は全員が現場経験者だと聞くもんな。

「深空トンネルの異常」か「何かのコア」が原因で「ここら辺のワンダラーが活発になっている」らしい近日、24時間体制の派遣管理センターの一日はヒデが直近で受理した3件の事案にまつわるエピソードが「記録リスト」毎に順に紹介されていくという形式で解説され、最終的に「こういう人たちの活躍によって臨空市の平和は今日も守られているんだな」って話ではあるが、もしかしたらここは今後の展開に必要な知識でもあるのかな? って思えるような場面もあったため少しだけ覚え書き。

破暁行動部退役ハンター

ある日の午前6時、ヒデが受理した救助要請は花浦区市場付近でワンダラーに追われている若い男性からの通報で、繋がるや否や通信機からは悲鳴と轟音がこだまし間も無くして声が途絶えると、最善を尽くしても「あと6分ほどかかる」というハンターの到着が恐らく間に合わないであろうことを悟ったセンターには沈んだ空気が流れ始めるのだけれど、現場に居合わせた「買い物中のおばさん」が実はかつて「破暁行動部」に所属していた退役ハンターであることが判明、彼女は慣れた様子で迅速にワンダラーを撃破するとすっかり腰を抜かしてしまった男性に代わり負傷者の有無や危険レベルなど「記録リスト」に必要な伝達や事後処理の手配まで手際良く片付けてくれる、というなんとも小気味よい「偶然」が起こる。

退役ハンターは「買い物ついでに銃の手入れをして来た」ところを通報者含む3人組の若い男性グループに路上強盗を計られたと言い、「違法に他人の金銭を奪った疑いがある」として男たちを特殊部隊へ移送するよう指示してくれたりもするんやが、個人的にはこうも「偶然」が重なるとそれはそれでちょっぴり疑わしく思えてきたりもして。

だって、そういうことなら通報時間が「午前6時」なの絶妙に不自然じゃないか? そのおばさんは深夜帯に営業している銃器店へ赴き帰りに早朝の魚市場に立ち寄った、とかでない限り辻褄合わない気がするし、かと言って魚市場にひったくりだなんてもっと腑に落ちない気もする。
もしかして彼女は始めから強盗のおとり捜査でもしていたか他にも何か個人的な目的があって秘密裏に周辺を調べていたりしたのかな(深読み

違法コア密輸組織

同じ日の昼下がり、今度はヒデの「知り合い」である「サイカク」という男から「俺を捕まえに来て欲しい」なんぞとんちんかんな通報が入る。
臨空市警察に8回も捕まったことがあるらしいコア転売の常習犯サイカクは過去にコア確保のため「生きているワンダラーにまで手を出したことがある」と言い、もちろん一般人には歯が立たず止む無く救助を求めたところ電話口で応対してくれたのがヒデだったことから以来彼を「命の恩人」として崇め奉っているらしい。

秘話世を過ぎゆく読了時点「特殊部隊」なる組織がこの世界の「警察」に当たるもんかと認識していたがそれとは別に「臨空市警察」があるならたとえば彼らは警察部隊、消防部隊、自衛隊のように編制された国や市の公務員って話なのかも知れないな。

今回は色を付けた「氷砂糖」をコアと偽り売り捌いていたらそこそこ大きな「違法コア密輸組織」にマークされ「コア爆弾」を所持する8人から9人の構成員に「山嶋浜」の自宅を取り囲まれ苦境に立たされての窮余一策だったみたいやが、これを受けたヒデはもちろん懲りずに悪知恵を絞り悪事を繰り返すサイカクには怒りや呆れを覚えつつ、コア関連の犯罪組織が絡んでいるとなればハンターが取り扱うべき案件に違いないと判断、とは言え相手が「コア武器を持った複数人」であることから「5体以上のワンダラー」や「危険性の高い事件」にのみ適用される「緊急対応協定」に則り「5人以上のハンター」に招集をかけることになる。

単純計算で「コア爆弾」ひとつがワンダラー1.8体分の危険度に相当するって話になるが、やっぱり「コア武器」とは存在そのものが危険であり違法ってことなのかなぁ。施設育ちで16歳のカゲトがシンに出会う以前より「コアを仕込んだダーツ」なるものを生成できているのだから技術的に特別難しいものってわけでもなさそうだし…

事件は付近で緊急任務を受信したセイヤと主人公が残り3人の受任を待たずして現場へと突っ込み「ほんの数回の攻撃で全員倒してしまった」ことで無事解決に至るのだが、コア転売を生業とするサイカクが「コア爆弾『とかってやつ』を取り出す暇も与えずに」なんて証言している辺り同じ犯罪者でも強い組織に属してなければコア武器は目にすることもなく耳馴染みもない珍しいものなのかも知れません。

仮に砂に沈む遺跡深空学会考古学チームが海底遺跡の中に発見してしまったコア武器が「EVERの隠し立てているもの」の認識で相違ないのなら今回サイカクに目を付けた密輸組織もまたEVERとは何らかの形で取引がある裏団体のひとつだったってことになるのかな?

最後に通信機の向こうから「氷砂糖」をむしゃむしゃするセイヤを制する彼女の声が聞こえてきたりするんやが、これを「物証の一部が着服された疑いがある」と記録して提出するヒデの実直さに笑ってしまったよw
染料が食紅とか食べても害のない着色料であったことを祈る←

街のヒーロー

最終話では退勤後に「楽空」なる大型スーパーで買い物を終え銀湾区の自宅アパートへと広場を歩きながら人が穏やかに行き過ぎるその「平和な光景」に浸っていたヒデが上空に突如出現した危険レベルの高い数体のワンダラーに襲撃され進退窮まるも「流星のように目の前に現れた若い男女ふたり」が一瞬のうちにこれを掃討、一部始終を目撃した群衆からは歓声が湧き上がるという一幕が描かれる。

敏凄な攻撃を繰り出す彼女の「動きを分かっていたかのように」光と化した青年がそれを追撃していく描写はまるで「光をちょうだい」「光が来たぞ」の掛け合いが聴こえてくるようで心躍ったし、「帰ろう」と声を掛けられ笑みを溢しながら「火鍋の食材が入った袋」を拾い上げ彼女に歩み寄っていくセイヤはきっと「少しだけ明るく光ってる」んだろうと思ったらめちゃくちゃ微笑ましい気持ちにもなりました(拝

極めて危険なワンダラーたちでさえ少しも反撃の余地がないふたりの戦いっぷりに「霊空行動部のハンターに違いない」「少なくとも彼らがいる臨空は安全だ」と改めてヒデが確信しストーリーは締め括られますが、恐らくこれは日夜訓練を受けているわけでも実践を積んでいるわけでも武器を携えているわけでもなしにほかほかの唐揚げ弁当を放り投げ身を挺して女の子を守り背中を負傷したヒデこそがその救われた少女や母親にとっての「ヒーロー」であり、実はこうして街中に溢れている勇敢なヒーローたちを讃えようというエピローグなのだろうなって思ったよ。

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