恋と深空のんびり考察プレイ録

恋と深空のんびり考察プレイ録 - 空に堕ちる

恋と深空を宗教思想史オタクがのんびり考察しています。

ネタバレを多分に含むうえ、新しく開放されたストを読むたびに考えが変わるため我ながらお門違いなこともたくさん綴ってあるのですが、プレイ記録も兼ねているため敢えてそういうものも全て残したまま書き進めております(土下座

暗点の美学

こちらは本編5部1章カロンで闘獣ゲームが行われていたちょうどその頃「割のいい商売話」を持ち掛けてきたEVERの端くれどもを「すでにアキラやカゲトが部下たちと一緒に一網打尽にしている」なんて言ってたあのシンの一言の舞台裏にあたるエピソードですな。商売話とは名ばかりの実際には金品強奪で奇襲を受けたのはジェフの工房、迎え撃った双子は仮面人間にやや苦戦して「メフィストに贈る予定の翼型チタン合金外骨格」なるものを持ち去られてしまうも直ちに追跡して無事奪い返してきたってのが事の詳細だったらしい。

暴力、襲撃、実験、後遺症、死、そういうものに自分たちの生き様を定義させるなっていうこれは読み終えて納得の「悪魔の美学」である。襲われても奪われても傷を負わされても死に取り残されてもその喪失さえ己の生の一部として引き受ける。それらを自分たちの物語の支配者にはしない。なぜなら彼らのボスはこれまでそういうものへの「恐怖」に支配された人間たちの生む偽りの信仰や偽りの救済を徹底的に打ち砕いてきた悪魔的絶対者だからだ。

アキラとカゲトはEVERの被験者だった過去に支配されない。彼らの生き様は「悪ふざけ」の裏に人情や忠誠を隠しておく流儀であり、いざという時には気絶した仲間を運び壊れた通信機を手に握らせ仮面のひびを気にしながらも前線に立ち時に労いの熱い茶を用意してやったりもするが、普段はもっといい装備が欲しいと騒ぎ、グルチャ名をちょけてラノベ風に変え、働く商用車をダサいとバカにして火を噴く黒いバイクに目を輝かせる、そういう彼らの物語において「実験の後遺症」や「目元に残る異化の傷跡」は人生を悲劇に決定付けるものではなく「成功の勲章」や「カッコよさ」の一部になる。

モウはちょっと今回初めましてなんでどういう経緯でここに居るのか分からんが(殴、どうやら「元プロレーサー」って話なんで本来なら表のサーキットで活躍できていたはずの人なのかな? 相打ち覚悟の突撃や「自分の得意なコースへ敵を引きずり込む」レース技術の転用は相手に包囲された地形には従わないレーシングドライバーとしての生き様を敵襲には支配させない戦闘スタイルである。

そしてジェフもまた兄の死と自責に支配されない。シンの言う「死をそんなに強いものと考えるな」「お前が生きてる限り彼の命は本当の意味で終わったわけじゃない」とは、きっと意味合いは同じでも決して「彼はあなたの心の中で生き続けている」というまるで「神の赦し」であるかのような慰めや救済のニュアンスでは文脈上なくて、むしろ死を強者に仕立て上げるな、兄の死がジェフの物語の決定権を握るのではなく生きているジェフが生の側から兄の命の意味を奪い返せ、最期に傍にいられなかった自責と後悔に跪くな、それも引き受けて自分の生き様にしろっていうあくまで「破壊者」「絶対者」側の諭しと読めたかな。

と言うか、今回「お前を責めたことなど一度もない」というジュンジの声を借りてどちらかと言えば「赦し」に近い慰めをジェフに与えたのはメフィストだったと思うのだけど、改めてメフィちゃんって何者?←

