空に堕ちる
空に堕ちる

恋と深空を宗教思想史オタクがのんびり考察しています。

ネタバレを多分に含むうえ、新しく開放されたストを読むたびに考えが変わるため我ながらお門違いなこともたくさん綴ってあるのですが、プレイ記録も兼ねているため敢えてそういうものも全て残したまま書き進めております(土下座

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時系列と物語の全体像

お酒の勢いに任せて恐ろしいほど偉そうなタイトルを掲げてしまった←

先日月下の黒き棘でワンダラーが展開した磁場にでっかい地球が浮かんでた件についてあれこれ考えていたらようやく深空の物語の全体像が見えてきた気がしたので書き残し。これ先月からずっとずっと書きたかったの。涙

念のため前置きさせていただくとわたしは「宇宙」についてまったくの無知、どころか宇宙科学や宇宙物理が死ぬほど苦手で恐らく一般教養すらまともに理解できてないレベル。うっかり読んでしまった方は絶対に真に受けないでくださいね(切実

そもそもフィロス星とは

わたしの知る限り深空には5つのフィロス星が存在する。ひとつ目は流星雨の舞台となったクラスメイトセイヤのフィロス星(のちの指間の流星筆頭聖剣騎士セイヤのフィロス星)、二つ目は秘密の塔預言者レイのフィロス星、三つ目は金砂の海潜行者ホムラのフィロス星、四つ目は無主の地星間指名手配犯シンのフィロス星、最後に本編1部8章深空でもっとも鮮やかな色彩であろう位置にあるので「愛」を意味する「フィロス」と名付けられた死んだ恒星の核「α-P0159」。

あるフィロス星にはワンダラーがいたり、あるフィロス星には最高神がいたり、またあるフィロス星には海がなく丸ごと砂で覆われていたりすることからそれぞれ設定や世界観の異なる「別の星」であるかのような印象を受けるのだけど、一方で敢えてすべての星に同じ「フィロス」という名が付いてる。きっと「隠された共通点」のようなものを示唆しているに違いない。

フィロス星と地球の関係

感覚に基いた超個人的見解になるが、わたしは「地球の地核が解体しバラバラになった陸のプレートを人工的な星核エネルギーによって繋ぎ合わせ一命を取り留めた」らしい流星雨の「フィロス星の興り」が前述の5つのフィロス星に「共通しているところ」であると「仮定」している。
なぜならフィロスに住む人たちは皆「永生」で、これが「人工的な星核エネルギー」によるものなんじゃないかと踏んでいるからだ。

そして、恐らく陸のプレートを繋ぎ合わせたことでフィロス星は地球よりもでっかくなっている。
カオスウェブのロード画面が本当に指間の流星ロールバック隊のワームホール生成シュミレーションや操縦航路を可視化した略図のようなものならば、地球と思われる球体よりもフィロス星と思われる球体の方がだいぶでっかい。

また、前記事秘炎の滾る地でも語らせていただいたが、忘却の海では恐らく島の直下に栄えていた鯨落都が金砂の海では歌島の遺跡よりうんと離れた場所にある、というのも「星がでっかくなったから」の他に理由が見当たらない。つまり忘却の海の舞台は「地球」なんじゃないかって所感だ。

星のでっかさによって季節や明るさ1日の長さなんかも変わってくるのかも知れないが、この手の話がホントに苦手でどうしても調べたりする気になれないため省かせていただく(殴

フィロス星と主人公の関係

いろんな記事でしつこく述べてしまってるが、わたしは作品の定義する「宇宙」というものが「人間に置き換えられるもの」であること、逆に「人間の仕組みを知ることが宇宙を知ることに通じる」という「宗教的宇宙論」に準ずるものなんじゃないかと思ってる。

その根拠はさまざまなサイドストーリーに散りばめられてるが、恐らくいちばん分かりいいのが「世界の深層」ストにおける「埃の中」で明かされた「Unicorn」の生態実験である。

生まれながらにして「コア介入症患者」である主人公は「エーテルコア化した心臓」が自身の意識エネルギー(記憶)や周囲の意識エネルギー(特異エネルギー)を原動力に「エネルギー爆発」を起こすことで「心肺停止」となり、一定の時間が経過してのち「心肺蘇生」に至る。
さらにこれを繰り返すたびに再生する速度は加速して爆発は威力を増していくうえ「エーテルコア化した心臓」のエネルギー値は上昇していくと言う。
研究員はこれを「進化する星が爆発の中で新たに生まれた」と形容する。

