空に堕ちる
空に堕ちる

恋と深空を宗教思想史オタクがのんびり考察しています。

ネタバレを多分に含むうえ、新しく開放されたストを読むたびに考えが変わるため我ながらお門違いなこともたくさん綴ってあるのですが、プレイ記録も兼ねているため敢えてそういうものも全て残したまま書き進めております(土下座

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秘炎の滾る地

今回ホムラくんがセイレーンの歌オペラ歌手Moの衣装で登場してくれたことによりようやく気が付いたのだけど(おそい、「外伝」はストジャンルとしては「秘話」のリッチ化ってことなのだね。

つまりは「君と新しいリモリアを探す」だなんて言い切ってくれる個ストのホムラではなく「リモリアの方がずっと大事」だと断言していた本編ホムラのサイドストーリーであり、とは言え秘話同様各攻略キャラそれぞれの外伝とは干渉しないもの、みたいなイメージなのだろう。

月下の黒き棘の方であまねく理解したはずの「RFチップ」について改めて報告を受けた主人公がまるで初めて聞いたことであるかのような反応をするのもそのためなのかな? だから「ホムラルート」なんて名が付いているのか。

この流れでいくと近日セイヤも学園の制服とか着て出て来てくれたりする? (鼻息
いや個人的には特殊部隊で特別任務に参加することになる方がシナリオとして自然な気はするが…

なんて下らない妄想はさて置き(恥、今回のストはいつか絶対起こるだろうことは覚悟していたもののできれば起こらないでくれよと願っていた展開がついに訪れてしまったのねって印象。
ただし彼女はとっても前向きで、今世のふたりならどうにか打ち破れるんじゃないかなって思えるような結びになっていたと感じます。

そして一生理解し切れずのままだった「海神伝説」のまるで答え合わせであるかのような場面も多くあり、ようやく視界が開けおおむね咀嚼できたような気がするので忘れてしまわないうちに覚え書き。

マイエン

今回の調査は「β磁線」の検出やこれに伴う謎現象の報告に基づくものではなく、協会が「内通者」からの情報より「コアの密輸に深く関わっていた疑いがある」として「監視リスト」に名を加えた「マイエン」という有名な実業家について身辺を探ってみる、という裏付け捜査である。

どうやら宝石鑑定において優れた審美眼を持っているはずのマイエンが先日特段高級でもない石を桁違いの高値で落札したらしいことから協会はこれが「ジュエリーオークションに見せかけた違法なコア取り引きだったのではないか」と危ぶんでおり、さらに競り落とされた宝石は「エーテルコアである確率が高い」と見なされているもよう。

マイエンはその宝石を「結婚記念日の贈り物」という名目で買い受けており、また近日自身の所有する孤島にて開催予定の「結婚記念パーティー」の演出として奥様に贈られる、なんて話もあることから、主人公は「これに出席できれば確認できるチャンスがある」「招待状を手に入れるためにホムラの人脈を利用させてもらおう」なんぞ考え至るのだが、彼女にとってホムラとは完全に世界中の富裕層がこぞって贔屓にする美術品の作者、社交界の住人であるかのような位置付けなのだな。

まるですべてを想定していたかのようなホムラはそうして彼女がアトリエを訪ねてくる頃にはとっくにこのパーティーの招待状を手配済み、ただし自分は自分で「君にしかできないこと」に協力して欲しい、とは言えそれはタイミングを図り待つべきものであることから「先にご褒美を用意した」ってなことらしい。

パーティーは式典の会場となる孤島の別荘までクルーズ船で「仮面舞踏会」を楽しみながら移動するというプログラムになっており、これはマイエン氏がご夫人と互いに一目見て惹かれ合った「ふたりの初めての出会い」を完全再現しようと考案したものだそうで、招待客には事前に特注の「仮面」が配られている。

今回ホムラは懸賞首として自分を狙う裏サイトの人間始めさまざまな人物の目に留まらぬよう「頭角を現してきた新人オペラ歌手」と身分を偽っての参列となるようなのだが、月影ハンターといい深空では毎度こんなに小さな仮面が本当にきちんと仕事してくれる←

