空に堕ちる
空に堕ちる

恋と深空を宗教思想史オタクがのんびり考察しています。

ネタバレを多分に含むうえ、新しく開放されたストを読むたびに考えが変わるため我ながらお門違いなこともたくさん綴ってあるのですが、プレイ記録も兼ねているため敢えてそういうものも全て残したまま書き進めております(土下座

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5章 長恒のオーロラ

おばあちゃんの遺した古い資料は人間の心臓にコアの埋め込みを試みた違法実験のデータ記録であり、被検体となったのは根源系Evolを持つ7歳から8歳の女児、つまり主人公だった。
融合実験成功後のコアの波動データは全12回分残されており、最後には「危険」「禁止」との文字が記されていることから、実験は「最後まで進められなかった」ものだと思われる。

なんと…

これだけ読むと主人公の心臓のコアは「ワンダラーに刺された拍子に入ってしまった」ものでなく「実験によって故意に埋め込まれたもの」だったってことになりそうな。
実験の指揮を取っていたのがおばあちゃんだったのかどうかは判然としませんが、どうやらかつては「科学研究に従事していた」らしいので一研究員として参加していたか、少なくとも被検体として主人公を「提供」したのは恐らくおばあちゃんなのでしょう。

めちゃくちゃ頭こんがらがってるんやが、そもそもコアってのは14年前に初めて現れたワンダラーから回収できるもので、それ以前には存在しないはずのものだよね?
3章中盤主人公があの日の記憶を夢に見た際ワンダラーから逃げ惑う中で「心臓から何かが弾け出そうになるのを感じた」とモノローグが入るんですが、その時点ですでにそこにあったならこのコアは「ワンダラー出現前から存在していたもの」だってことになるよな。

エーテルコア

資料によれば埋め込まれたコアは「エーテルコア」と呼ばれる特別なコアであり、記された波動の形状からは「見たことも聞いたこともない」らしい主人公。
現在これを「コア介入症」の症例のひとつとして治療しているはずの担当医レイにさえ詳しいことは分からないらしいが、前任の主治医でありおばあちゃんの古い友人でもあるというAkso病院の元院長「ファン」を訪ねれば、あるいは何か明らかになるかも知れないとのことだった。

ファンは現在極地にある「白雪町」というところで個人的な研究を行っている「レイの恩師に当たる人」ってことみたいなんですが、そう言えば2章中盤レーウィンとの会話の中にも登場してましたね。
「あなたに入れ込んでいるあなたの恩師は一体何の研究をされているのか気になります」みたいな。

レイはちょくちょくファンの研究の手助けに極地を訪ねているみたいなんですが、思い返せば1章では「また極地に行ってたの?」って聞かれて「プライベートに踏み込むな」とぴしゃりしていたし、本当に何の研究をしてるのかひた隠しているようにも見えてしまうな…

極地

臨空市から1日1便ある飛行機で来ることができるという、北海道の超ド田舎のさらに100倍は不便そうな最北の地。

主人公はレイにファンの話を聞いた直後早にアポを取り休暇申請を出して翌朝いちばんの便で黙ってここへやって来てしまうわけですが、これを見越してふたり分のカフェラテをテイクアウトしつつすでに極地駅で待機していたレイが、自分は自分で「ファンの研究の手伝いに来ただけ」だって言えちゃうの、はちゃめちゃにかっこよ過ぎる(震

ファンの居る白雪町には駅からさらに極地列車で移動しなければならないらしいんですが、運行管理センターにワンダラーが出現したことで列車は急遽全線運休、とは言え掃討に協力したことで極地支部のハンターから特別に「犬ぞり」を貸してもらえることになりました。

犬ぞりの犬はもふもふ毛皮ツヤツヤ毛並みのAIロボットになっているんですが、どう走らせればいいか困惑する主人公を微笑ましく眺めるレイは随分と乗り慣れているご様子。
ハンター専用の移動手段っぽいのにちょいちょい乗ってるらしいのは「毎回医療チームとして来てるわけじゃないから」だって言ってたけど、レイはワンダラー退治にまで借り出されているのか…?

ちなみに運行管理センターに現れたワンダラーを無事殲滅し終えた直後「やっぱり臨空のハンターは経験値が違いますねぇ」と思わず唸ってしまった極地のハンターたちは多くの人を避難誘導しながらの戦闘にはあまり慣れてないらしく、それは特殊な地磁気を持つ極地ではワンダラーが出るのはおおむね雪原や山奥で人の集まるところには滅多に出現しなかったから、ってことみたい。
前章では安定装置が備え付けられているはずの病院内にも出たし、臨空だけじゃなく極地でもエネルギー均衡は乱れつつあるのかな。

六団子

ファンのペットとして白雪町で暮らすややぽちゃの白狐。山で拾ったとき肉団子を6つも食べたことからこの名が付けられたそう。

レイが言うには六団子は9歳程度の人間と同等の知能を持っているらしい。
そんな賢い白狐の道案内でとあるおしゃれなログハウスの前まで辿り着くと、雪山の動物たちに囲まれムツゴロウさん状態のファンが到着早レイに「手伝ってくれ」と声を掛けてくる。