ジェフ

まずはいろいろと認識を改めておきたいのだが、ジェフが暗点に加わったのは2046年初春アキラとカゲトがシンの従者となって「以降」の話だったのだね。世界の深層「至高の楽園」を読む限り「暗点と呼ばれる体制」が組織化されたのは2036年前後のことのようなのでその時点すでに彼もそこにいたものと勝手に思い込んできたけども、当時の暗点は同時期に多発していた「Evolverの失踪」とは何らかの関係がありそうで、その動きを追えていたのは身分を偽りN109区に潜伏していた一部の特殊部隊員だけ、とは言え彼らも2036年末には勢力図を丸ごと書き換えるような大規模な覇権争いに巻き込まれ真相は藪の中、そして時は経ち新たに暗点へ加わったばかりのアキラは当初「なぜボスがわざわざEVERのゴミ(※脱走者も含む)に興味を示すのか分からなかった」と言うんで、なんとなくシンは双子との接触を境に「EVERから切り捨てられた研究者」や「EVERから処分されるところだった脱走者」を協力相手に選抜し始めたのかなって雰囲気。

そうしてボスの命令に従いジェフを暗点の「客」として「招待」しに行くことになったアキラは、終始生気のない顔で「招待」どころか「脅し」にさえ応じない彼が遅れて現れた「カゲトの顔を見た瞬間」態度を一変させ二つ返事で快諾するのを奇妙に感じたと言うが、これについてはカゲトの目元に残る「結晶を無理に剝がした傷跡」を見留め彼らが自分と同じ「一卵性双生児対照実験の被験者だっただろうこと」もしくは「実験による何らかの後遺症を患いながらも無事であること」を悟ったためと見えるかな? 確か「悪ふざけ」では「双子のどちらに異化が起こったのか」明言こそないものの彼らの戦術において「カゲトが獲物を仕留める側」であり「ダーツの使い手」であることは冒頭から繰り返し強調されており、異化は「喧嘩を装いながら投げナイフでシンを仕留める」方策において「最後にナイフを手にしていた方の少年」を襲ったものとわざわざピックされているなど「恐らくカゲトなのだろう」ことはうっすらと読める描写になっていたような記憶。すると双子は被験者時代確かに異化までの推測期間を越えて生き延びた「サンプルナンバー303」の存在を知ってはいたが互いに面識はなかったってことなのね。

この頃のジェフはどうやら技術者としての腕は確かだが「性格は奇抜で外界を拒む」塞ぎ込んだ偏屈な人間に見え、その後程なく「マッドサイエンティスト」としてN109区で名を馳せるようになってからは「少し人が変わった」ようだとアキラは感じているみたいやが、ニュアンスとしては何かを切っ掛けにその高い技術力を「外界を拒む」ためではなく「外界と関わる」ために用いるようになったって感じかな?

突然の襲撃に屋根には大穴が空きひどく荒らされた様子の工房で奇跡的に唯一無傷で済んだらしい保温ボトルをやれやれと拾い上げ熱い茶をすするジェフは、喧嘩に夢中になるあまり実はこの惨状のほとんどを自分たちで作り出しておきながら思い切り暴れることができてどこか満足げである双子へ、何やら作業台で最終調整中だった「シン様ご指定の最重要開発品」である「翼型チタン合金外骨格」が見当たらないがそんな大切なものも二の次になるくらい「楽しめたか」と窘めるように尋ねるけど、これそもそもどうしてEVERはそんなものを奪いにやって来たのだろうね?

最新の装備が「メフィストさん」にだけ用意され自分たちの分がないことに気が付き「オレたちにも作ってくれよ」と騒ぎ始める双子を「だったらあれを取り戻すことだ」と言い含め早速追跡準備を開始するジェフ、座って済むなら絶対に立たないリモートで済むなら絶対表に出ない筋金入りの技術オタクである彼がこうして現場へ出向くのは自分の工房が潰されただけでなく「奪われたのがメフィストさんの物だから」であり「カラスに追い回されてつつかれたくない」のだろうと双子は見解するけども、何かよっぽど外部に漏らしてはならない重要な技術や資源が使われているからとかなのかな。思えば「隣り合わせの生存」メフィちゃんは仮面人間の動力源である「信号」に干渉しこれを停止させることができるので、EVERとしてはそろそろ何か手を打っておきたい存在だったりするのかも?