たとえ顔を隠し身振り手振りでオペラ歌手を演じようと彼の放つ比類ないたおやかなオーラはあまねく漏れ出てしまっていたようには見えたがな(殴

仮面舞踏会

クルージング中は贈り物の宝石になんとか接近できないかと機を伺う主人公であったが、ピエロの仮面を纏った恰幅のいいじいさんが執拗に声を掛けてくるためなかなか上手く立ち行かない。

ホムラの身に付けていた仮面は「ヤン」という人物のためにあつらわれたものらしく、ヤンの旧友だというピエロはこれを「主催に許可された代理参列なのか」しつこく問い詰めてくるのだが、うーんぶっちゃけホムラの正体を暴こうと働く危険人物と言うよりは「資産家だけが招かれるパーティーになぜこんな若僧が紛れているのか」「身分の高い自分となぜ同じ酒を飲み食事を摂っているのか」単純に気に食わないからと絡んでくる偉ぶった一般おじいに見えたかな。

それよりも割って入って来てくれたマイエンが恐らく咄嗟にホムラの口をついて出た「実はヤンの隠し子に血縁のある遠縁の親戚」だなんていう「その場しのぎの身元隠し」に機転を利かせ終始話を合わせてくれていたことの方が個人的にはやや思いがけない展開。

ホムラがマイエンの居ないところで彼を「ただの金持ちの恋愛至上主義者」だと表現するような場面もあるがこの発言からもふたりが浅からぬ仲である雰囲気がだいぶ漂っているし、招待状を譲ってくれたらしい「ヤン」なる老年男性はもちろん、見たところだいぶ周到にあらかじめ口裏を合わせてくれていたであろう「マイエン」がホムラの事情をどこまで知るどういう間柄の人物だったのかとても気になっている。

ブルーホール

あれこれ手は尽くしてみるも結局宝石には接触できないままクルーズ船は目的地に到着、式典の会場となるマイエンの別荘からは浅瀬に見事な「ブルーホール」を望めると言うが、ホムラは「眺めるならこちらからの方がいい」と勝手知ったる様子で彼女を穴場スポットへと案内、道すがらここ一帯はずっと昔「海の一部」だったこと、草木をかき分ければサンゴ礁の痕跡が見られることなどを教えてくれたりする。

もしかしたら島の形態や特徴からそう判断できるって話なのかも分からんが、どうやらホムラは海底に暮らしていれば少なくとも陸の人間とは同じ歳の取り方をしないみたいだし、これは「本当にここが海だったかつて彼はここを訪れたことがある」と解釈してしまっても良いのかな?
しかし改めてこの宇宙この星においても海はリモリアの喪失により徐に干上がり始めているのだな。いやそりゃそうか。そりゃそうだ(絶望

そうしてブルーホールが見晴らせる海岸の小高くなった場所に到着すると、ホムラはこれが「単に綺麗なだけじゃない」ものであること、たとえば「ここが別世界への入り口」だとか「底には秘宝が眠っている」だとか人間が抱く不思議な想像はどれもただの空想だと証明することができないし、本当に「言葉にできない秘密が隠されている」ものなのかも知れない、だなんて言ってくる。

ファンタジーでありながら科学的整合性にとりわけこだわりを見せる深空の世界観、実際人類はいまだ技術的制限によりもっとも深いブルーホールの底を観測できないし、ワンチャンそれはこの物語において「深空トンネル」同様「どこかへ繋がるかも知れないもの」の設定だったりするのだろうか。

主人公ちゃんはそんなホムラの言葉を聞いてか遠い海底からの呼び声を感じてか「心臓の奥底が震えるような感覚」を覚えていたみたいだが、実はもう間もなく島に到着するという深夜船内の寝室で眠りに就いた際も海神ホムラが出会いしなに横笛で奏でていたあの不思議な旋律や恐らく生贄として投げ入れられたあの海を夢に見て「ここには来たことがある」と思い至ったりもしており、少なくとも彼女にとっては何かこう導かれるように「かつて見た別の世界」の記憶が呼び起こされるもの、みたいなことなのかも知れません。

贈り物の宝石

式典が始まると例の宝石は大勢のゲストたちが見守る中マイエンの妻「ガラ」に手渡され、また彼がどうして一般的に市場価値の高くないその宝石を敢えて高額で買い求めたのかその理由が「ふたりの出会った地で採掘されたものだったから」だという真相が明かされるのだけど、なるほど彼は奥様との価値ある思い出を決して「安いもの」にはしたくなかったって話だったのね。いい男ジャン←

