眩光の軌跡
こちらはある禁猟区内で任務中に大怪我を負い帰還できなくなった主人公をセイヤが助けに来てくれるというショートストーリーです。ほんの少しだけ新たに明かされたような設定もあった気がしたので以下覚え書き。
今回彼女が任務に赴いた禁猟区はひたすら「黒い霧」に覆われており、セイヤによればそれは電波や粒子や波動を「ブラックホール」のように飲み込む性質を持っているらしく、霧の中では光の盾も構えたそばから散ってしまうため、まずは体力回復を優先し霧を遮断できるシェルターで怪我の手当てをしようってことになる。彼は剣だけじゃなく盾も光で生み出せるのだな。
どこまでも暗い闇の中で火を焚き毛布に包まればまるで「宇宙の孤独な星にたったふたりで身を寄せ合っているよう」だとか言ってるし、セイヤは心身ともに疲弊した彼女を自分にもたれさせ眠るように促すのだけどこれも完全に夢を聴く聖騎士学校期末試験の再現になっていて一瞬だけものすごく甘い雰囲気になるんやが…(ゴクリ
少し休んで動けるようになった主人公はセイヤと共に「霧の中心部」へ向かうのだけど、どういうわけかそこには数え切れない光の点が浮かび広大な星雲となって「礼拝堂」のような場所を投影させている。
それは14年前にワンダラーが現れたときに残された磁場によって引き起こされる蜃気楼のような錯覚であり、星雲は「数億光年先のもの」ってことらしいんやが、つまりはあの裂空災変以降いたるところにそういう謎の磁気が働くような空間が残っててこうしてたびたび数億光年先の景色が現れるような超常現象が起こってる、みたいなこと…?
するとこの礼拝堂は流星の降る夜で「セイヤが永遠に自由でいられますように」なんてお祈りしてたあの思い出の礼拝堂なのかな。
そういうとこで受信できるのはパルス信号だけじゃなかったのか。
とは言え星雲は徐々に拡散しやがて消えてしまうものらしくて、それを聞いてなぜか「セイヤも一緒に消えてしまいそう」だと感じた主人公は思わず手を伸ばし彼を掴んで「どこにも行かないで」と訴えるのだけど、セイヤは再び立ち込め始めた黒い霧やワンダラーの気配を警戒しながらも彼女の手を握り自分の胸に押し当てて「俺の心臓が動いている限り最後まであんたの傍にいる」だなんて答えてくれる。

霧によりEvolを抑え込まれながらも無事凶暴なワンダラーを掃討、闇が晴れて再び光に照らされた礼拝堂の中で最後ワンダラーが靄となって消えるのを眺めながら「奴らはエネルギーに変わって散っていく」「それが奴らの終着点だ」なんぞ解説を始めるセイヤ。
続けざまに「人間はいつか塵となり宇宙でもっとも取るに足りない原子になる」だなんて付け加えるのだけど、こんなとこでもちゃんとワンダラーがまるで人間であるかのような匂わせ発言していたんやな。
主人公は「いつか彼を失ってしまうような遠い不安」を拭い切ることができず「あなたもそうなるのか」と尋ねたりするんやが、セイヤはこれに頷きながらも、ただしそうなったとて原子は永遠に消滅しないものであり「俺たちはこの星空の下で再会できる」って返答でした。
そうか彼は霊や魂や不思議なテレパシーのようなものでなく「原子」を辿って主人公ちゃんに会いに来るわけだな? だからワンダラーがかつて王妃だったことも知り得るのか。
今回彼女が直感的に「セイヤが消えてしまう」と感じたのは数億光年先の恐らく彼が本来いるはずの景色を見てしまったためなのか、あるいは彼がたった一度本当に彼女の元を去ってしまったあのフィロスの女王陛下の記憶が「遠い不安」として潜在してるのか、いずれにしても本編時間軸の彼女はまだそれを体験していないはずなのでこれも本人であって本人でない別の彼女が手にしたらしい「運命を知る力」が時空の概念なく及んでいることの現れだったりするのかなぁ。