ジェフは作業台の引き出しから「手のひらサイズの金属ブロック」のような端末を取り出し盗まれた翼型外骨格にこっそり仕込んであるのだという「マイクロトラッカー」の位置情報を同期して「アキラとカゲトに投げ渡した」とあるが、これ端末は同型機が複数台あるものと解釈していいのかな? それらはジェフの開発した小型のAl搭載機器でN109区全域あらゆる通信チャンネルの暗号化とリアルタイム投影に対応した「第四世代通信機」というらしい。

三人は普段ジェフが「修理業」の営業車として使っているのだろう「側面の窓が派手な色のチラシでびっしりと覆われているグレーのバン」で対象を追うことになるも「もうちょっとカッコいい乗り物はないのか」と終始不満げな双子、運転席のジェフはこの車が「少しだけ改造を加えた」攻守両モジュールを備える優れものであることを力説しつつ眠気を誘う安定した走行で追跡を続けるが、もっといかつい「殺し屋の美学」を象徴するような「車体が真っ黒でマフラーから青い火を噴く重装バイク」に心当たりがあるらしい後部座席のアキラとカゲトは視線を交わし「それぞれ通信機を取り出して」ふざけた名前のグループチャットを立ち上げ「次のレースのコース確認で近くを走っている」のだというまた別のメンバー「モウ」とやり取りを始めたりしてるんで、少なくともここに登場する全員が同じ型の通信機を持っていると見える。

事情を察したモウが合流を快諾し「すぐに向かう」と返信がきて間もなくバックミラー越しに何か物言いたげな視線を双子に差し向けるジェフ、第四世代通信機の管理者である自分は全ての通信データを監視することができるのだと言うが、するとジェフが持っている通信機は双子に持たせたそれらと同型でありながら開発者権限によって全端末の通信・位置情報を確認できる「親機」もしくは「中枢端末」のようなものと理解するのが自然かな? ハンドルの側面を指で軽くタップすると車載オーディオがスピーカーモードに切り替わり先ほど隠れてやり取りしていたはずの「303の運転はじいさんの散歩みたいだ」なんて送信メッセージが「語尾にわずかな嘲笑も込められた非常に人間らしい口調」で読み上げられてしまうけど、管理者端末はデータ出力先として「バンの車載AI」とも連携されているみたい。

車載AIの方は以前ジェフが訓練した「スマートモデル」であると言い、技術的ボトルネックを突破できていないためにいまだ内部テスト版のままなのだそうだけど、総合的な理論上のIQは開発者ジェフの1.5倍ほどの想定で「走行上の問題の大半は解決できる」ってことなんで主にカーナビゲーションシステムとして常用されているのかな? 音声モデルに使用されているコーパスは「どうやらジェフ本人のものらしい」と書いてある。なんか、これだけでもジェフってたぶん相当優秀な技術開発者だし、ワンチャンあの「W」とかいうAI内臓PCに研究データ捏造の証拠をでっち上げられ抹消されてしまった深空学会人工知能学教授よりよほどロボティクス分野の応用研究をリードする牽引的人材なのではないか?←

モウ

気まずいメッセージが読み上げられたことで車内は一瞬静寂に包まれるものの、その沈黙が一秒と続く間もなく交差点に差しかかったバンの左右両側にある廃工場からEVERのオフロード車が二台車線へ割り込んできて行く手を塞ぎ、開いた窓から一斉にこちらへ銃口を突き出してくるのだが、すると今度は後方から青い炎を尾のように引きながら疾駆する黒いマット塗装の大型バイクが砲弾のごとくEVERの車両へと突っ込んで、避け切れず絡み合った二台がガードレールを突き破り道路脇の深い溝へ転落していくのと同時にバイクを手放したライダー「モウ」は身を翻して地面へ着地、その勢いでバンのそばまで転がってきてヘルメットを脱ぐなり「落ち着き払った表情」で仲間たちの安否を確認するが、ジェフは「ちょっと割り込まれたくらいでここまでするなんて」と眉間を揉んでいるw

