空に堕ちる
空に堕ちる

恋と深空を宗教思想史オタクがのんびり考察しています。

ネタバレを多分に含むうえ、新しく開放されたストを読むたびに考えが変わるため我ながらお門違いなこともたくさん綴ってあるのですが、プレイ記録も兼ねているため敢えてそういうものも全て残したまま書き進めております(土下座

ページのトップへ

孤独な灯火

こちらは終わらない冬で描かれたあの長恒山での救護活動を終えた恐らく翌年の春、母校天行大学で執り行われた「第47期医学部新入生宣誓式」をレイとふたり訪れたファンが、学食で「あまり美味しくない」というスペアリブの甘酢煮を食べながら、かつて35期式典でレイが代表者として宣誓した日のことや彼の学生生活についてひっそりと回想しているっていうストーリーになってます。

たぶん天才過ぎてめちゃくちゃ飛び級してるからなんだと思うが「新入生たちの中でひときわ若く目立っていた」というレイの佇まいや顔付きを一目見て「極めて鬼才に違いない」ことを嗅ぎ取り入学当初はひたすら彼に期待感を抱いていたファンだったが、長く付き合うほど「人混みの中に居ても永遠にその一員にはなれないかのよう」なレイの孤独感や見えない使命のようなものを感じずにはいられなくなり、今では「分厚い氷雪を独り突き進むことを運命付けられた子なのだろうがいつかそうでない優しい場所に留まれるようになるといい」だなんて密かに願っているらしいファン。

わたしも同じ気持ちですファン院長…(だれ
いやなんか最近レイがどんなおもろいこと言ってても楽しそうにしててもかっこよ過ぎてもスベり倒してても何やっててもどの瞬間にも結局彼が独りで負う重荷はひとつもその肩を下りてないんだと思えて涙出てきちゃうんだよ。
誰にもたれてもいいから早く脱力して自分自身を労わることに専念して欲しいまじで。涙

殉職者の勲章

宣誓式の前、亡きトオヤの恋人「シラン」が彼の「殉職者の勲章」をレイに預けに来るのだけど、彼女はこれを見てると「彼がもう2度と帰ってこない来ないことを理解してしまいそうになる」、でも見なければ「彼はまだ仕事から帰って来ていないだけ」なのだと自分に嘘を吐き続けることができる、ってレイに言うんですよ。

実は特別作戦チームがいよいよ磁場の核を目指し出発するぞって時にそれぞれが大切な人に「遺書」を書き残してたんですが、恐らくその時点ではそこに居る誰もがなんとなくこれに「現実味」のようなものを感じてはいなくて、当時「お前は誰に宛てて書いたんだ?」なんてレイをからかっていたトオヤ先輩は自分の遺書の宛先の人は「無事帰還したら紹介するつもり」だって言ってくれてたんだよね。

自分の人生を自分で背負うことができる人を「自立してる」だなんて言ったりもするが、その人生をコントロールすることができるたったひとりの人間であるはずの自分自身にさえどうにも受け入れられないこと、許せないこと、時に全てを投げて逃げ出してしまいたくなる瞬間がある。
そういう怖さとか、不安とか、苦痛から目を逸らしたいような時、人は自分の代わりになってくれる誰かを作り出すことで心が壊れてしまうのを回避したりもする。
レイはレイの壮絶な人生を全部独りで抱えてるのにこうやってしょっちゅう人の「代わりになってくれる誰か」もやっちゃうからさらに胸が痛いんだよ。
そんなレイをああして心から心配してくれてたトオヤもまた、「おいおいレイそんなもの預かってくれなくていいって」「いっそ捨てちゃって全部忘れてくれていいから、俺の分までただただ笑って生きててくれよ」なんて言ってくれてるかも知れないな…

医学部生レイ

卒業生として宣誓式を訪れれば「試験前にみんなで拝んでる伝説の大天才だ」と学生たちに囲まれる「35期のレイ先輩」は、もちろん在学中も多くの同期たちがコア研究に苦戦する中ひとり異なる鋭い角度から核心に迫っているような優秀な学生だった。

理論の試験を蹴ってまで自分の研究に没頭するレイにその理由を尋ねたファンは、「早く実践に移りたい」ためだという彼の返答に「きっと年齢に見合わず心にたくさん重荷を抱えている」のだと悟る。