マイエンはさらにこの海の「心臓」とも言われるブルーホールを有する島を丸ごとガラにプレゼントすると言い、貴重で純粋な心を捧げてくれた妻に自分も「世界でもっとも貴重で純粋な心」を贈りたい、なんぞ加えて宣するのだが、うーんこれはあまりにも聞き覚えがあり過ぎるな。

ホムラ同様この世界におけるブルーホールの何たるかをマイエンは心得ているのか、逆に「凝縮した海のような澄んだ青色をした宝石によく似合う瞳の色」を持つガラこそがそうなのか、もちろん形式上「心臓」を受け取る側になるガラの方が「実はリモリア人女性だった」ってオチがいちばんしっくりくるのだが、すると延いてはリモリアにとって危ないやからが集っているであろうこの式典そのものがやや腑に落ちない気もするし、あるいは海神ホムラと生贄の彼女のように「ひたすら純粋に愛し合うふたり」であることをただ強調したいだけの描出だったのか、一体どう理解しておくべきか(苦悩

いずれにしろホムラの計らいによりついに宝石を身に付けたガラに接近することができた主人公が「Evolでも探査器でも波動を感じられなかった」ことにひどく落胆した様子で戻ってくることから少なくとも「エーテルコア」についてはまるで無関係な人たちだったのだろう。すると今度はマイエンを貶めようと目論んだ「内通者」が気になり始めるが…

と言うかここ、そうしてなんの成果も得られなかったことに肩を落とす彼女をホムラくんはポケットから取り出した「手持ち花火」で元気付けてくれたりするんやが、まるで煌めきを描くそのままの展開に涙出てしまいそれどころじゃなかったわ←

だって彼女が思わず笑ってくれるから。涙
「君が抱く全ての嫌な気持ちを君の笑顔で消化できる」彼の得意げな反応がいじらしくてたまらないじゃないか(ないてる

島に隠されたもの

そうして宴もたけなわという頃、賑やかな別荘から少し離れたブルーホールが見下ろせる場所に怪しげな人影を確認したホムラと主人公はこれが「EVERの2人組」であることに気が付き岩陰からその様子を探ってみることに。

実は仮面舞踏会の後あれやこれやと奮闘する流れで船の甲板下に身を隠していたふたりは「マイエン」が「EVERの2人組」に何やら詰め寄られるのを偶然耳にしており、会話の内容からどうやらEVERは過去何度かマイエンに「この島を譲り渡して欲しい」と強固な姿勢で交渉を持ち掛けているらしいこと、なかなか応じないマイエンには「脅し」とも取れるような言葉さえ吐き捨てていたりすることを知っていたのである。

どうしてマイエンはこんなおめでたいパーティーにそんな気の悪い人たちを招待したのだろうと考えあぐねてしまったが、止むを得ない事情があったのか上手く強行されてしまったか、はたまた敢えて彼らの前で堂と「島はガラに贈るものである」と固い意志を表明したかったのかな。

EVERの2人組は「この島に隠されたものは何よりも重要で誰の手にも渡してはならない」と上から言い付けられここに居るらしく、「もうすぐ騒ぎになるからその隙に、」などと打ち合わせていることからすでにどこかのタイミングでRFチップをブルーホール内に投げ入れており、これ「振動でコアを探知しワンダラーを引き寄せる」ためにピンポイントでそこに決め打ちしてるんだから当然彼らはこの海の底に「コア」を探知していたし「隠されたもの」もそれを指していたってことでいいんだよな?

何やら騒ぎにかこつけて「マイエンのコレクションルーム」に立ち入る算段だったようだけどそれはたとえば部屋を荒らして注意を引くためだとかそういう? それともそちらにも何か重要なものが? (混乱

いずれにしろ思惑通りブルーホール上空には巨大ワンダラーが出現し海は猛烈にしけ始めるのだが、これを目にしたホムラは恐らく出発前に「待つべきもの」であると溢していた彼の目的について「荒れた波と風」そして「満潮の時刻」が「絶好のタイミングである」と告げ、ふたりはブルーホールの中へ。

忘却の海では不自然なほど突然荒れたり凪いだりする海を「ふたりの心を表現する情景描写」と認識していたが、今ストを読んでこれも「海底からの呼び声」に近い現象なのかも知れないなぁと感じたよ。