双子はダサいグレーのバンでなくきっとこのモウのイカしたバイクでEVERのいかにも敵組織を思わせる無骨で威圧的なオフロード車と派手なチェイスをしたかっただけなのだろうけど、たぶんメッセージを受け取ったモウは「ジェフが珍しく現場に出ている」時点ですでに劣勢を想定し愛車をぶつけて乗り捨ててでも自分が敵の進路を塞ぐか突破口を作るつもりで助太刀に駆け付けてきたんじゃないかなって思うよ。結果アキラが後部座席から思わず身を乗り出してほんの束の間うっとり見惚れただけで次の瞬間もろとも火柱になってしまうのはとても残念だったけど(かわいい、彼らの流儀や生き様は決して自分の身を守るために温存されるものではなくそれぞれが「仲間のために」必要なら一瞬で燃やすこともできるその使い切り方まで含めこれまた各の「美学」なのかも知れんな。

再び走り出したグレーのバンは運転手がジェフからモウへ交代したことで先ほどとは打って変わってレースさながらの激しい走りを見せるようになるも何か安全制御のようなものがかかっているのか「ただし低速限定」であり(なぜ、一方バイクとの「相打ち」により制圧車両を二台も潰されたEVERは付近の予備戦力を総動員で包囲網を敷きバンを化学工場の廃墟へと追い詰めることにしたようで、双子がざっと確認しただけでも斜め後方から明らかに普通の輸送車ではない速度の軍用車が四台、頭上には少なくとも12機のドローンが銃弾とエネルギー光線の豪雨を降らせながら迫る。

車載AIは突破ルートの算出を諦め「ただちにUターンして逃げましょう」などと「戦略的撤退プラン」を提案し始めるけど、モウは敵を振り切ろうとするどころかギアを入れ直し敢えて敵が待ち構えている廃工場へ崩れかけた壁を車体で突き破り飛び込むと、二棟の工場棟の高層部を繋ぐ今にも崩れそうな空中回廊へ乗り上げて強引に疾走、そうして間一髪バンが渡り切った瞬間崩落した回廊とともに急ブレーキの間に合わなかったEVERの軍用車は次と転落し一行は包囲を突破するが、これはモウが「まだ地下レースに出てた頃ボスから教わった」逃げ道を塞がれた場面での反撃の一手らしい。

ところが後方凄まじい轟音と立ち上る炎だけが残されたその土煙の向こうに今度は「青白く光るエネルギーのかたまり」が急速に収束し始める。みんなはこれが「反物質武器」だって言うんだけど、なるほど反物質武器とは「Evolを消滅させることができる青い光線銃」だけを指す固有名称でなく「青っぽい白っぽいエネルギーを光線として撃ち出すことができる武器兵器あれこれ」の総称だったんや(いまさら

カゲトが発射装置にダーツを撃ち込んだことで照準がずれ直撃を免れたものの地面に当たっただけであわやバンが吹き飛ぶほどの爆風が巻き起こるんで、今回の反物質武器は車両に搭載されていた巨大ビームランチャーみたいな波動砲なのだよね? たぶん。シンにとっては「Evolが相殺されること」がひとつ厄介ポイントになる「反物質」とは常人にとってはシンプル威力が脅威になる武器ってことなのか。

爆風によって車外へ投げ出されたジェフは地面を数回転がった衝撃で意識を失ってしまうため、物語そのものはこの先「飛ばされて気絶したジェフ」の元へ駆け付けた双子がひとまず彼を廃棟の陰に運んだり彼の手から滑り落ち「壊れてしまった通信機親端末」を再び彼の手に握らせたり爆風に煽られながらも青い光線をかいくぐり爆走するバンが三人を拾うどさくさに双子が「翼型チタン合金外骨格」を奪還したりと目まぐるしく展開していくけども、語りの視点は実はうっすらと仲間たちの声が耳に届いている「気絶したジェフ」の側に置かれたまま、激しい耳鳴りの向こうに「頼むぜ兄さん」「またそっくり同じ仮面を作り直してくれ」「起きないとボスに報告するぞ」などと微かに拾った聞き覚えのあるフレーズが呼び水となって脳裏に蘇る「ジェフの過去の記憶」がいくつか差し挟まれそちらがメインパートになっていたりする。