レイの両親は医者であり、幼い頃から病院の話で寝かし付けられ暇潰しは医学書を読むことだった彼はごく自然な流れでこうして医者の道を志すようになったと言うのだけれど、時折見せる思い詰めたような様子が気に掛かり「本当にそれだけか」と繰り返し質問していたファンに、ある時レイは観念したようにそれが「ある人のため」であること、「自分が再び彼女の脅威になったときあの日のように何もできないままでいたくない」からであることを打ち明ける。

いや泣いてしまうんやが…
レイは本当にとことん自分と向き合って戦って打ち勝っているのだな。涙

そしてご両親は本当に血の繋がったお父さんとお母さんなのかな?←
たぶん黎明のレイがあまりにもはっきりと「養父母に育てられた」ことを明かされていたせいでそれを聞いてなお先日指間の流星で語ってしまった「レイ先生も生命体なんじゃないか説」をまだ捨て切れないわたしがいるよw

コア心臓介入医療法

2040年頃、医学部生レイはその能力の高さを買われ「医学部長」率いる「コアエネルギーの心臓介入医療法の応用」について研究する先進的なプロジェクトチームの一員となった。

学部長がレイをべた褒めするのを鼻高に聞いていたファンは過去の研究レポートをいつでも閲覧できるようレイに研究室の鍵を渡していたのだけど、「誰も居ないはずの研究室に夜な夜な現われる幽霊」などという医学部に代伝わる仰しい噂を生み出してしまうほど毎夜徹夜でラボにこもり観察や解析に明け暮れていたレイ。

悪戦苦闘しながらも1年かけてついにチーム内で自分が担うことになっていた実験の研究成果物が得られるというとき、レイはその実験レポートをすべて処分し突然チームを抜けたいだなんて言い出した。
もちろん他の研究生たちの実験の妨げになるような行為ではないが、レイの働きによって大きく前進しかけていたプロジェクトそのものにとってこれはその端緒を失う切っ掛けともなったのだそう。

学部長は同じ研究者として「自分の努力が一瞬で無駄になってしまうとは思わなかったのか」と悔しさをあらわにするがレイの意志は固く、これを汲んだファンは彼が角を立てずプロジェクトを離れることができるよう計らい、また「苦労して得た研究成果物を捨てることは誰にでもできることじゃない」「お前には勇気があった」とレイに寄り添うような言葉を掛けた。

そんなファンに少しだけ心を許したかのように見えたレイは「私は実験の時、」ってファンに胸襟を開くんだけど言葉にして口にはできず、代わりに唯一処分せず隠し持っていたらしい実験データを手渡してくる。
それは半分以上を黒い結晶に覆われた心臓の写真であり、むしろ「黒い結晶のかたまりから生えた脈動する人間の心臓の半分」と表現する方が適切であるほど嫌悪を覚えるようなものだった。

これはコアを用いた心臓の治療とはどう転んでもいずれ人間がコアに侵食されてしまうような危険性があるものだとレイは気付いちゃった、みたいなことなのか…?
それともこのプロジェクトの到達点にはそもそも反道徳的な側面があり、とは言え実際目の当りにしたらこんな状態で脈動する心臓を持つものが果たして人間だと呼べるのかレイの個人的な倫理観には反してた、ってことなのか。

終わらない冬のエピローグでレイは「Evol技術を用いた世界初の大動脈再生修復手術」で杉徳賞を受賞していたし、少なくとも「コア」ではなく「Evol」による治療の方を極めようと決意したタイミングがここだったってことなんだろう。

レイが早に辞退したこのプロジェクトを継続してついに実用化にまで漕ぎ付けてしまった人たちが現在の杉徳医療ってことなのかも知れませんねぇ。

天行市問題

世を過ぎゆく読了直後から今日の今日までずーっと疑問に思ってることがあるのだけど、「天行市」は一体いつから「宙に浮いてる」の?←

今ストの舞台となる「天行大学」は恐らく天行市にあるし、レイは35期生なので大学も35年以上そこにあるのだと思うのだけど…

多くの同期たちがコア研究に苦戦しているってことはコアってまだ研究対象としてもろもろ謎に包まれてるんだよな? コアエネルギーによって宙に浮いてる都市にある大学の研究室で、そんなことってある?←

ワンチャン臨空市や天行市の歓楽街に出回るEvol幻覚剤を013小隊が取り締まっていた2033年時点ではまだ地上にあって、2034年以降コアエネルギー開発が進んでから宙に浮いたのか? とも思ったが、今章ファンは「2040年大学の食堂はリフォームされたばっかりだった」なんて言うんで、下手したらキャンパス移転してるかも知れないくらいの年に食堂だけリフォームするなんておかしな話過ぎるよなぁ。

Comment