巨大な石板

ここからはだいぶうるさく個人的見解を交えてしまうのだが(やめて、大前提わたしは今時点どうやら深空に無数存在するらしいフィロス星系とは「エネルギー爆発を繰り返すたびに再生速度は加速して爆発は威力を増していく」というまるで彼女の心臓のように燃焼と再生を繰り返し何度も原子に返っては再び星になってきたもの、ただし生命の意識エネルギーだけはこうしてなお宇宙に蓄積され続けているって話なんじゃないかと思ってる。

つまり忘却の海金砂の海は文字通り彼女が「かつて見た別の世界」であり、さらに「時間」という檻の中で「輪廻」すると言うからにはどの世界もある程度同じうねりを経て同じ終焉を繰り返しているのではないかと踏んでいる。

意表を突かれてしまったが、ホムラくんはブルーホールの底にあるらしい目的地を主人公と共に目指すに当たり彼女に「キスをして」水中でも息ができる状態にしてやるのだよね。
クジラの歌では「僕の目を見て呼吸を整えて」もらえばそれができてたんで、「じゃあ海神はしたかったからしてただけか」なんてむっつり呼ばわりしてしまったのだが、思い返せば忘却のリモリアは「日光が届かない暗くて寒い海域」にあり、今回のブルーホールもホムラが言うには「酸素も薄く光も全くない」場所、きっと水深や酸素濃度によって必要になる措置だったのだな(深頷

そうしてふたりは恐らく彼女の「涙」が姿を変えた「焔尾魚」と「満潮の底流」に導かれるようにして「進めば進むほど辺りは暗く流れも急になる」ブルーホールを下へ下へと降りていくのだが、ホムラの炎を灯りにいよいよ海底まで到達すると、そこにはまるで「入口」のような亀裂が海水を吸い込んでおり、波に押されるようにして中へ入れば隠された「入り江」が現れて、足元には「薄ぼんやりと光る巨大な石板」が敷かれている。

ホムラはその石板が「この島の基盤」であり「かつてはリモリアの過去と未来を支えていた礎石」でもあると説明してくれるのだけど、もちろんリモリアの歴史や行く末が記された「海神の書」という意味での「基盤」や「礎石」でもあるのだろうが、個人的にはこちらの物語で言う「リモリアの過去と未来」とは伝説で言う「火種」を、「それを支える礎石」とは「それを収める壁龕が造りつけられた神殿の礎石」を、「この島の基盤」とは「あの歌島の陸地が海面から隆起しているその地層の基盤」を実はそれぞれ象徴する言葉になっていて、互いに「縁を持つもの」であることを暗に意味しているのではないかと感じてしまったんだな。

もしかしたらマイエン氏の島やブルーホールは海神伝説における「歌島」や「鯨落都」に当たる場所、だったりするのかな?
よく考えたら潮の流れに沿って「入口」から入って来たこの「入り江」も「海底の裂け目の奥にある」という忘却のリモリアを連想させるよなぁ。

ちなみに金砂の鯨落都が石板の発掘された歌島の跡地よりどえらい離れた場所にあったのは、わたし自身なぜかどの世界においてもどこかのタイミングで必ずバラバラになってしまう星の陸プレートをなんらかの手段で繋ぎ合わせ埋め立ててどちゃくそデカくなってしまったのが「フィロス星」なのだと思い込んでいる節があるため、誰が聞いても強引な理屈ではあるが自分の中での辻褄は合っているw

海神の書

ホムラはついに自分の目的が「失われたリモリア」と「忘れられたその力」を取り戻すことであると彼女に打ち明け、石板に「海神と契約を結んだ者」である彼女の鮮血を一滴注ぎ「海神の書を呼び覚ます」ということをするのだが、するとたちまち足元から「巨大な光の文字」が浮かび上がりふたりの身体をすり抜けるようにして上へ、その瞬間彼女の脳裏には「幼いホムラと交わした約束」が金色の光を纏う断片的な映像として流れ込んでくる。

リモリアにおいては「あなたのことが好き」という意味になるらしい「ウロコが好き」だなんて言葉を躊躇いなく告げられてどぎまぎする幼いホムラは、別れ際「君は必ず僕のところに来る」「僕もずっと君を待つ」「これは契約」なのだと彼女に述べ伝え、また彼女の方は「じゃあ、私も、」というような返答なのだけど、感覚的には恐らくホムラは契約のシンボルである「逆鱗」を、彼女からは何か「お返し」になるものを互いに「交換」し合ってる、ような雰囲気。