宗教思想に基いて「主人公」を理解しようとすると、「Unicorn」という通称がキリスト教教義における神の母「聖母マリア」のメタファーであること、作品全篇を通して彼女との「共鳴」がミトラ周期神話における無極聖母との「母子同一瞑想」であること、セイヤを主軸とした物語において四元素で構成される王国(マルクト)を司る女王(シェキナ)であること(ユダヤ秘教)、レイを主軸とした物語においてアスタ(偽神デミウルゴズ)のエネルギー源(根元神ソフィア)であること(グノーシス神話)、ホムラを主軸とした物語において海神(大いなる犠牲海の巨人)と「心」をひとつにする信者(元娘)であること(弥勒信仰)、シンを主軸とした物語において「喰らう」罪を犯す原初イブであること(旧約聖書創世記)などが読み取れるわけだが、これらは総じて「命の始まり」を象徴する。

金砂の海では彼女の持つ「純真無垢な心」がフィロス星の不滅と人類に不老不死をもたらしていると明記されており、指間の流星ではひとりで無限に生死を繰り返す彼女を空洞になったフィロス星核に投げ入れる計画が発足していたりすることから、概念としても物理的にも彼女の心臓こそが愛を意味する「フィロス」もとい「地球」、彼女の肉体こそが深空における「宇宙」そのものであると理解していいのかも知れない。

フィロス星の一生

本編時間軸の「地球」は恐らくは「太陽系の惑星」なのだろう。深空時代でインタビューに応えていた先生が「恒星レベルのエネルギーを作り出す技術を手に入れたら創造した恒星系の中で適した惑星に生命が誕生していく」なんぞ発言していることから、深空においても恒星が「生命の住む環境とは考えにくい」ものであること、恒星系の惑星の中に生命が存在できる質量条件を満たす星が現れるであろうことは自然科学的な理論のどうやら一般だ。

ただし、本編1部8章に登場するフィロス星は「恒星の核」となって死んでいる。
これは「寿命を迎えた太陽」と同じ状態だ。詳しいことは分からんが、自らの強大なエネルギーによって光り輝いている太陽は、中心核で「核融合反応」を繰り返すことによりどんどん大きくなり、やがてガスになって飛び散り、最後には冷えた黒い小さい核の部分だけが残されて、また飛び散ったガスは宇宙空間を漂いながら再びどこかで星の材料になるんだそう。

仮定を含むこれまでの設定をすべて踏まえると、恒星系の惑星である地球が一命を取り留めて誕生したらしいフィロス星は、「人工星核」が「核融合反応」を繰り返すことでやがて自らの強大なエネルギーによって輝く星になり、恒星系の公転軌道を外れ新たな別の恒星系を築き、その中に現れるまるで地球のような惑星に再び生命を誕生させる、という一生を繰り返していることになる。

核融合反応とやらが何なのか分かっちゃいないが、「エネルギー爆発を繰り返すたびに威力を増していく」という彼女の心臓が星核エネルギーそのものなのであればまま同じようなことが起こりそうっちゃ起こりそうである(てきとう
もしかしたら陸のプレートを繋ぎ合わせたことよりもこうしてエネルギー反応を繰り返すたびに星はでっかくなっているニュアンスなのかも知れない。

この辺宇宙や惑星に明るい方が聞いたらあまりに突拍子なく気持ち悪くて仕方ないのだろうが、わたしは「宗教思想史オタク」を名乗っている以上「科学的宇宙論」ではなく「宗教的宇宙論」に基づき物語を解釈していく、ということを貫きたいと思ってる(しらん

ワンダラーが展開した磁場にでっかい地球が浮かんでたように見えたのは、いつか肥大した星核エネルギーによって膨張し恒星となり人間が住める状態ではなくなったフィロス星が人間の生命エネルギーを星核エネルギーに転換し、肉体が死滅することで宙に飛散した意識エネルギー(特異エネルギー)が聚合することで誕生したワンダラーたちが「太陽」のような位置付けになったフィロス星から見た「新たな地球(生命が存在できる質量条件を満たす惑星)」、みたいなことだったんじゃないか? ってのが現時点での「仮説」だ。恒星となったフィロス星はでっかいとは言え太陽ほどではないため惑星とはあの距離感なのかも知れん。

シン実装以前は深空の宇宙が神秘学の宇宙観「天動説」に基づき「恒星である地球の周りを惑星たちが回ってる」設定なんじゃないか、なんて見解をこちらに綴ってしまったが、深空時代以降どうもそうではないらしいことが明かされたためお詫び訂正させて欲しい(土下座

