恋と深空のんびり考察プレイ録

恋と深空のんびり考察プレイ録 - 空に堕ちる

恋と深空を宗教思想史オタクがのんびり考察しています。

ネタバレを多分に含むうえ、新しく開放されたストを読むたびに考えが変わるため我ながらお門違いなこともたくさん綴ってあるのですが、プレイ記録も兼ねているため敢えてそういうものも全て残したまま書き進めております(土下座

隣り合わせの生存

こちらはシンの秘話「無主の地」にちらり登場した星間刑事「ロウハ」が星間指名手配犯の手掛かり追ってあれこれ奔走した結果今回はシンと彼女の「デート」を追跡することになるというおもしろ小話になってるが、いやはやシンの悪事が実は弱者救済とも言える義賊的な側面を持っていることに唯一なんとなく気が付き始めている銭形警部のようなポジなのだとばかり思っていたロウハが割とガチであったことにたまげてしまったのはさて置いて(ぇ、本編サイストとしてもシンの個ストとしてもあらゆる側面であまりに完成度が高いことに感服でいま倒れてる←

そもそもシンプル読み物として、この短い物語の中でロウハの心境に一体どんな「変化」が起こったのか、その間接描写は冒頭の無意識的に筋肉をこわばらせ戦闘態勢に入るドアチャイムの「音」に始まり対極的に安らかな眠りを誘うレコードの「音」に終わる、短編小説は最後に思わず唸ってしまうようなこういうベタな表現技法がやっぱりいちばん好きですねぇ。すれ違いコントのような軽快なタッチ含め、通してどこを取っても洗練されているなと感じました(拍手

ロウハ

めちゃくちゃあっさり語られているが今スト実はこれがいちばん重要な世界設定だと思ってて、星間刑事たるロウハの言う「星間パトロール」とはフィロスの宇宙で追光騎士たちがしていたそれとは次元が異なるものである。
たとえばセイヤはパトロール中「崩れかけた宇宙」で新たに誕生した小さな惑星を発見し灰城では「この星系」に居たくなければそちらへ行ってみてもいいなんて言うけども、恐らくこれは幸運の循環「星間郵便局」の視点で見ればあくまで「フィロス文明」と名付けられた「星域」の中で完結している話なのだろうと思う。
ところがロウハはこの星域間を「ワープ」を用いてパトロールすることができ、技術面ではたとえば行き先が「古くて遠い星域」であっても170043号「中継ハブ」のように「時空の裂け目の中で消滅するリスク」を懸念していない。

ロールバックⅡ号で初めて星域間を移動して来てしまったのだろうセイヤやキノアが「もう他のメンバーの顔も思い出せない」し「消えてしまうかも知れない」のは幸運の循環「老けないじいさん」が世界線溶解と共に塵となり溶けて消えていくのと同じ理屈で彼らが人工星核エネルギーの上に築かれた宇宙文明に属しているからなのだろうと思うのだが、どうやら同じくフィロスをバックグラウンドに持つらしいロウハは「悪魔になることを選んだ男」にそれを破壊されたからとて一緒に時間の奔流の中に呑まれてしまうわけではない。
ロウハの言う「新人類」とは仮に生まれはフィロスでもフィロス文明という観測空間より上位次元で生命活動を維持することができる言わば人間やフィロス人よりも170043号や神言者に近い生命体であり、恐らくこれは星間指名手配犯たるシンも同様である。と言うか、秘話にてロウハが「星間市民」と総称していた一般人含め彼らの元いた時空においてはすべての人がそうなんじゃないかな。

彼らは「愛」によって「欲」に支配されることを恐れ、まるで旧約聖書の原罪思想を思わせるかのような「禁欲」の象徴とも言える「フィロスの法典」なるものに従って生きることを強いられているようだけど、これは系譜を辿ってみればあるいはかつて悪魔の化身なるものに「欲」を引き出され「終焉」がもたらされることを恐れていた時代から継承されたイデオロギーなのかも知れない。つまり彼らのフィロスは竜シンフィロスの後の姿か、少なくとも同じ星域の同じ時間軸上には存在するのではなかろうかと。
いずれにしろ「自由意志」という禁断の果実を以って絶対的な秩序を否定し楽園を破壊して追放されているシンは彼らにしてみれば終焉の象徴たる悪竜よりよほどサタンそのものである。