わたしは長らく「海神との契約」が具体的にどの瞬間どの契りを指しているのか明確に理解できておらず、ただ金砂で今回と同じように海神の書を呼び覚ましたとき潜行者の彼が見せてくれたのが「以前自分が渡した約束の証」ではなく「もっとも敬虔で唯一無二の信仰が欲しいならそれ以上に特別なものと交換しなきゃ」「じゃあ海神の心をあげる」の場面だったことから「きっと海神と彼女だけが交わしている何かがそれに当たるのだろう」との誤判断に至り、忘却のラスト海神ホムラの炎が細い糸のようになって主人公の手の平の掌紋の一部になる「リモリアの永遠の契約」がそうなのかな? なんて思っていたりした。

でも今回のストで「契約」とはシンプル「証として逆鱗を手渡す約束」のことを指していて単純に「それをしたのが海神」なら海神との契約、ただし相手からもリモリア用語でいう「純粋な心」のようなお返しをもらい初めて成立するニュアンスなのだろうと感じたよ。
つまり潜行者の彼と彼女の契約が「成立」したのは王宮の姫がついに王都を抜け出し「あなたについて行く」と告白して青い小魚がウロコに変わったあの瞬間だったのだろう。

仮に彼も彼女も海も星もいつかはみんな原子に返り再び構築されることが繰り返されているという世界観を前提とするならば、幼い彼の第一声「僕を呼び覚ましたのは君」だというのも原子レベルで彼女に「もっとも敬虔で純粋な信仰」を感じ取り眠っていた「海神の心」が呼び覚まされていた、そんな彼と彼女との契約だから海神との契約、って解釈になるのかな?

伝説では海神の書って「火種が消えてもう一度灯るときに新しく現れる」もののようだったけど、こっちではどうなんだろう。
明記されているわけではないが金砂忘却の石板は勝手にA4サイズくらいのイメージだったんで(なぜ、あまりにサイズ感の異なる今回の石板はまた違った現れ方をしているのかも知れないな。

海神の力

石板から浮かび上がった「金色の呪文」が何か大きな力を携えホムラの身体の中へ注ぎ込まれると彼は突然青ざめたような顔で彼女の腕の中に倒れ込んでしまう。
彼女は慌てて彼を抱き留めると「焔尾魚」に導かれるまま今度は「崖」のような場所に広がる裂け目の中へ、道なりに泳ぎ続けようやく海面に浮上するとそこは島から少し離れた岩礁地帯であり、座礁した三角帆の小さな船の上へ彼を引き上げ「何が起こったのか」尋ねてみるのだけど、むちゃくちゃ具合の悪そうなホムラは「包み隠さず話す」つもりだが「もう少し時間をくれないか」と返答する。

なんだか預言者の書にもこういうの見覚えがあるな。さては知ってしまったのだな? 海神の書に記されていた受け入れがたい予言を…(怯

そして間もなく彼の首筋にはウロコが現れ始め、目は青く光り、「下がっていて」「この力は従順じゃなくて、」なんて言葉を最後に突として彼女のことが分からなくなってしまったらしい彼は、険しい表情でしばらく彼女の顔を眺め「信者か」「生贄か」なんぞ問うてくる。
まるで人が変わってしまったように彼女を組み伏せながら、あの貴公子のようにたおやかな彼からは想像もできないような物しい声色で、「死んだ深海で嵐が起こるとき海神が蘇る」「背信者に必要はない」などと凄んでくるホムラ。「海神の力」とはこういう目覚め方をするの? めちゃくちゃびっくり。

見たことのないヒレも表出している。なんて言うか、とてもかっこいい(言うてる場合か
そうか彼らは本来「青い」生き物なのだね。すると人為的なコア介入症患者の目や胸が青いのはやっぱり彼らの不死化細胞「LCMECs」の影響だったりするのか…

エーテルコアの欠片

彼女が彼の胸に手を当て「海の契約に基づき」目を覚ましてと念じることでホムラは無事自我を取り戻すのだけど、契約により彼が彼女の意に背けないことを彼女はどこかで知っていたんだっけ? (記憶喪失

くたびれた様子のホムラは「海神の書に嵌め込まれていた」という恐らくエーテルコアの欠片を彼女に手渡すと、自分はそのコアに導かれここへ来たこと、海神の力と共に「死んだ深海」が蘇り力を受け取ったからにはその呼びかけに応えなければならないこと、そして「ある未来が決まってしまうとしても拒絶はできない」なんぞ不穏極まりない話をぽつりぽつりと語り始める。
それが海神の書に記されていたすべてなのかな?

