空に堕ちる
空に堕ちる

恋と深空を宗教思想史オタクがのんびり考察しています。

ネタバレを多分に含むうえ、新しく開放されたストを読むたびに考えが変わるため我ながらお門違いなこともたくさん綴ってあるのですが、プレイ記録も兼ねているため敢えてそういうものも全て残したまま書き進めております(土下座

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雅と俗

こちらはギャラリーマネージャー「トウ」が「電波の届かない荒れ果てた山の中ヘネタ探しに行ってしまったかも知れないホムラ」の代わりに美術出版社の取材を受けることとなり大的に特集を組まれたそのインタビュー記事が後日大好評を博す、というほのぼのサイドストーリーになっています。

トウさんはホムラと個人契約を結ぶフリーランスなのだとばかり思っていたが今やアートマネジメント事業で現代芸術振興に貢献するやり手実業家のようなポジションなのだな。
愛妻家でありイクメンでもあるトウと奥様の日常があまりにも平和に満ちていて、「雅と俗は紙一重」とはたとえばホムラに完敗しアーティストからアートビジネスへ舵を切った過去を持つトウの「自分は決して雅やかなものではなく紙一重で俗っぽいものであった」なんて劣等感から出た言葉ではなく「ごくありふれたバタバタした毎日こそ風雅で美しい」って意味でのそれなんじゃないかと思ったよ。いやこの感想が何より通俗的でつまらんなw

個人的にはトウの視点で見るホムラと彼女の多幸感も印象的でした。ホムラの登場するサイストがこんなにほのぼのしてるのって秘話唯一無二の赤以来じゃないか?

アサヒナ

トウの奥様はアサヒナさんとおっしゃるのね。乳飲み子を抱えながら朝は市場でお買い物をしてご近所さんには今日がご主人の誕生日であることを嬉しそうに触れ回り夜は「一汁三菜」と冷蔵庫にケーキを準備してパパの帰りを待っているとっても健気で働き者な可愛らしいママなのだなって思ったよ。でも産後はあまり無理をしないで適宜出前やネットスーパーも使ってね(だれ

一方近日あらゆる絵画展の会場調整や物品手配に多忙を極めていたらしいトウは口頭で伝達していたホムラの取材スケジュールを仮押さえのまま失念していたため当日ホムラが捕まらず、芸術系大学の入学試験に合わせて「受験生たちのアイドル」たるホムラの独占インタビューを配信予定だった企業側からは「別の芸術家」を代わりに宛行うよりネームバリューが強い「ホムラのマネージャー」トウに代打をと依頼されていた。

器量不足を感じながらも無事インタビューに答え終えたトウが「打ち上げに白砂湾で海鮮バーベキューをする」というスタッフの誘いを「今日は私の誕生日なので家で妻と過ごすつもり」だと言って断ると「ホムラへの謝礼」のつもりで持ってきたらしいブラックタイガーをずっしりと箱に詰めてプレゼントしてもらえたりするのだが、「ホムラ不在につき仕方なくみんなで食べることにした」と言うそれが手土産に持たせてもまだ有り余る量だとは怪しいな。さては経費で落としてグリルまで持参して始めから自分たちもたらふく食べるつもりだったんじゃ(殴

トウは厚意を受け取るべきかためらうも中身を見てアサヒナの好物である「ガーリックシュリンプ」が作れると思い立ちありがたくいただいて帰ることにして夕食は豪華に「一汁四菜」となるわけだが、誕生日の食卓に恐らく互いが互いの好きなものを調理したメニューがずらり並んでいるのを想像したらめちゃくちゃ幸せな気持ちになりました。
キッチンに立ちエビを剥くトウの横でアサヒナが「取引先から電話がかかってきた彼のスマホ」を手に取り耳に当ててやるくだりとか、ふたりで赤ちゃんをあやしてるのも粉ミルクの「人型温度計」になってるのも全部てぇてぇ←
あー仕事終わりでミルク作ってくれるエビ剥いてくれる旦那さんめっちゃいいなぁぁぁ(壊

最後はトウが「アサヒナが幸せな日を過ごせますように」「娘が健やかに育ちますように」そして「ホムラがボディーガードさんと未永くうまくいきますように」と願いバースデーケーキのロウソクの火を吹き消すとサプライズで尋ねてきたホムラとボディーガードさんが挨拶もそこそこに玄関先でプレゼントボックスを手渡し帰っていくのだけど、「まだハンターの制服を着ている」らしい彼女とホムラくんはこれからおデートなのかしら? 彼が一日捕まらなかったのは「山ヘネタ探しに」行ってたわけじゃなくトウへの贈り物を準備していたためなのだろうな。いやぁこんな毎日が一生続いてくれ頼む(深

芸術系大学入試特集号

トウがホムラの制作活動について言及し最後にこの分野に新しく足を踏み入れることになる美大受験生たちへ激励の言葉を述べて締め括られた芸術系大学入試特集号独占インタビュー「芸術と日常の間に」はネット上でちょっとした話題となりトレンド入りを果たした。

個人的には自身のキャリアに絡めて「芸術とは単なる創作ではなくあらゆる分野と密接に関わっている」ため「業界の動きを理解し自分の立ち位置を見付けることもまた芸術の一種」だと語るトウに「雅と俗は紙一重」たる信念を感じグッとくるものがあったけど読者層はもちろん「ホムラのファン」なので、たとえばトウが冗談で発言した「魚の視点で世界を見るためにガラス水槽をかぶって絵を描く」なんぞ謎行動が「本当にホムラの創作ルーティンなのかと思ってしまった」だなんて取り沙汰されたり創作中食事を摂らないホムラを以前は心配してアトリエに食べ物を運んだが「最近はそんなことをする必要もなくなってきた」なんて匂わせに注目が集まっていたりする。

ホムラの話ばかりが溢れ返るコメント欄の中からようやくいくつか自分に向けられた賞賛の声を目にしてトウは安堵するのだけど、口火を切っているのが「お魚大好きホムラ」さんと「ガーリックシュリンプ最高」さんであることに彼は「気付けていない」というオチがつくのも最高にご愛嬌だった。みんな可愛い(悶

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