ジュンジ

ここからは回想、と言っても恐らく「ジェフが誰かに言われた言葉」だけが断片的に羅列されているだけなんでだいぶわたしの解釈が混じってしまうけど(やめて、まずはジェフの双子の兄である「ジュンジ」って世界の深層「雪まみれの階段」に登場する「ジュンジ」と恐らくは同一人物なのだよね? 慈善活動に熱心な人格者だったがゆえ「多くの命を救える」杉徳の口車に乗せられ「自らの意志で」生命維持カプセル臨床実験に参加してしまった当時余命6ヶ月だった難病患者であり、X-Heartプロジェクト「607号カプセル」の中で2年間かろうじて生かされてはいたものの、異化した心臓を新たな心臓に差し替えるヤスの執刀した移植手術は決して成功とは言えず、最後は胸に黒いダリアのような結晶を咲かせ、亡くなったのはレイがファンから彼女のカルテを引き継ぐ頃なのでたぶん2047年中になるのかな?

最初に挟まる回想はまだいろんな病院を転と頻繁に入退院を繰り返していた頃のジュンジとジェフのやり取りになっていて、ジュンジは「どうしてスマホの電源がまた切れているんだ」「お前が作った通信機があってよかった」なんて言うんでどうやらふたりは「第四世代通信機」を用いて連絡を取り合っていたようであり、さらに「休みを取ってまで会いに来なくていい」「安心していい」「泣かないでくれ」などと繰り返し言い聞かせている様子から大前提ジェフはめちゃくちゃ兄の傍に居たがっており実際にそう行動していたのだろうことも伺える。

うーんこれも根拠のない個人的見解になってしまうけど、恐らくかつてのジェフはもともと何ら後ろ暗さのない「ガイアバイオテクノロジー」のシンプル技術開発研究員だったんじゃないかなぁ。世界の深層「埃の中」を読む限り主人公のおばあちゃんも本来はそうで、ところが「投資主がEVERに切り替わって以降」怪しげな研究が始まり怪しげな研究所に様変わりしていったって経緯だったような気がする。本編2部1章ではジェフは「スエの元でエーテルコアのモニタリングをしていた」ことが明かされているし、1部5章「エーテルコアに関わったことのある元研究員」は2034年以降ひとりまたひとりと姿を消しているって話だったんで、これが単純にEVERに抹殺されているっていうより拉致られて被験体にされていたようなニュアンスだったのかも知れない? ジェフの場合は兄の存在があったから被験者の中では必然的に「一卵性双生児対照実験枠」だったけど、必ずしも「兄弟一緒に」囚われていたわけではなかったんじゃないかな。つまりスマホの電源が切れていたのは始めは本当に研究に没頭していたためで、ところがある地点を境に「お前はきっと生きているはず」「杉徳の新しい医療法で病が治ったらきっと会いに行く」と何らかの理由で音信不通となり通信機に一方的に声を残していたかのような台詞回しになっていくんで後半はちょうどEVERに囚われていたか連れ戻されることを怖れ逃げ回っていたためなのかなって思うなど。