「死んだ深海」とは恐らくある悲劇を運命であると決定付けるもの、レイの物語で言う「最高神アスタ」なのだろう。
もちろんあの「火種」の業が再び巡り始めるとは思いたくないけども、このストのタイトルが「秘炎の滾る地」なのがとっても嫌な感じだし、とは言えそれ無くしてすでに干上がり始めている海が蘇ることってないのだろうし、何よりかつて海から力を借りた人間が海の寛容さを服従と勘違いし「深海の残酷な色を忘れてしまった」うえに石板が「真っ赤な海藻」に覆われていたことがその「拒絶できないある未来」の何たるかを語っているのではないか(止まらないネガティブ

と言うか、そのエーテルコアの欠片は滑り込みで契約成立してしまったフィロスの姫である彼女の「純粋な心」が意識エネルギーとなってコア化してるの?
それともEVERみたいなもんが後から細工してるの?

約束

事の収束後、幼い自分が海岸で彼と交わした「来年またここで会おう」という約束についておぼろげな印象を取り戻したという彼女は、これを思い出せなかったことについて「あるとき高熱で4日ほど昏睡状態に陥り目が覚めるとさまざまなことを忘れてしまっていた」ためであると見解、それをホムラに釈明するべきか敢えて「言い訳」のようなことはすべきでないのか思い悩み、思い切ってアトリエを訪ねるも歯切れ悪く口ごもっている。

そんな彼女の心の内をぴたり言い当てられるホムラは「読心術が使えるのか」と彼女に驚かれるのだが、今ストたびたび描かれるこの「読心術」のくだり、もしかして「海神には信者の考えていることが分かる」と読んでおくべきだったのかな?

申し訳なさそうに「あの後本当に私に会いにあの浅瀬に行ったの?」と尋ねる主人公ちゃんに「それは次の年のこと?」「それともそれ以降毎年のこと?」なんて返されてはっとしてしまったのだけど、まさか来る年来る年ずっとそこで彼女を待っていたんじゃないかホムラくんは。涙

恐らく「高熱のせいで記憶が曖昧」なのだと本人に話していたのは災変後の彼女の生命形態がしばらく不安定で記憶も「乱れた電気信号のように断続的」だったことを気に掛けていた埃の中スエであり、するとふたりが出会ったのは時系列的にあのリモリアの事件の「後」ってことでもいいのかも知れないな。

深海が彼の「牢獄」となったのは海神として契約を結んだ相手に忘れられたことで「あの日の一族のために目を覚まし立ち上がる」ことができなくなった自分をホムラ自身が「罪」だと認識していたためなのかな。セイレーンの歌タンレイさんとまるで同じこと言ってしまうが、己の感情ではなく「一族の嗚咽」に奮い立たされている彼が痛ましくてたまらないのだけど。涙

彼が今日まで陸と海どちらで多く過ごしていたのか分からんし、ざっくり陸の14年が深海の800年に該当するのかと言われれば怪しいが、とは言え陸の人間が海神祭までの「1ヶ月」海で過ごせば「それ以前のことはあまり思い出せない」ほど差異があることは確かなので、「800年君を待つ間に魚は進化し肺を得た」という大袈裟な彼の主張もたぶんあながち間違ってないんだろう。

天候の悪い中「あなたが待ってるから」と会いに来てくれた彼女にとっても嬉しそうなホムラと、外の嵐に目をやり「雨水と海水はやがて混ざり合い別れる前の姿に戻る」なんて結論する主人公が、まるで「これから何が起こっても大丈夫なふたり」を示唆しているようで最後に少しだけ救われました。

ちなみに「EVERの2人組」は「自らブルーホールに足を踏み入れて行方不明」だとホムラは言うが、忘却の海生贄の彼女を苦しめていた神使が突然病死したのとなんかかぶっちゃったなぁ(やめとけ
邪推でしたな。顛末は海神にしか分かりません←