さらにロウハは冒頭から「対シン用に開発された兵器」として本編5部1章反物質武器と眼窩に動力中枢を仕込んだあの「仮面人間」のメンテナンスとアップグレードに明け暮れている。これは強大なシンのEvolを相殺することができる技術であり「誰によって持ち込まれたものなのか」ヨミが口を割る前にシンは躊躇なく彼を滅してしまったが、今にして思えば聞かずとも「見当がついていた」ためだったのだろう。当時はまるで「エーテルアイ」の模造コアであるかのようなそれがなぜそこに存在し得るのか「シンの元いた時空とN109区はどこで繋がっているのか」と頭を捻ったが、何のことはないただ単にロウハが運び込んだのだ。

ここまで明かしてもらってようやく気が付いたのだけど(おそい、これ深空男子たちは単純に存在がってことでなくそれぞれの背景にある世界そのものがメインストーリーで交わらないようにできているのだね。
仮面人間は「機械でできた仮面と一体化している」と聞いてわたしは「これがマヒルのフィロスで言うメカスーツや戦闘人形の前身のような個体なのでは」と書き散らかしてしまったが、シンを主軸とした物語にはあくまでシンの背景にある世界を前提とした法則が、マヒルにはマヒルのそれがそれぞれに採用される暗黙のルールなのだろう。

これに則ればマヒルの戦闘人形とは必然的にルイ教授のチューリング・サイバネティックス技術により機械化されたEvolverをさらに「量子干渉装置」なる運用方法へ応用したものとなり、逆を言えば遠空艦隊の目的とは最終的には人型兵器による宇宙侵略ということになる。暗点が集めているらしいEvolverは決してグリーンクロコダイルのような密輸組織と対峙するものではないのだろうな。
あるいはフラクタル図書館に所蔵された書物もすべてがレイを主軸とした物語になっていて、たとえばある一冊に登場する「病変体」はあくまで「コア心臓介入医療法」から生まれた異化者に起源を持つものでありN109区に程近い処分施設に運び込まれてくる「一卵性双生児対照実験」による異化者たちはこれには当て嵌まらないのかも知れない。あ、いやもちろん一緒くたでも差し支えないのだろうが勝手に区別することで勝手に視界が開けたような気がしてる←

そう言うことなら「宇宙闘技場」なるだいぶ謎めいていたものもロウハの生まれたフィロス星域に生成された新人類の高次元的な威光を示すための見せしめか禁欲主義を美徳とし過ぎた結果「嬲りもの」となった娯楽施設のようなものなのかも知れないと思うなど。
幼いふたりが戦わされていた「人造人間みたいな怪物」とやらが星間刑事のような厳格な組織から排出された仮面人間であったのかは分からんが、少なくとも場外には「タルタロス」が存在するようなので個人的にはこの闘技場はかつての「裁決の庭」にゆかりあるもの、下手したら「聖裁軍」の後継にあたるのが星間刑事でもいいんじゃないかくらいに今は思ってしまってる。

前置きが長くなってしまったが、ロウハはある日の星間パトロール中「宇宙線」なるものを回避するために緊急ワープを余儀なくされるも予期しないエラーによって転送先には誤った座標と星域マップが表示され、どうやらそんな事態は普段なら「ろくな目に遭わない」の一言で片付けられるようなものみたいやが、その日は偶然その先に「長らく行方をくらましていた最重要指名手配犯」が潜伏しているらしい位置情報が取得されたため迷わず「追跡」を決めたのだそう。

そうして「地球」にやって来てからは「何年も経つ」なんて書かれているが、この間どれだけロウハがシンに接触を試みてきたのかは判然としない。ただ、秘話ではどんなベテラン刑事もシンの再逮捕を「とっくに諦めている」ことがめちゃくちゃ強調されてたと思うので、たとえば彼が組織に応援を要請したり宇宙規模での大追跡やまかり間違ってもシンを「追い詰める」ような状況に至ることはなかったのではないかな。

リック

ロウハの隣人「リック」は近所で金物屋を営む物腰の低い素朴な臨空市民である。48歳にしてスポーツクライミングを始めたのは5歳年上のジムオーナーに密かに想いを寄せているためで、彼女がしばしばインストラクションに用いるデジタルパネルに着想を得てか週末彼女の誕生日には思い切って「LOVE」の文字がまるで光害のようにビカビカと光るハート型のLEDプレートを引っ下げお祝いに行く計画を立てているのだけど、接触不良なのか「E」の文字だけまぶしさが足りないことに気が付いて、何やら日機械いじりに勤しんでいる様子のロウハに「修理をお願いしてみよう」と考え至ったらしい。