アキラとカゲトがジェフに「そっくり同じ仮面をふたつ作って欲しい」と申し出る頃、ジェフ自身は「秘密を抱えながら慌ただしく暗点に身を寄せた」認識のようなんでようやくこれにて追手を撒いて身辺が落ち着いたようなニュアンスだったのかも? ただしジュンジとはすでに「EVERの病院で治療中だから連絡が取れない」なんてことになっており、一方で目の前にはかつて同じ実験施設で多くの被験者がそうなる姿を目撃したことがあるはずの「コア接触による異化」の痕跡を残しながらも生き延びている双子が居て、聞けば後遺症は勲章であり「ボスが結晶を素手で握り潰した」だなんて言っている。それまで「ジュンジを少しでも長く生かしたい」願いに捉われて「杉徳医療」を「偽りの救済」と疑えなかったらしいジェフ、きっとこの辺りから「何かに縋って長く生きること」よりも「最期までジュンジらしい生き様や流儀を何者にも支配されることなく貫いて死を受け入れること」が自分たち兄弟にとっての正解だったのかも知れないと苦悩するようになったんじゃないかなって思ったり。

そうして程なく経ったある日ジェフは「ボスへの定例報告中」病院からジュンジの訃報を受け頭が真っ白になって、どんな時も泰然と上座に着き余裕に満ち溢れているその人へ、自分の選択は誤りだったのか否か「本能的に答えを求めて」尋ねてみたというが、シンは「裁き」も「哀れみ」も感じさせない視線、つまり答えとして「誤りだった」と処断することも「仕方なかった」と慰めることもするつもりがない「重苦しさすらない」調子でただ「死」よりも「生」の方へ「命」の意味を持て、とだけ告げる。とても「らしい」ですな。是非を答えることは結局ジェフの物語が兄の「死」に支配されることになってしまうだろうから。

きっとこのやり取りを切っ掛けにジェフは「少し人が変わった」のだと言いたいのだろうね。それまでは「外界を拒むため」あるいは葛藤や苦悩から目を逸らし「自分の身を守るため」の手段だった技術開発を「自分らしく生きるため」そして「仲間を守るため」に燃やせるようになり、あとはちょっとわたしの妄想も入ってしまうがもしかしたらバンの車載AIも「兄の死を自分の生が引き受ける」決意の表れとしてコーパス音声にはたとえば通信機からデータ抽出された「ジュンジの話し声」も一緒に学習させてたのかも知れないなって思ったよ。他人が聴いても分からないくらいひっそりと、でも確かに、ジェフの新たな生き様である「仲間のため」の技術開発に亡き兄の「命」が存在し続けているって今ストの主題にとてもマッチしているような気がする(勝手に

漆黒のカラスのコード

もはや彼らをバンごと消滅させる勢いであれこれ撃ち込んでくるEVERの軍勢を相手にモウの運転技術と双子の身体能力だけでどうにか持ちこたえているもののなかなか収拾がつかないという戦況のさなか、助手席で気を失ったままのジェフの手に握られている壊れてしまったはずの通信機が突然何の前触れもなく点灯し、画面の奥では「漆黒のドット」が「1羽のカラスの影」を構成したかと思うと瞬く間に「無数のコード」へ分解され、更新され、そして消えたって書いてある。

すると次の瞬間バンのスピーカーから「再会できなかったことはとても残念だ」「けれど私はお前を責めたことなど一度もないよ」っていう「電流のノイズの中にごくかすかな吐息が混じっているような声」が流れてきて、恐らくモウや双子はそれが故障気味のまま再び起動した「車載AIのジェフの合成音声」だと思ってるのだけど、これは明らかにジェフに語り掛けている「本物のジュンジの声」である。電流ノイズってことはかつて通信機越しに掛けられた言葉なのか、雰囲気的には「通信環境に問題があって届くことはなかったがジュンジの端末には吹き込まれていたのかも知れない最後のメッセージ」っぽくもある?