フィロス星を主軸とした時系列

ついでなので時系列についての見解も改めておきたい。惑星→人工星核→恒星→爆発→再び惑星を繰り返し、単純に上から下に時間が進んでいくイメージ(分かりにくい

恋と深空-時系列考察と物語の全体像

ただしセイヤを除く過去3人のフィロス星に関しては順不同である。と言うか、たとえばレイの物語をメインに楽しみたい方は残り3人のフィロス星を時系列に組み込む必要さえないだろう。彼女はこの星が生まれる前からレイとだけ恋をしてきたしレイと見た別の世界の記憶を燻らせレイと共にこれから起こることに立ち向かおうとしている、と理解しても矛盾が生まれない物語になっているのだ。

これは誰をメインに置いても同じことが言える。本編を現時点としたとき、それぞれが「過去」なのか「未来」なのかそれさえ把握していれば、4人のフィロス星が極端な話「並行世界」であったとしても成立する構成である。
わたしは深空をどこか「文学」として楽しんでいる節があり、「時間という檻の中で気が遠くなるほど長くたくさん繰り返すこと」に作品としてのメッセージ性や意義を感じているため、「時間という檻」の枠を超越した「並行世界」の概念を意識的に排除してこうやってすべてのフィロス星を1本の時間軸上に並べてみる、ということをするわけだが、それでは「主人公ちゃんが浮気者みたいに見えて気が咎める」という乙女ゲープレイヤーの方が敢えてそうする必要ってないのだと思う。
こちらの記事では各サイドストーリーを本編と切り分けてしまえば必然的にそうなると語ってしまったが、本編に「外伝」なる「ルート分け」がなされ始めたためその必要さえなくなった。

とは言え悩ましいのはシンで、彼は元居た自分のフィロス星から「船」でこちらへやって来た。もしかしたら彼のフィロス星は「ひとつ前のフィロス星」固定なのかも分からん。
2部2章彼女の記憶の中の「かつて見た別の世界」が彼の故郷なら「ひび割れた岩のような地面からマグマみたいな光が漏れ出ている」まさに「恒星に変質する直前のフィロス星」って感じに見えたけど、仮にシンが「永生」で「何十億光年先」にあるN109区を認識していたのなら彼の目もしくはあの透明な球体には「宇宙の始まりも崩壊を迎えるまで存在していた全ての星も無数の選択肢によって無数の結末を辿る世界も全部見える」ことになるし、恐らく「光の速度」で移動できるんだろうロールバック隊とは比じゃないくらい長旅をしている何十億年前の人ってことになりそうだ。いいのかそれで←

ただ、今夜彼と眺める一番星が「かつて彼と奮闘した星がついに死んでしまったその何十億年前の爆発の光」なのかも知れないことを「彼だけが」思い馳せている、というのがシンとの物語なのだとしたらとても胸に来るものがある。

最後のフィロス星

1部8章ラストにはそれこそ「人類は時間という檻の中で輪廻する」だなんてアナウンスが流れるが、主人公もフィロス星もこれを「永遠に繰り返す」ということは恐らくできないはずだ。

それは彼女の「心肺蘇生」が「繰り返されるほどに再生速度が増し爆発威力は強大化し心臓のエネルギー値は毎蘇生ごとに上昇していくもの」だからである。
このまま繰り返せば最終的には彼女もフィロス星もいつかは人間が計測できないほど甚大な爆発かつ光速で再構築されるようになり、そのたびパワーが増加していく星のエネルギー値も限界突破していつか「無限」になる。

蘇生のためのエネルギー爆発はどうやら周囲のエネルギーをも巻き込むことで引き起こされており、全宇宙のエネルギーをすべて使い尽くしてしまったら「次」は起こり得ない。
「宗教的宇宙論」に基づくならば、彼女の肉体が消滅すれば宇宙は消滅するのである。

恐らくセイヤの居たあのフィロス星はすでに「崩れかけた宇宙」にあるらしい「最後の」フィロス星なのだろう。
彼が航行日記に残していた「稲妻が星屑をかすめる瞬間は何度もあったが俺は立ち止まれなかった」という言葉の真意は、終わりゆく宇宙で最後まで彼女を手放さないことよりも「宇宙が消滅しない限り巡り巡ってきっとどこかで再会し続けることができる」未来に賭けたかった、ってことだったのだと思う。

具体的に「何を果たすこと」がロールバック任務なのかはいまだ判然としないが、少なくともその「目的」は星や彼女を救うというより「宇宙の消滅を食い止める」ことになるのかも知れない。

もちろん全部妄想です。セイヤ外伝を読んだらまた全部覆るかも知れないので取り急ぎ記録しておきたかった。おやすみなさい良い週末を(酔っ払い