どれだけ近しい相手であってもそうして簡単に部屋を訪ねたり親しく交流する行為が無秩序の根源たる「欲」や「感情」を助長するものとして厳しく禁じられてきたロウハには、きっと何か思惑があって接近してきたのだろうリックが同じ手配犯を狙う競争相手かあるいはクライミングジムを情報拠点に持つシンの手先に違いないように思われてまずは厳戒態勢を敷いて警戒、チェーンロックを3本かけたまま少しだけ開けたドアから覗く気恥ずかしそうにもじもじと耳を赤らめているリックの心理状態がどうやら敵意ではなく「緊張」や「気まずさ」や「何か頼みごとがある」もしくはもっとも愚かしい旧人類の性質「誰かを愛する気持ち」なんかに占められているのだろうことを彼は「地球人行動分析マニュアル」なるものに基づいて判断するのだけど、本当に直感や感覚では目の前の相手の行動原理を察することができないのかな(悩

逆にデータや規則性などロジカルな判断根拠を収集する能力には物凄く長けていてこの時点すでにロウハはリックの年齢や職業はもちろん何曜日の何時に店を開けジムにはどのくらいの頻度で通いオーナーとの世間話は何分間繰り広げられどんな言葉で締め括られるのかすべて把握しているように見えたけど、これも進化の過程で非合理的な「感情」というものを一掃してきてしまった新人類ならではの脳の構造と働き、なのか? もしかしてシンは新人類の論理性と旧人類の非論理性を兼ねているために「取り引き」で盤面を思い通りに動かすことができるのか(いいえ

結局修理を引き受けてくれたロウハにリックはその派手な電飾の使い道や当日彼女に「告白」するつもりであることを打ち明け「上手くいくと思うか」相談を持ち掛けてみるのだけど、厳格なフィロスの法典によれば「告白」もこれに伴う思慕や好意が「遺伝子に潜む原罪」であり「魂の純潔を侵す欲望の毒の種」であることから「禁止事項」として記されている行為なのだと言い、さらにこの件について議論すること自体「時空監獄」の刑罰に値するためここは無言で話を切り上げまだ何か言いたげな訪問者をさっさと家へ帰してしまうことにするロウハ。

いや「時空監獄」なんて終身刑か死刑のようなもの「送り込まれたシンは過去どんな重罪を犯してしまったのか」長らく考えてきたけども、なんやよっぽど微罪でも良かったんやな←
と言うか、誰かを愛することが「原罪」と呼ばれる世界からやって来たなら本編2部1章シンが彼女に「思い出させてやる」としつこくしていた「お前の過去と未来」や「これから犯す罪」とは単にふたりがこれまで愛し合ってきたことやこの先も愛し合うだろうことを思い出して欲しいって意味だったのかな?

リックを帰した後、ロウハは三日三晩徹夜で作業してアップグレードを完了させた仮面人間の動力中枢が問題なく起動することを確認、作戦を立てるためにこれまでに得た情報あれこれを整理、それはシンが「来週大きな動きを見せる」「限定的に奇襲をかける」「一挙に4勢力を手中に収める」といった噂話のようなものであるが、厳密な分析の結果どうやらその「一大事」は恐らくは蟻の巣の新たな狩猟日に関するもの、ないしハンター協会の最近の動向に関するもの、前回の包囲作戦はこれは闘獣ゲームの話かな? その際一緒に行動していた「ハンターの女性」が一枚噛んでいる可能性もあると一瞬だけ頭をよぎったものの、シンの手口を思い返せば彼女も何か目的を達成するための策略のひとつなのだろうとの結論に至った。

一大事

翌週ロウハはシンが出没する可能性のあるすべての地点に仮面人間を配置し相手が何か動きを見せれば即座に四方から挟み撃ちにできる万全の態勢を整えて、自身は少し離れたカフェの中から遠隔でそれらを監視、ついに現れたシンは何やらドリンクスタンドでミルクティーをふたつ購入し、さらにレトロな内装のレコードショップに立ち寄り綺麗にラッピングされたギフトボックスを抱えて出てくるのだけれど、ロウハはもちろんそれが人目を欺くための巧みな立ち回りであり、あるいはN109区と臨空市環玉区のちょうど境界に位置するそのレコードショップは立地条件から新たな情報交換拠点なのだろうと確信する。