どうやらファンは動物たちに「拮抗薬」を打ってあげているみたいで、恐らく六団子の前足にも同じ理由で注射跡があるのだけど、レイが氷の柵を作って次捕まえた走り回る多くの小動物たちからは、どういうわけか微かに特異エネルギーの波動が検知されている。

これについてファンは「この辺りの異常な波動がまた激しさを増しているようだ」って言うんだけど、つまりは異常な波動が激しくなると動物たちがそれに侵されてなんかワクチン的なものを打たなきゃならなくなってしまう、ってこと?
あれ特異エネルギーってそんなウイルスみたいな存在なんだっけ←

うーんぶっちゃけ医学には疎いんで「拮抗薬」がなんなのかも正直さっぱりなんですが、もしかしたらファンの個人的な研究は特異エネルギーのウイルス化とか感染の可能性について、みたいな内容なのかも知れません。

ファン

動物と自然に囲まれた雪山に暮らす優しげな老人。レイいわく「ご高齢だから味覚が少し奇妙」であり、夕食に出された彼が自ら釣って調理したらしい魚の煮付けは驚くほど甘い。

ファンの見解によれば、心臓のコアがもし後天的に埋め込まれたものであれば必ずその痕跡が残るはずであり、また長い間主治医を務めてきた中でそれを発見できなかったことから、主人公のコアは「生まれつき体内にあったものなのではないか」とも考えられるらしい(びっくり

「心臓とコアの違法な融合実験」が本当にあったかは分からないが、おばあちゃんが主人公のコアについて極秘に波動データを記録していたらしいことはなんとなく知っていて、「エーテルコア」という名称も恐らくは哲学における第五元素「エーテル」から「証明できないもの」「説明がつかないもの」という意味で当時の研究員たちが名付けたのではないかと。

ファンは主治医として少しでも治療の手掛かりになればとこの実験に関わった研究員たちを探し回ったこともあったが、おかしなことにその大半が行方不明になっているか何者かに殺されていたと言う。
そしてその数の不審な死は、実はあるとき研究員のひとりが失踪し、N109区の「暗点に身を寄せた」らしいことが発覚してから起こり始めたものであると分かり、おばあちゃんはこの失踪者を探していたんだとか。

そういうことだったのか…
いや実は前章レイの回想でおばあちゃんが延命治療の中断を申し出るシーン、会話がちょっと不自然だったんですよね。
本来なら医者の「まだがんばりましょう」に「いえいえもう結構よ」「静かに最期を迎えたいわ」ってのが定石なんだと思うんやが、おばあちゃんは「もう無理ですこれ以上延ばせません」って言うレイに「そうねぇ」「充分な時間は与えられたわ」って返してる。
まるで何か目的を果たすために無理を言って延命措置を施してもらってたけど達成する前に限界が来ちゃった、みたいな言い振りだとは思ったが、この失踪した研究員を見つけ出そうとしてたんやな?

てことはやっぱり花浦区のあの爆発は事故と見せかけた事件であり、おばあちゃんは「実験に関わった研究員」として何者かに殺され、マヒルはただ巻き込まれてしまったってことなのか(ないてる

実験の目的と結末

この実験は一体何の目的で行われていたのかと問われたファンは、「いま人が深空トンネルの中に入ってみたいその理由はなんだと思う?」「未知を探求すること自体が目的なんだ」って答えてる。
そして「その目的のために手段を選ばない者がいる」「だからこれは誰にも漏らしてはならない実験だったんだろう」とも。

それってつまり、資料には「融合実験」だの「心臓の提供者」だの書かれていたから怪しさ満点だったけど、本来はある少女の体内に先天的な未知のコアがたまたま見付かって、探究心からあれこれ調べるうちに世紀の大発見だってことに気付き、きっとこれを手にしようと目論むであろう悪しき者の目に触れないように、おばあちゃんや研究員たちは主人公を守ってくれていた、みたいなことなのか…?

そうかわたしはコアというものをとにかく「ワンダラーの中から採れるもの」だと思い込んでいるから理解が追い付かないんだな。
エネルギーの源はみんなコアだし、さらに未知のエネルギー源だからエーテルコア、別にこれがワンダラーとは無関係のところにあったっておかしくはないわけだ?

