空に堕ちる
空に堕ちる

恋と深空を宗教思想史オタクがのんびり考察しています。

ネタバレを多分に含むうえ、新しく開放されたストを読むたびに考えが変わるため我ながらお門違いなこともたくさん綴ってあるのですが、プレイ記録も兼ねているため敢えてそういうものも全て残したまま書き進めております(土下座

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光に堕つ

めちゃくちゃびっくりしたのだけど、丸2日間寝ずに絵を描いていたら突然両目が見えなくなって「たった今眼科を受診し終えた」というホムラより「何も見えないから迎えに来て欲しい」と連絡が入り慌てて駆け付けると彼は病院の中庭のベンチに腰掛け「どこか焦点の定まらない目」をして「空虚を見つめている」って言うんですよね。

聞けば「よくあること」らしく、医者からは「とにかく安静にするように」「一度発症すると再発を繰り返す症状で最悪の場合失明の危険性もある」なんて言われているそうなのだけど、まじ…? (怯
心因性視覚障害みたいなことなのか、「深海魚だから」的な話なのか、寝耳に水が過ぎて一体どう理解すればいいのか全く分からんのやが、もしかして絵筆踏ん付けて転んじゃったりするのもそういう…?

と言うか、深海魚って昔は日光が届かない暗闇に住んでるから目が退化して他の感覚を頼りに餌を食べたり泳いだりしてるって言われてたけど今は逆にむっちゃ目が発達してて彼らは「実は暗闇でも色を見分けてる」って話になってるよな。

まぁいろいろとさて置き、ホムラは「目に問題があって思うような色が出せなかった」という絵画の制作を「手伝って欲しい」と言って主人公に絵の具の調色をお願いするのだけど、「ターコイズブルーを多めに」「もし濃かったらホワイトを少し」なんぞ指示がだいぶざっくりとしており「正確な分量を教えて欲しい」「このままでは絵が台無しになってしまう」と戸惑ってしまう主人公。

「色にも感情がある」「それは見なくても感じられる」と言うホムラはどうやらそういうものを感じるため思うままに色を混ぜて欲しいみたいで、さらに彼女の「楽しい」をキャンバスに投影させたいと考えたのか彼女の頬にこっそり絵の具を塗り付けてからかうようなことを言ってみたり、負けじと塗り返す主人公とふたり絵の具まみれになるまでじゃれ合って遊んでみたりする。

そして「正確な色なんてどうだっていい」「君の目を信じているから」「もしこのまま目が見えなくなったら僕は君を通して世界を見るから」なんてホムラは嬉しそうに笑うのだけど、おおお、これはまさにわたしが彼にあちこちで感じている「ぞわっと感」ではないか。

なんだろう、少なくともわたしにはきっと彼はいつか自分というものを全てかなぐり捨て彼女と融合してひとつになれるしそれがとても気分のいいことだって基本スタンスに見えるのだよね。
金砂の海でも語ってしまった「君と僕」という2生命が結合し「僕たち」という新しい人格になることで一方が何を手放して相手に与えてもどちらかが損をするという概念が生まれないどころかむしろ「幸福の総量が増える」という性質を持つ愛、というやつです。

とってもロマンチックで官能的な愛情表現だが一歩間違えば同じだけ猟奇的にも刹那的にも見えてしまうと言いますか。魅力でもあり怖さでもある。ちょうどその紙一重のところにいるのがホムラくんなんだよなぁ。いやわたしの感受性が変態なだけで誰にも共感してもらえない所感なのかも知れんが(倒