この時点シンのいる場所とロウハが潜んでいるカフェはどれくらい離れていたのかな? ロウハはシンが3秒間こちらに視線を向け「目が合った」と感じられたことに冷や汗を滲ませますます慎重に追跡を続行したいのだけど、ふと仮面人間たちが通りすがりの誰かの目に留まり、機械でありながらも見事な生体模倣構造だと大声で騒ぎ立てられ、なんだなんだと集まって来た大勢に囲まれて身動きが取れなくなってしまい、もちろん民間人に鎮圧手段を用いるのは自分のやり方に反するが今回は「探求」や「好奇心」といった害悪が秩序の冒涜に該当するからと迷いなく彼らを「掃討せよ」と命じてしまうのよね。

なるほどロウハの正義においてはそうなるのかと納得でもあるんだが、ならばあなたが感じた「緊張」や「焦り」は害悪には当たらないのかと問うてみたいところ。重箱の隅を突くようでロウハにはすまないが、シンと目が合ったことに彼自身が何らかの「感情」を抱いたために一瞬でも仮面人間から目を離してしまう油断が生まれたのでは? フィロス法典が禁ずるのは「欲」を生む感情であってそれらは対象外だと反論されるかも知れないが、実は「緊張」や「焦り」には表裏一体的に発動する「防衛感情」というものが内在しこちらは間違いなく「愛」とも「欲」とも言い換えられるものだったりするんだな。

確かカオスの奥でも似たような感想を綴ってしまったが、ロジックで人間から「感情」を排除することは絶対にできないのよね。だってロジックには「矛盾」がない。醜いものが美しく怖いものが愛おしい、そういう「感情」を「説明」することはできても「超越」することができない。つまり矛盾をバクと見なし感情を排除しようとするその法典がそもそも矛盾のもとに存在している「感情そのもの」なのだ。これがスピノザ的理性主義の逆説的帰結である(うるせぇ

遠隔カメラが遮断されたまま3分経っても何も起こらないので予備電源を起動し映像を復旧させてみると、そこには倒れて動かなくなった仮面人間にがっかりした様子の野次馬たち、バイクに跨り臨空タワーの方へ遠ざかるシンの背中、そして旋回する一羽のカラスがこちらに向かって一言「カア」と鳴き飛び去っていく様子がリアルタイムで映し出されてる。動力中枢をチェックすると「3分5秒前に何者かによって作戦モジュールが破壊されていた」らしいけど、これはメフィちゃんがカオスちゃんにしたのと同じようなことをしたものと理解していいのかな?

ここからロウハは止むを得ず身ひとつでシンを追跡することになるのだが、週末で真っ昼間のショッピングモールに潜入し誰もロウハを気にも留めない無垢な賑わいの中ひとり緊迫した面持ちで武器を一式忍ばせながら壁に沿ってじりじりと伝い歩き「Twinkleコレクション数量限定ポップアップストア」の入り口に張りついているだけでもうだいぶ面白いというのに、これまで必死に策を講じてきた「惑星を丸ごと略奪できる強大なEvol」がクレーンゲームの景品を奪取するために用いられ、それでも途中で滑り落ちなかなか持ち上げられないぬいぐるみに「どんな悪事を働いても眉ひとつ動かさないシン」が悔しげな表情を浮かべるその様子を「世界を震撼させる光景」だと息を飲んで見張るのはやめてくれw

隣に立っていた「ハンターの女性」が自分の仕留めた「幻色版のヒヤケドラゴン」を自慢げに掲げ茶化すような仕草を見せてからコインを追加しに席を外したタイミングでシンはおもむろに向きを変え、さらにこちらへ向かって真っ直ぐ歩いて来ることに気が付いたロウハはついに直接刃を交える時が来たと素早く防御態勢を取り戦慄するが、次の瞬間まるで何事もなかったかのように踵を返して彼女の元へ戻っていく直前シンが鋭い動きで射るように投擲したのは小型爆弾でも精神侵食装置でもない「Twinkleコレクション」のロゴが刻まれたただのコインであり、それは単に「邪魔するな」とでも言いたげな、ただし「次はコインでは済まない」のだと感じられる無言の警告のようだった。