誰に漏らさなかったとてこうなってしまった以上「遅かれ早かれ誰かが自分を見付けに来るはずだ」と焦慮する主人公だけど、ファンによれば現在心臓のコアの波動の計測値はこの全12回分の資料のどのデータと比較しても遥かに低いらしく、しばらく見付かることはないと踏んでいいらしい。
医学の範疇ではないため推測に過ぎないが、恐らく最後の実験で「体内のコアは散逸してしまったんだろう」って。

じゃあ、結局この実験のあらましは、持って生まれた体内のコアを心臓と融合させようと試みてはいたものの、最後には失敗して体外に出て散らばっちゃったかも、ってことなのか?
とは言え故意に埋め込まれた形跡がないなら故意に摘出された形跡もないってことだよな。

てか、気になったんだけどこの世界の人たちはやっぱりみんな「深空トンネルの中に入ってみたい」と思ってるんだね。1章冒頭でラジオDJもそんなようなこと言ってたけど、なぜ怖くないのか(ビビり

銀世界

もう大好きですこのシーン…
今のところ深空史上いちばん泣きました。涙

夕食の後、さまざまな想いが去来して不安げな顔をしていた主人公に声を掛け、オーロラを見に行こうと外へ誘い出すレイ。
今夜は大雪の予報で空にオーロラが架かる確率がとっても低いみたいなので「きっと見れないんじゃないか」って主人公は答えるのだけど、レイは彼女の頭に降る雪を優しく払いながら、初めて極地に来たなら見ておくべきだし「最後の最後まで結果は誰にも分からない」って言うんですよ。
これを天才心臓外科医が言ってると思うとめちゃくちゃかっこいい。

案の定雪はしんしんと降っていて、ふたりは他愛のない会話をぽつりぽつりとこぼしているのだけど、壮大な夜の景色の向こうに見える「長恒山」という山で、つい数年前「磁場の異変による深刻な災害があった」ことをふと思い出す主人公。
これを口した流れで、レイはそちらに目をやりつつ、それでも淡とした口調で、「あの時私の先輩があそこで命を落とした」と打ち明けてくれる。

言葉に詰まりながらも、まるで自分に言い聞かせるように、「死がもたらす痛みは時間と共に忘れられる?」と尋ねる主人公に、「時間にそんな力はない」「ゆっくりと慣れていくだけだ」って答えるレイ。

主人公は続けざまに、「でもそれはあなたに続けるべき何かを見付けさせた?」とも聞くんですよね。
どうやらファンがこの極地に留まり研究を続けているのはその長恒山の災害や先輩の死とも何か関係があるみたいなので、もしかしたら主人公は同じように、おばあちゃんやマヒルや自分のコアを巡って渦に巻かれてしまった多くの人たちの死を、「無駄にはならなかった」って彼の言葉で乗り越えたいと思ったからなのか。

でも、レイは答えない。
代わりに、空へ目配せをする。

ここBGMもホントにやばくて。涙
気休めの言葉なんぞひとつも言わないのに、なんでこんなに温かい安心感で包み込めるの? (号泣
最後の最後まで結果は誰にも分からない、ってことをたぶん伝えてもらっただけなのだけど、きっと大丈夫だ、って思える不思議…

少しだけ晴れやかになった声で「あなたの言う通りオーロラは絶対に見ておくべきだった」と嬉しそうな主人公が、「でも明日には帰らなきゃならない」「もっとたくさん見たかった」って漏らすと、小さな雪だるまを作って「代わりに見ててもらおう」なんてぐうかわいいことまでやってるし…

凝雪の章を読んで「一見分かりにくいレイのこの優しさはちゃんと主人公ちゃんに伝わってるのか」なんて余計な心配しちゃってたけど、お門違いも甚だしかったってわけね。
レイ先生さえその気になれば全人類誰でも即メロメロにさせられるんだってことは充分に伝わりました、見くびってすみませんでした(土下座

散逸したコアの行方

失踪した元研究員が身を寄せている以上、エーテルコアを秘密裏に完璧な状態に復元してその未知なる力を掌握下に入れようと動いているであろう暗点。関係者がこれだけ不審死を遂げているならもう彼らは散逸したコアの一部を手に入れているかも知れない、というレイの言葉に、ふと禁猟区で引力錨から回収したあの「改造コア」の存在が脳裏をよぎる主人公。

データベースにアクセスし、改造コアのエネルギー出力値と資料にあったエーテルコアの基礎エネルギーを比較してみると、それはまるで「エーテルコアを使って改造されたものなのではないか」と思われるほど酷似していた。
失踪した元研究員が持ち逃げして横流したのか、善良な研究員たちが隠し持っていたのを強奪して回ってたのかその辺は分かりませんが、散逸したエーテルコアの一部はやっぱりもうすでに暗点の元にあるんですね。

そうして何かを決意したような主人公はその翌朝、もうしばらく研究のため極地に滞在するというレイが六団子を連れ長恒山へ入っていく背中を見送りつつ帰路に就くのだけど…
戻って一体何するつもりなんだろう。

急にエーテルコアについて激しく調べまくり出したりなんかしたら直ぐバレるからな? (うるさ

てか、思ったんだけど失踪中のそいつは元実験に参加してたんだから主人公の顔も名前も残りのコアがまだ心臓にあるだろうことも全部知ってるくない?
え、なんか思ってるよりだいぶまずくない?←

ちなみに前章ラストでレイが言ってた「最悪の状況なんて必要なかったはずだ」ってのは結局なんだったんだろうね。
むっちゃいろいろ知ってる人のセリフなはずだと踏んでたけど、今章レイがファン以上に詳しく何か知ってそうには見えなかったなぁ。