確かにメフィストは仮想空間に生きてるわけではないが仮想空間の中を自由に駆け回る、どんな解析手段を使ってもソースコードが読めない、コンパイルが行えない、現時点で人間が掌握可能な技術では有り得ないフィジカルAIだって以前「カオスちゃん」も言ってたが、すると今回もメフィちゃんがどこかで何かを察知して「第四世代通信機の親端末に搭載されているAI」に「カア」って命じて「壊れた端末を動かした」ってことになるのかな。

思えば「ボスへの定例報告中」の場面とても気になるタイミングで「メフィストがひらりと舞い降り尖ったくちばしで興味深そうに通信機を軽くつつく」なんて描写が入ったが、実はそうして通信機のAIとお喋りして仲良くなっていて(?、管理者端末には出力こそできないがジュンジが一方的に吹き込んでいた音声データというのも全部残ってると知っていて、そんなメフィちゃんが「今この言葉をジェフに届けよう」って意図してこれをしたのだとしたらちょっとカッコよ過ぎるな。わたし正直イベストから思念ストから日常パートから読み切れていないものがあまりに多過ぎてこのメフィストという存在についてまじでなんもよく分かってないんだけど、この子にも「仲間を守るため」まるで本当に冥界から死者の声を届けることができる悪魔の使いを演じているかのような、あるいは生者と死者、機械と記憶の境界を飛ぶカラスの美学みたいな生き様があるんでしょうか?←

その声に呼び起こされるように意識を取り戻したジェフは「しわだらけの目尻を軽く拭った」あと(泣ける、センターコンソールの下にあるグローブボックスをこじ開けコントロールパネルのようなものを取り出し手早く何かを操作、するとバンの内部から機械の噛み合うような音がして、左右側面が下向きに開けばハニカム構造の高強度装甲材が露わとなり、屋根の上からは砲台のようなものがリフトアップ、後部はトランクが左右に広がって数列のミサイルポッドを展開、どうやらダサいグレーのバンに見えていた外装はただの「カバー」であり、本体は砲塔やミサイルを備えた軍用重装甲車だったってことらしい。

ゴーグルを正したジェフが渋みを帯びた声で「言っただろう」「この車は『少し』改造してあるんだ」ってのがまたいいですねぇ。座って済むなら絶対に立たないリモートで済むなら絶対表に出ない筋金入りの技術オタクでありながらいざというときには現場へ出向き「技術」で殴るジェフの流儀や生き様そのものであるかのような装甲車、こちらが本来の姿で「修理業者は世を忍ぶ仮の姿だったのさ」ってことでしょう? これもまた別のベクトルでの「美学」って感じだね。

そうして無事「掃除」を終えた一行がそれぞれバンを降り持ち場へ帰っていく頃には闘獣ゲーム本戦が終了し街は静かになっているようだけど、するとシンと彼女が互いに賞金をベットして負傷して避難して食事して「スライフノ」と「ゴーストZERO」で3時間仮眠取って仕切り直して二手に分かれてなんやかんやして待ち合わせしてミルクティーも買って最後のゲーム参加者と競り合って勝者として闘技場に突入するまでの間こっちはずーっと「転生してメフィストさんの全てを奪い戻す件」してたってのか(倒

ジェフがひとりになるタイミングを見計らったかのように街灯の支柱から降りてきたメフィストは「あんたの好みに合わせて全部調整してある」のだという翼型外骨格の入った金属ケースをくわえると気取った様子で頭を下げどこかへ飛び立っていくけども、どうやらこの足で「シン様が欲しがっていた生体認証キー」を確保しにガイア跡地へ向かったもよう。となると、双子もこの足で延長戦に「ハイエナども」を片付けに行ってたのかな? スタミナお化けである。

通りの向かいにあるElysiumから漏れるジャズの旋律を聴きながら冷たい風の中に立ち「小さな機器」をポケットの中でそっとなぞるジェフは「一杯飲む」か「すぐに工房へ戻って通信機を直す」かの二択でしばらく揺れたものの結局バーのドアを押し開けたってのも地味だけどかなり良い描写だよね。たぶん彼の中ではその小さな機器はただの壊れた通信機ではなく兄ジュンジの声を届けてくれた媒介でもあって、それに手を添えながらも孤独な工房へ戻る前に人の気配のあるバーに立ち寄って仲間が用意してくれた熱い茶を受け取るっていう、改めて「兄の死を抱えたままそれでも自分はここでこうして仲間と生きている」感覚に触れ直すことができた一夜だったんだなって思ったよ。

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