呆気に取られ茫然とするロウハだが、どうやらクライミングジムへ向かう隣人の顔に見たものと同質の感情がシンと彼女の表情からも見て取れるように思われて、振り返ってみれば今日一日におけるシンの行動は結局のところ「デート」の一言に尽きるのではないかと考え至る。
もちろん「数量限定ポップアップストアへ赴く」ことが「限定的奇襲の敢行」と言い換えられ「4色のぬいぐるみを手に入れる」ことが「4勢力の同時掌握」として語られるに至った経緯は到底理解できないが、とは言えふとモール内を見渡してみるだけでTwinkleコレクションに限らずスイーツ店でもブティックでも「何で遊ぶか」「何を食べるか」「何を着るか」そんな瑣末な選択があたかも国の重要案件であるかのように喧伝されているこの「地球」という場所において、あるいはフィロスのすべてを否定してここを選んだシンという人物にとっては、単なる「デート」が確かに「一大事」となり得るのかも知れないと頭を抱えるばかりだった。

友達

その日の追跡を諦めたロウハは改めてシンに関してもっと理解を深めなければならないと思い立ちレコード店に引き返して彼と同じレコードを買って帰ってみたものの、手に入れたレコードプレーヤーが正常に回転しないことにほとほと手を焼いている様子なのはこれも「殺傷性のある武器」のように命令で動く冷徹な機械に通用する道理はたとえば叩けば直るブラウン管テレビのように気まぐれにへそを曲げる家電品のご機嫌取りには役に立たないと言いたいのかな?

不本意ながら金物屋で似たものを取り扱っているらしい隣人リックに見に来てもらうことにするロウハ、どこか嬉しそうに招き入れられその厄介なレコードプレーヤーをいじり始めたリックがそう言えば昨日はクライミングジムへ告白しに行く予定の日だったことを思い出し結果を尋ねてみるのだけど、これについて議論することも刑罰の対象になると恐れていた先週から何かが変わり始めたその心模様を奏でるかのごとく同じタイミングでレコード針が下り部屋には「フィロスにはない種類の優しい旋律」が流れ始める。てか思ったんだけどこれってシンが彼女に贈った同じクラシック音楽なのだよな? するとふたりは今シンからの愛に包まれてるってこと…(ちがう

リックはやっぱり告白は「もう少しトレーニングを積んで彼女と同じ上級コースを登れるようになってからにしよう」と思い直しLEDプレートは家に置いて別の方法で誕生日をお祝いすることにしたのだそう。
フィロスの法典から「愛」は必ず利己性や欲望に変わり最終的にはこれに支配されるものだと叩き込まれているロウハは思わず「あなたが待っている間に他の誰かが彼女に告白するかも知れないと言うのに彼女を手に入れたいと思わないのか」問うてみるのだけど、手に入れたいのではなく一緒に居たいだけ、とは言え彼女が他の人の告白を受け入れたなら幸せになって欲しいと願うだけ、一緒になれるかどうかは「無理強いできない」のだと寛いだ様子で語るリック。
ロウハは「愛」を「成否」で量るのではなく「自分たちをより良くしてくれるものであるかどうか」に価値を見出そうとすることでこれが必ずしも利己性や欲望にはならないこと、そして「欲」もまた「奪う」ためではなく「満たされる」ことを求める「願い」として現れるとき「存在に破滅をもたらす毒」よりむしろ「存在が生を保つ力」になり得るのだと気が付いた。

最後はリックがたとえ恋が実らずともロウハという「友達」とスポーツクライミングという趣味を「共有」できればいいだなんて新しい「願い」を聞かせてくれるのでロウハもまたその日の出来事を彼に「共有したい」衝動に駆られ、ただし考えてみればそんな無意味な行為に及んで下手をすれば自分の正体を露呈することにもなり兼ねないと言うのに「なぜそんなことをしたくなるのか」一瞬困惑するのだけど、自分を「地球人」に見立ててみればこれが「友情」であり「共有欲」なのだろうとすんなり腑に落ちて初めて「地球人と同じ脳波で思考した」のだと感じたりもする。
これを身につければ本当の意味で敵を知り己を知ることができるはずだと言うのでまだまだ奮闘するつもりではあるらしいが、穏やかな音楽を聴きささやかな友情を得たその夜「ロウハは地球に来てからいちばん安らかに眠れた」とも書かれてるんで、このまま任務を忘れ食べたり飲んだり遊んだりすることを「一大事」にしながら楽しく暮らしてくれたらいいなと思ってしまったよ。

あと実は「クレーンゲーム欲」に感染してしまったのかその日シンから投げつけられたコインで「ヒヤケドラゴン」をゲットして持ち帰っていたらしいことも語られるが、シンがEvolを駆使しても大苦戦していたそれを一発で仕留められたことにおめでとう←

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